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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2001/11/25 (Sun)
つり革にぶら下がって
車窓に広がる墓地を見ていたら
ぼちぼちやりますか、
なんて
思ったりした
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2001/11/21 (Wed)
テーブルの上に
たくさんの紙を散らかして
パパは何かしている

数字の書いてあるボタンを
カチカチと押して
パパは何かしている

僕はご本を読みながら
パパが何をしているのか気がかり
何してるんだろう
何してるんだろう

恐い顔して
四角の中に数字をたくさん書いて
時々ため息なんかつきながら
コーヒーなんか飲みながら

そうか、きっとパパは
詩を書いているんだ
そうじゃなきゃ
眉毛と眉毛の間にシワをつくって
頭をがしゃがしゃとかいて
あんなむずかしい顔するわけないもの

僕は詩が大好き
だって、とても美しくって
ちょっぴり悲しくて
人の心をきれいにするんでしょう
きっとパパは詩を書いているんだ
そして詩人なんだ

パパの横で
僕はご本を読みながら
どんな詩ができるのか
ドキドキして待っている
お姫様が魔王にさらわれたって
僕の頭はもうパパが書く詩のことでいっぱい

ママは
おうちで仕事なんかしなくたっていいじゃない
ってちょっと怒っている
やっぱりパパのお仕事は詩人なんだ
だから、会社にはたくさんの詩のご本があって
パパは毎日
人の心をきれいにしているんだ

2001/11/21 (Wed)
銀行員は、銀行員は、きっと詩人
だってあんなに恐い顔で
必死に電卓叩いてる

八百屋さんは、八百屋さんは、きっと詩人
だってあんなに大きな声で
今日もお歌を歌ってる

魚屋のおじさんはきっと銀行強盗なんだ
床下にはきっと
ピストルが隠されてるんだ

あなたは、あなたは、きっとマジシャン
だって「好き」の一言で
こんなに私を夢中にさせる

魚屋のおじさんが銀行強盗をしようとして
懐からピストルを取り出したら
凍ったサンマが出てきたんだってさ

銀行員は帰宅中
八百屋さんはパチンコしに行く途中
3丁目の交差点ですれ違った2人の詩人

あなたは、あなたは、やっぱりマジシャン
こんな簡単なトリックに
ひっかかった私がバカなのよ

警察に捕まった魚屋のおじさんは
夜中に魚たちが助けに来て
海に帰って行ったとさ

魚屋のおじさんの正体は
いったい何だったのでしょう

2001/11/19 (Mon)
もし月が地球に落ちてきたなら

全世界の人間は両手を天に掲げて

月を支えようとするだろうか
2001/11/18 (Sun)
棚からぼた餅落っこちて
大きなたんこぶできました
しかもあんこは嫌いです

棚からケーキが落っこちて
クリームまみれになりました
だけどイチゴは大好きです

なのにイチゴが見つからない

見つからなくて探したら
頭の上のたんこぶに
ちょこりと鎮座してました
2001/11/18 (Sun)
私はよくものをなくす
よくものをなくすから
メモ帳に今までなくしたものを
書こうとしたけれど

何をなくしたのか忘れてしまい
そのまま白紙のメモ帳を
なくしたものを保管する場所へ持って行くしかなくて

白い髭をはやした係りのおじさんに
こんなんじゃ探し物は見つかりませんよ
なんて言われた日にゃあ

ポケットに手を突っ込んで
ひゅうひゅうひゅうと
吹けない口笛を吹くマネなんか
するしかないか
2001/11/17 (Sat)
ここでもういいよね
本当は家まで送りたいけど
もう
ここでいいよね

君はこの国道沿いを
あのトラックが走る方に歩いてごらん
僕は反対方向に歩いて行くから

君はこの空にある半月の
あの明るい方を持ってお行き
僕は薄っすらと輪郭をつくる
もう片ほうを持って行くから

歩き出したら決して振り返らない
それを最後の
二人の約束ごとにしよう

もう君を好きな僕はいない
もう僕を好きな君はいない

サイショニ ヤクソクヲ ヤブルノハ
キット ボク

僕の好きな君はいない
君の好きな僕はいない

2001/11/17 (Sat)
川は淀み
こんなに光のない夜に
その色がわかるほど
淀み

プールから溢れたタクシーは
橋の上に停留し
「空車」の赤い文字を灯し
停留し

僕は交差点の赤信号で
立ち止まり
車など通らぬのに
立ち止まり

淀む川
停留するタクシー
立ち止まる僕

コンマ単位で夜は進むのに
僕だけが進めない

夜も川も
あのタクシーたちも
そして
交差点を渡る僕も
進んでいくというのに

淀み
停留し
立ち止まる僕だけが
日付変更線を
こえられない


2001/11/16 (Fri)
髭を剃ろうと鏡を覗くと
白髪を一本発見した

台所と洗面所を兼ねる狭い社宅
妻は僕が髭を剃り終わるまで
朝食の準備はお預け

この部屋早く出たいね、と妻が言う
娘も来年入学だしね、と僕が答える

昨日食べたものたちは
朝一番でとっとと排出してしまった
日々消滅し増殖していく細胞たちのために
今朝もせっせと栄養を与える

僕は毎日をこなす
その事実だけは
昨日も、今日も、明日も
多分変わらない

いつもは右足から履く靴を
今日は左足から履いた

いってきます、と僕が言う
いってらっしゃい、と妻が答える

ドアを開ければ風は昨日より冷たい
そろそろコートでも出そうか、出すまいか
この季節はいつも悩む
2001/11/12 (Mon)
今日も西日が
本の背表紙を焼き
私は一人
サイダーを飲んでいます

サイダーの
炭酸の
その口の
中で奏でられる
シュワシュワシュワ
というのを聴きながら
チェアに一人
腰掛けているのです

チェアに腰掛けながら思うのは
今日のこと
昨日のこと
ちょっと前のこと
かなり前のこと
ああ、ずっと前のこと

思い出して
どうということは無いのですが
ただただ
ペラペラペラ
と捲るものを捲って
赤く染まる手をみながら
コップの中の泡
そして泡を見ながら
ペラペラペラと
やっているのです

思い出せる一番古いのは
薄暗い部屋で
家族と夕食を食べながら
泣いている私

一番新しいのは
西日のあたる部屋で
チェアに腰掛けながら
赤く染まる手や泡や本を見ている私

思い出すのは
今日のこと
昨日のこと
ちょっと前のこと
かなり前のこと
ああ、ずっと前のこと

そんなふうにひととおり
掻い摘んで思い出すと
私は閉じるものを閉じて
最後の一口を飲み干すのです
西日の中では
舞い立つ埃たちが
キラキラキラと
舞い立っているのです

もう一本持ってきてくれないか
そうか、誰もいないのですね
サイダーを飲みましょう
サイダーを

新しいのを飲みながら
もう私は捲らないので
もう閉じることもせずに
今日一日の残りの時間を
ユルユルユルと
過ごすのです

深く深く深く進行して行く
夜を
そして夜を
ユルユルユルと
過ごすのです

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* ILLUSTRATION BY nyao *