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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/18 (Wed)
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2006/05/25 (Thu)
ゼロックスを担いだ人が
命を狙いに来たので
タンポポで応戦しました
給紙トレーでの攻撃は
すさまじいものがありましたが
こちらの花弁も負けてはいません
雨でアスファルトが濡れている
そう考えた方がやられると思い
雨でアスファルトが濡れている
と考えないことだけを考えました
細胞壁で勝負は決しました
かつて生きたことがあるものの
強烈な名残でした
開いた口の奥で揺れるのどちんこが
大きくて綺麗でした
窓を開けるとすっかり晴れていて
音らしい音もありません
町内会長さんが歩いていました
先週まで副会長をしていた人でした
あげたスイカを美味しそうに食べた人でした
その向こうの空地に
新しく咲いたタンポポが見えます


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2006/05/25 (Thu)
先生はわたしたち一人一人に
新しい武器をわたしてくださる
先生、先生はどうして
テレビで見たそーり大臣に似ているの?
チルドレン わたしたち
ニューチルドレン 新しいわたしたち

人生いろいろ 会社もいろいろ
でも歌も旗もいろいろ
というわけにはいかないのですよ
と先生はおっしゃる
ニューソング ニューフラッグ
けれど新しくないものたちのために

武器の取り扱いには注意してください
間違うと大変な目にあいます
先生、ゆう君が大変な目にあってます
心配ありません
それを自己責任と言うのですよ
フォー・ザ・ソング
フォー・ザ・フラッグ
わたしたちがいる限り
ここは紛争地域ではないのですから

先生がくださったのは
本当は武器ではなく
新しい翼
どこまでも高く飛んでいけます
たとえ落ちて地面に叩きつけられても
先生はオペラでも鑑賞するかのように
いつも寛容に笑って
わたしたちも少し嬉しい

先生、わたしたちはうまく飛びます
だからその時は力強く褒めてください
よく頑張った
感動した
チルドレン わたしたち
ニュージェネレーション
背番号をふられた
新しい人として


2006/05/23 (Tue)
 *

朝起きて色を塗る
テーブルの上にある
野菜ジュースの中を
遠くまで行くことは
とても難しい

 *

虹を壊し
虹に壊されながら
走る子どもたちの足音が
回覧板でまわされる
狭い地面では金平糖に
夏のアリが集まり始める

 *

傘の話を
と言って傘の話をする人
口から次々と傘が出てくる
言葉で
とお願いする
忘れてしまったのです
また傘が出てくる

 *

朝起きると無題だった
父と母はすでに
エレベーターに乗っている
板橋区からお来しの
という案内が流れ
返事はまた繰り返される
屋上が壊れて久しい

 *

本に支障をきたしたので
それはもう本ではない
ページは断崖の形となり
かつて本であったものは
自らの中に身投げをする
けれど羽の形ばかりが
空に飛んでいってしまう

 *

体育館の薄皮をむく
そのための目がある
うち上げられた無数のヒグラシの亡骸に
薄く陽光があたっている
かなな
かようにして
耳は海へと続く

 *

眼鏡の匂いを思い出す日がある
まだ眼鏡などかけたことないのに
朝起きて触れるものに触る
それから呼吸の真似をしてみる
うまくなったね
大人にほめられた日が
かつてあった

 *
2006/05/19 (Fri)
きみの睡眠の中を走る
列車の軋む音を聞くと
世界が本当に
平面であることがわかる
ぼくらは座席に並んで腰をかけ
お手製の弁当を食べる
屋根の瓦が一枚落ちかかっているのだ、と
きみはさっきから
そのことばかり心配している
列車は平面の淵を行く
時折がたり、と揺れ
その度にぼくらは淵の向こうの
何も無い方へと
振り落とされそうになる
まだ夜の明けない頃
きみが寝返りをうってる
2006/05/18 (Thu)
五年かかって庭の木にやっと
たわわにおっぱいが実った
刺身、焼き、しんじょ、シチュー
いろいろあるなかで
やはり茹でて食うのが一番うまい
マヨネーズは味が濁っていけない
つけるのなら酢醤油だが
どうせなら何もつけないのが良い
父は言った
その夜、僕一人だけ起きて庭に出ると
地面に落ちていたおっぱいは形が崩れ
それでもおっぱいであり続けるために
風にふるふると揺れていた
僕は泣く泣く木を切り倒した
その木を使って大切な人に
首をくくって欲しくなかった

2006/05/17 (Wed)
発車ベルが鳴ると
髪の毛が風に笑ったね
誤算だったね
脚の長い女の子の
脚が長くてきれいだったね
「栞」を「おしり」と読んで
男の子がはしゃいでいたね
それはきっと僕だったね
港のガントリークレーンがキリンのようだったね
二機並んでいたね
先月動物公園で見たキリンは
花の側をゆっくり歩いていたね
メキシコに行きたい、と言っていたね
けれど行かなかったね
パスポートは優しく失効していたね
僕たちの言葉の中で
誤算だったね
センドウでは刺身が二十%オフだったね
天然物だったね
食べて何の問題もなかったけれど
テレビでは刑事役の男が射殺されていたね
地面に落ちて動いているアリを数えた
水不足の夏が昔あったね
本当は他のものも不足していたんだろうね
発車ベルが鳴り終わって
ドアが閉まると
髪の毛はもう風に笑わなかったね
誤算だったね
と言って何をごまかしてたんだろうね
右利きの君が左手で手を振ったね
発達した高気圧で
明日もきっと晴れるんだろうね
何の救いようもないくらいに


2006/05/16 (Tue)
先端のあやふやな人が
細長い話をしていたので
窓をもち歩く人が
そっと窓をしめる
何かが入り込むように
何かが出て行こうとするから

わたしは遅い夏の陸橋
レタスが逝った日のことを話した
その下を走り抜けるトラックの
荷台がきれいだったと話した

いのち
と言って先端のあやふやな人が
一番近い空をあやふやな先端で撫でると
閉ざされた窓の中で
わたしはまだ幼虫のように
子供であり続けた

2006/05/16 (Tue)
疲れた、と

至近距離から
鼻毛ロケット
発射
安い惣菜
しこたまのお土産

寝る間も惜しんで
発射
紙に文字を書くような音で
バス到着
疲れた、と

乗り込み
呼吸する速度で
鼻毛ロケット
びよよん
新緑を、と

表情はうららか
でも発射するのは
いつも同じ
運転手と
深く握手
几帳面な響きで
降り続ける雨
皆様、右に見えますのが

疲れた、と
発射
思い出によく似て
それは追い越し
その速度で
鼻毛ロケット
粉々になる
あなたをいつか愛した
2006/05/11 (Thu)
生野菜が部屋を出て行く
生の野菜
それだけの理由で
ぼくらはたくさんの歯形をつけた

外では大切に育ててきたバス停が
音もなく
静かに腐っている
逝くものだけが優しいのだ、と
きみは優しい嘘を言った

出会わなければならない
ぼくらの受けてきた性教育は
いつもかわいそうな感じがした
水槽にいっぱい水を入れて
それから
魚を一匹逃がしてあげた
2006/05/09 (Tue)
窓辺に頬杖し
少年は大きな音を立てて通過する列車を眺めていた
用事があればそれに乗ることもあった
ボックス席の窓側に好んで座り、近くにくれば
自分がいつも列車を眺めている窓を目で追った
当たり前のことだけれども
そこに自分の姿はない
のと同じように
走り去った列車の窓のどこにも
自分を見つけるはずもなかった

ふと
「焼き魚」という言葉で世界を満たしたくなる
焼き魚のことは好きでも嫌いでもなかった
ただ、世界を満たすには
好きなものでも嫌いなものでも駄目な気がした

やきざかな やきざかな やきざかな

ノートを埋めていく
漢字を知らないので平仮名で書いた

ヤキザカナ

呟いたところは知らないうちに片仮名になっていたが
求めているものとはどこか違っていて
消しゴムで消した

ただいま、というか細い声とともに
母親が帰宅する
窓から斜めに射す西日が作る凹凸の陰影で
まだ若い母親の顔は泣いているように見えた
実際、泣いているようだった
そのことの意味がわからなかった
少年にはまだ、わからないことが沢山あった


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* ILLUSTRATION BY nyao *