プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2006/07/22 (Sat)
短い詩
受話器が落ちている
繋がるべきものから離れ
それもまた
溺れているのだ
突然、落下
してきた空に押しつぶされ
わたしたちは窒息する
小さな村
家々にかけられた表札に
夏の光が差している
繋がるべきものから離れ
それもまた
溺れているのだ
突然、落下
してきた空に押しつぶされ
わたしたちは窒息する
小さな村
家々にかけられた表札に
夏の光が差している
2006/07/21 (Fri)
短い詩
魚類図鑑を開き
少年は魚になった自分を
想像する
エラ呼吸の仕方が
わからないので
いつも溺れてしまう
遺書は
鳥類図鑑に挟まれている
夏空の飛び方なら
誰よりも詳しく
知っているのだ
少年は魚になった自分を
想像する
エラ呼吸の仕方が
わからないので
いつも溺れてしまう
遺書は
鳥類図鑑に挟まれている
夏空の飛び方なら
誰よりも詳しく
知っているのだ
2006/06/26 (Mon)
短い詩
真夏日、沿岸部には波浪注意報が発令され
世界中の溝口さんが落下していた
親戚の少女は大きな中華鍋を持って
兄と一緒に家を出て行く
重い、と言うと兄は悲しそうに首を振った
牛の死体を引きずるのに精一杯だったのだ
溢れんばかりの愛が生産され続けている
兵士は砲台に立ち
妻の干した洗濯物が良く乾くように願った
その先に詩などあるはずもない
世界中の溝口さんが落下していた
親戚の少女は大きな中華鍋を持って
兄と一緒に家を出て行く
重い、と言うと兄は悲しそうに首を振った
牛の死体を引きずるのに精一杯だったのだ
溢れんばかりの愛が生産され続けている
兵士は砲台に立ち
妻の干した洗濯物が良く乾くように願った
その先に詩などあるはずもない
2006/06/25 (Sun)
短い詩
鳴く電灯があったので
となりに
鳴かない電灯を置いた
テーブルは墓石のように
きれいに磨かれていた
ほぐれていくね
握った手を開くと指は
どこまでも伸びていかなくて
ヒツジみたいに
あなたを愛した
お伽噺は
いつもそこで終わっている
となりに
鳴かない電灯を置いた
テーブルは墓石のように
きれいに磨かれていた
ほぐれていくね
握った手を開くと指は
どこまでも伸びていかなくて
ヒツジみたいに
あなたを愛した
お伽噺は
いつもそこで終わっている
2006/04/26 (Wed)
短い詩
竹やぶ焼けた
死体が出てきた
竹の煙に燻されて
肉の良い匂いがした
警察の人が毛布にくるんで
運んでいた
うぐいすの鳴く木の下を
真新しいランドセルの小学生が
二人、三人と通っていく
ポンチ画のように
一面広がる春の中で
わたしだけが
泣くべき間柄だった
死体が出てきた
竹の煙に燻されて
肉の良い匂いがした
警察の人が毛布にくるんで
運んでいた
うぐいすの鳴く木の下を
真新しいランドセルの小学生が
二人、三人と通っていく
ポンチ画のように
一面広がる春の中で
わたしだけが
泣くべき間柄だった
2006/03/25 (Sat)
短い詩
キッチンでは妻の脱皮が始まっていた
手伝われるのを拒むように
かつて僕が愛撫したことのある皮膚を
ゆっくりと丁寧に脱いでいく
新しい箇所は少し湿って
しわしわしているけれど
やがて時間がたてば綺麗に乾き
また人懐っこく笑ったりもするのだ
いつからだろう
具のわからない味噌汁が
鍋で沸騰している
手伝われるのを拒むように
かつて僕が愛撫したことのある皮膚を
ゆっくりと丁寧に脱いでいく
新しい箇所は少し湿って
しわしわしているけれど
やがて時間がたてば綺麗に乾き
また人懐っこく笑ったりもするのだ
いつからだろう
具のわからない味噌汁が
鍋で沸騰している