プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2008/05/03 (Sat)
短い詩
砂漠の真ん中に
ペンギンの死体があった
穏やかな光の祝福を受けて
左右非対称に腐れていた
耳をすませば
崩れる音も聞こえた
老いた男はか細い腕で
窓を閉めた
風で砂が入るのを嫌った
砂漠の真ん中に
ペンギンの死体があった
穏やかな光の祝福を受けて
左右非対称に腐れていた
耳をすませば
崩れる音も聞こえた
老いた男はか細い腕で
窓を閉めた
風で砂が入るのを嫌った
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2008/04/26 (Sat)
短い詩
朝も夜もわたしたちは
わたしたちの身体を
繰り返していく
細く覚束ない手つきで
少しの過ちを訂正しながら
そのような過程を
日々の営み、と
呼んだりもするが
本当は命ひとつの重さすら
正確に量ることはできないのだ
朝も夜もわたしたちは
わたしたちの身体を
繰り返していく
細く覚束ない手つきで
少しの過ちを訂正しながら
そのような過程を
日々の営み、と
呼んだりもするが
本当は命ひとつの重さすら
正確に量ることはできないのだ
2008/04/24 (Thu)
短い詩
使い古された祈りのように
どこまでも机が並んでいます
その先には針葉樹林があって
仲の良い母と子が
なくした傘を探しています
木洩れ日が揺れて
ときどき音なども聞こえてきます
使い古された祈りのように
どこまでも机が並んでいます
その先には針葉樹林があって
仲の良い母と子が
なくした傘を探しています
木洩れ日が揺れて
ときどき音なども聞こえてきます
2008/01/29 (Tue)
短い詩
空をさす小枝のような
父の指に
赤とんぼがとまる
お父さん
声をかけると
赤とんぼを残して
父は飛んでいってしまった
驚かせるつもりなんてなかった
いい年をして、と
笑われるかもしれないけど
もう一度だけ
褒めてほしかった
空をさす小枝のような
父の指に
赤とんぼがとまる
お父さん
声をかけると
赤とんぼを残して
父は飛んでいってしまった
驚かせるつもりなんてなかった
いい年をして、と
笑われるかもしれないけど
もう一度だけ
褒めてほしかった
2007/12/24 (Mon)
短い詩
歯ブラシを持って
弟がどこまでも走っていく
小さいころから助走をつけないと
歯磨きのできない子だった
誰よりも美しい
世界で一番の助走だと思った
最近人の目を見て話ができるようになった
弟はわたしの目を見ることなく
失敗したときのような笑顔で言った
弟がどこまでも走っていく
小さいころから助走をつけないと
歯磨きのできない子だった
誰よりも美しい
世界で一番の助走だと思った
最近人の目を見て話ができるようになった
弟はわたしの目を見ることなく
失敗したときのような笑顔で言った
2007/12/16 (Sun)
短い詩
指専用のバス停に
思い思いの格好で指が並んでいる
やがて指専用のバスがくると
指たちは順番に乗り込んでいく
おそらく指にしか
行けないところがあるのだ
慰めが必要だったのは
本当は誰だったのか
今頃あなたの不器用そうな指が
曇った窓ガラスを
指で拭っているだろう
思い思いの格好で指が並んでいる
やがて指専用のバスがくると
指たちは順番に乗り込んでいく
おそらく指にしか
行けないところがあるのだ
慰めが必要だったのは
本当は誰だったのか
今頃あなたの不器用そうな指が
曇った窓ガラスを
指で拭っているだろう
2007/07/03 (Tue)
短い詩
小さなバス停を飼った
小さい割にはよく食べた
それでも店員の言ったとおり
あまり大きくはならなかった
一日に数本小さなバスが停まった
行先はどこでもよかった
夜、明かりを消して床に着くころ
最終バスの到着する音と
癖なのだろうか、発車する間際の
運転手の小さな咳が
聞こえてくる
小さい割にはよく食べた
それでも店員の言ったとおり
あまり大きくはならなかった
一日に数本小さなバスが停まった
行先はどこでもよかった
夜、明かりを消して床に着くころ
最終バスの到着する音と
癖なのだろうか、発車する間際の
運転手の小さな咳が
聞こえてくる
2007/06/23 (Sat)
短い詩
コップの中に
クモが死んでいた
窓からは小さな光が
降り注いでいた
懐かしく干からびて
良く見ると
キリンの死体だった
外に運び出さなければ
と思うけれど
大きすぎて
どこからも出せない
もうしません、もうしません、
ノートに書き続けている間に
夏休みのようなものは終わり
宿題を提出する音が
微かにしている
クモが死んでいた
窓からは小さな光が
降り注いでいた
懐かしく干からびて
良く見ると
キリンの死体だった
外に運び出さなければ
と思うけれど
大きすぎて
どこからも出せない
もうしません、もうしません、
ノートに書き続けている間に
夏休みのようなものは終わり
宿題を提出する音が
微かにしている
2007/06/23 (Sat)
短い詩
たくさんの鳥
そして少しの懐かしい人を乗せ
他に何も無いような空港から
飛行機は飛び去って行った
覚えていることと
忘れていないことは
常に等量ではない
夏の敷石の上で見送って
端っこを
ホッチキスで綴じた
そして少しの懐かしい人を乗せ
他に何も無いような空港から
飛行機は飛び去って行った
覚えていることと
忘れていないことは
常に等量ではない
夏の敷石の上で見送って
端っこを
ホッチキスで綴じた