プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2011/05/03 (Tue)
詩
スクランブル交差点の真ん中でひとり
ちきゅうにやさしい
すき焼き・しゃぶしゃぶ食べ放題
四人様からお願いします
と店員さんには言われたけれど
自分の養わなければならない細胞の数を述べたら
甘さひかえめになります、あと不動産のご相談は当社へ
という条件で許してくれた
壁や天井が無くても、完全個室だから平気だし
交差点の真ん中でもわりと平気だし
飲み放題も二時間千円だからお財布にも安心で嬉しい
クーポンを使えば、更にお得になるはずなのに
クーポンを探し始めて二十数年間、一度も見つからない
もしかしたらこのまま一生見つからずに
何がお得なのも知ることなく
自分もお店も朽ちていくのかもしれない
ご利用は計画的に
と、いろいろなところで言われてきたけれど
利用されることのない計画だけが
手帳の隙間を延々とどこまでも埋めていく
信号が青に変わり散歩中の犬が笑いながらやってくる
失礼にならないように挨拶をする
「こんにちは。わたし、人です。
あなたと同じ、生き物、と言います。」
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2011/05/02 (Mon)
詩
シロツメクサが燃える
その灰で僕は
無色の麦藁帽子を作った
誰も許してくれないから
まだ駅のロッカーにしまったまま
身体が長くなる
そんな様子を目視できる日々があった
僕は目に生まれ
いつかきっと目に終わる
景色と自分とのずれを修正する
そろそろハーモニカ工場の
家賃を払う期日がやってくる
2011/04/30 (Sat)
詩
夏至は過ぎた
バッタが叫ぶ
長椅子の陰で
低地の王国には
車のエンジンが
冷たいまま飾られている
産卵を終えて
ジェット機は行く
もうそこを
誰も空とは呼ばない
何度も口にしてみる
あなた
あなた
あなた
どうしても思い出せない名前が
私にはある
2011/04/29 (Fri)
詩
小さな虫を追いかけて
少年がどこまでも走っていきます
窓の内側でも外側でもなく
ガラスの中に広がる草むらを
何も持つことなく
私はいったい何時
ガラスの中から出てきたのでしょう
さっきまで少年といっしょに
あの厚さの中を走っていたはずなのに
私のことなど忘れてしまった人のように
少年は走っていきます
もうすぐ崖です
地面は終り、そこから先は
空気ばかりが続いています
2011/04/27 (Wed)
詩
電柱の傍らに
人が立っていた
面接官、と書かれた名札を
首からぶら下げて
前を通り過ぎようとすると
採用です
そう告げられた
面接官は去り
替わりに名札をぶら下げて立つ
以来、数年経つけれど
未だに良い人材が
前を通り過ぎない
2011/04/26 (Tue)
詩
消しゴムを食べていると
母が気を利かせて
夏みかんのジャムを持ってきてくれた
消しゴムなど食べられるはずもないから
いらない、と断ると
代わりにコーヒーを入れてくれた
やはり消しゴムにはコーヒーが合うなあ
そう思いながら
またひとつ消しゴムを口へと運ぶ
母は嬉しそうに
立ったままこちらを見ている
右利きなので
海の右側に立つ癖がある
どんなに海から離れていても
2011/04/25 (Mon)
詩
壁に壁の絵を描きます
そのうちにどこからどこまでが
本物の壁かわからなくなります
途方に暮れていると
ゴミ収集車が最後のゴミを積んで
走り去って行きます
わたしはあれには乗れません
夢でなら乗ったこともあるのですが
運転手さんの名前を
聞きそびれてしまいました
2011/04/24 (Sun)
詩
椅子と椅子の隙間から
右側だけの手紙を書きます
今日は洗濯物を
たくさん畳まなければならないので
表札はきれいに外しておきました
見えるだけの郵便局の前から
鳩の歩く音が聞こえてきます
本当は音ではないのかもしれません
飛行機の人が
嘘泣きのように泣いています
左側の手紙を握りしめて
2011/04/22 (Fri)
詩
窓辺に飾られた
一輪のチューリップが
ひとり言をしている
叶えられなかった夢について
叶えられた些細な願い事について
自分がここにあることの意味について
そしてその無意味さについて
何故こうなったのか
何故そうならなかったか
誰がこうしたのか
誰がそうしなかったのか
そのようにして暮れていく
春の日がある
私の拙い腹話術で
2011/04/19 (Tue)
詩
眠りすぎたアルマジロが
夜、買い物に出かける
満月には人のロケットが
数本突き刺さって
何かをお祝いしている
店は既に閉まっているので
丸まって待つ
冷蔵庫の中のように寒いけれど
肝心の冷蔵庫は修理にだしたまま
電気屋から戻ってこない
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