忍者ブログ
こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
  ブログ内検索
  月間アーカイブ

  最新記事
(04/10)
(03/29)
(03/27)
(03/22)
(03/20)
  最新コメント
[09/10 GOKU]
[11/09 つねさん]
[09/20 sechanco]
[06/07 たもつ]
[06/07 宮尾節子]
  最新トラックバック
  投票所
     
クリックで投票
 ↓ ↓ ↓
人気blogランキング
    
  バーコード
  カウンター
[18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28]
2024/05/14 (Tue)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2011/07/02 (Sat)
 
 
右手の人差し指が
鍵になってしまった
どこの鍵だろう、と
合いそうな鍵穴を探すけれど
鍵の要らない穴しか見つからない
ふと鏡をみると
自分のおでこのあたりに
それらしき穴がある
ぴったりとはまる
鍵を回した時
自分は開くのだろうか
それとも閉まるのだろうか
そんなことを考えているうちに
左手の方には少しずつ
夏が近づいている
  
  
 
PR
2011/07/01 (Fri)
 
 
僕らの日々は
いつも少し淋しいから
食べたり
話したり
触ったりする
電車が止まる
それがあなただったと
後日人から聞いて
初めて知った
 
 
2011/06/30 (Thu)
 
 
とても柔らかな
パンを焼いていると
わたしの指は
マヨネーズ
できることと
できないことの
 
お風呂場に散らばった
キュウリの抜け殻を
お父さんはまだ
片付けてくれない
あんなに
採れたてだったのに

ガラス張りのビル
出てくる子どもたち
どうすれば
あそこまで行けるのだろう
言葉とわたしと
ここに置いて
 
 
2011/06/27 (Mon)
 

夕暮れの公園で牛が一頭
シーソーに座っている
反対側にトンボがとまる
牛は少し腰を浮かせる
トンボは驚いて
飛び去って行った
しばらくして
男の人がやってくる
牛は腰を浮かす準備をする
男の人はシーソーに座ることなく
公園に置き忘れた
夕日を持って帰った
後には星空と牛が
友だちのように残された
 
 
2011/06/26 (Sun)
 
 
低気圧の接近、
する唇から
漏れる苦い言葉
水へと沈み
二度と浮上しない深海の
珍しい魚になる
従兄は輪転機を回し
僕らの指紋を
大量印刷している
これでも昔はお医者さんだったんだよ
と言って輪転機を回し続けている
今とどちらが幸せか、
なんて言わない
幸せ、の意味すらも
僕らはたぶん知らない
 
 
2011/06/25 (Sat)
 
 
カバンを抱えて人を待っている
いつしかカバンから手足が生えてくる
カバンに抱えられる
私の手足は引っ込む
カバンが私のファスナーを開ける
あんなにあった体の中身がなくなっている
最初から何もなかったのかもしれない
カバンは自分の中身を
空っぽの私に移す
いろいろなものの角があたって
内側から痛い
雨が降り始める
濡れないようにしてくれたのだろうか
ぎゅっと抱きしめられる
 
  
 
2011/06/23 (Thu)
 
 
粒の中に
粒、ずっと粒
惑星のように
ささやくと
平たくなる
蟹になる
蟹はハサミを見ている
ハサミの向こうに海
海からの風
でもハサミだけ見ている
ハサミに刻まれた
ぼんやりとした名前
生きた証にもならない
国語が得意だから
ノートは漢字だらけ
誉めてくれた先生も
今は知らないどこかの粒の中で
板書をしている、と聞いている
ウミネコを見ている、と聞いている
ウミネコの鳴き声に
蟹は穴へと入る
穴は産道に似ている
産道など蟹は通ったこともないのに
それでも惑星は蟹を包みこむ
街は今日もラブソングが溢れ
優しさに満ちている
そのことが少し恥ずかしい
杖をついたお年寄りが
小さく悪態をついて立ち去る
はずれの方に
夕べ呟いた独り言のような
虹がかかっている
  
  
 
2011/06/21 (Tue)
 
 
アトリエで
鳥と歌う
リスと笑う
鉛筆に泣く
 
 +
 
飽きてしまった
飛ぶことにも
理屈をつけることにも
襟を汚したまま
  
 +
 
空いているところに
特記事項を書く
立夏は過ぎた
駅の事務所で

 +

あくびをした
突然した
リボンをかけても良い?
えくぼの代わりに
 
 +
 
アメリカだったね
通りの向こう側
リンダ、手を振った
円で買った、リンダ
 
 +

雨はやがてあがり
都心ではひっそりと
立方体の箱に
エビが詰められている

 +

足に眠っている
ト音記号の抜け殻
リズムは逝く
液体となって

 +
 
アトリエなどなかった
鳥も
リスもいなかった
鉛筆がただ描き続けた
 
 
2011/06/20 (Mon)
 
 
洗濯物を畳む
隣では母が洗濯機を畳んでいる
自分で洗濯物も畳めないほど
すっかり老いてしまった

母は工具等を手にしながら
ここはどうするの
と時々聞いてくる
面倒くさくて
聞こえない振りや
生返事をしたりする
昔から親子だった
そしてこれからも

夜になると一人で
畳まれた洗濯機を元に戻す
明日また、母が畳めるように
最初は三時間以上かかっていたのが
近頃は一時間位で済むようになった
  
 
2011/06/19 (Sun)
 
 
歯を磨いた
言い訳をした
良い年をして
どちらもまだ
得意ではない
食事をすれば
食べ物をこぼす
箸の持ち方は
三年前に直した
誰も傷つけることなく
誰から見ても正しいことを
一度で良いから
しておきたかった
 
 
忍者ブログ [PR]

* ILLUSTRATION BY nyao *