プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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スクランブル交差点の真ん中でひとり
ちきゅうにやさしい
すき焼き・しゃぶしゃぶ食べ放題
四人様からお願いします
と店員さんには言われたけれど
自分の養わなければならない細胞の数を述べたら
甘さひかえめになります、あと不動産のご相談は当社へ
という条件で許してくれた
壁や天井が無くても、完全個室だから平気だし
交差点の真ん中でもわりと平気だし
飲み放題も二時間千円だからお財布にも安心で嬉しい
クーポンを使えば、更にお得になるはずなのに
クーポンを探し始めて二十数年間、一度も見つからない
もしかしたらこのまま一生見つからずに
何がお得なのも知ることなく
自分もお店も朽ちていくのかもしれない
ご利用は計画的に
と、いろいろなところで言われてきたけれど
利用されることのない計画だけが
手帳の隙間を延々とどこまでも埋めていく
信号が青に変わり散歩中の犬が笑いながらやってくる
失礼にならないように挨拶をする
「こんにちは。わたし、人です。
あなたと同じ、生き物、と言います。」
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シロツメクサが燃える
その灰で僕は
無色の麦藁帽子を作った
誰も許してくれないから
まだ駅のロッカーにしまったまま
身体が長くなる
そんな様子を目視できる日々があった
僕は目に生まれ
いつかきっと目に終わる
景色と自分とのずれを修正する
そろそろハーモニカ工場の
家賃を払う期日がやってくる


夏至は過ぎた
バッタが叫ぶ
長椅子の陰で
低地の王国には
車のエンジンが
冷たいまま飾られている
産卵を終えて
ジェット機は行く
もうそこを
誰も空とは呼ばない
何度も口にしてみる
あなた
あなた
あなた
どうしても思い出せない名前が
私にはある


小さな虫を追いかけて
少年がどこまでも走っていきます
窓の内側でも外側でもなく
ガラスの中に広がる草むらを
何も持つことなく
私はいったい何時
ガラスの中から出てきたのでしょう
さっきまで少年といっしょに
あの厚さの中を走っていたはずなのに
私のことなど忘れてしまった人のように
少年は走っていきます
もうすぐ崖です
地面は終り、そこから先は
空気ばかりが続いています


電柱の傍らに
人が立っていた
面接官、と書かれた名札を
首からぶら下げて
前を通り過ぎようとすると
採用です
そう告げられた
面接官は去り
替わりに名札をぶら下げて立つ
以来、数年経つけれど
未だに良い人材が
前を通り過ぎない


消しゴムを食べていると
母が気を利かせて
夏みかんのジャムを持ってきてくれた
消しゴムなど食べられるはずもないから
いらない、と断ると
代わりにコーヒーを入れてくれた
やはり消しゴムにはコーヒーが合うなあ
そう思いながら
またひとつ消しゴムを口へと運ぶ
母は嬉しそうに
立ったままこちらを見ている
右利きなので
海の右側に立つ癖がある
どんなに海から離れていても


壁に壁の絵を描きます
そのうちにどこからどこまでが
本物の壁かわからなくなります
途方に暮れていると
ゴミ収集車が最後のゴミを積んで
走り去って行きます
わたしはあれには乗れません
夢でなら乗ったこともあるのですが
運転手さんの名前を
聞きそびれてしまいました


椅子と椅子の隙間から
右側だけの手紙を書きます
今日は洗濯物を
たくさん畳まなければならないので
表札はきれいに外しておきました
見えるだけの郵便局の前から
鳩の歩く音が聞こえてきます
本当は音ではないのかもしれません
飛行機の人が
嘘泣きのように泣いています
左側の手紙を握りしめて


窓辺に飾られた
一輪のチューリップが
ひとり言をしている
叶えられなかった夢について
叶えられた些細な願い事について
自分がここにあることの意味について
そしてその無意味さについて
何故こうなったのか
何故そうならなかったか
誰がこうしたのか
誰がそうしなかったのか
そのようにして暮れていく
春の日がある
私の拙い腹話術で


眠りすぎたアルマジロが
夜、買い物に出かける
満月には人のロケットが
数本突き刺さって
何かをお祝いしている
店は既に閉まっているので
丸まって待つ
冷蔵庫の中のように寒いけれど
肝心の冷蔵庫は修理にだしたまま
電気屋から戻ってこない