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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
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たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2024/04/20 (Sat)
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2006/03/08 (Wed)
ノックの音がした
開けるべき扉が無いので
少女は熱のように
野原を走り続ける
発汗を繰り返した後
最近覚え始めた文字に似せて
自分の名を地面に書いた
海の近くに住んでいると
まだ知らなかった
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2006/02/14 (Tue)
風が吹いていた
風のように母は声になった
声のように鳥は空を飛んで
鳥のように私は空腹だった
空腹のように
何も欲するつもりはなかったのに
母についていくつか
願い事をした
2006/02/11 (Sat)
サメのひれを持った人が
ゾウの鼻を踏んづけたまま
時計の歌を歌った

それで終わる物語に
読み仮名だけが振られている

今日は春も近いのに
誰も二階から降りてこない
2006/02/09 (Thu)
疲れてピアノが寝ていた
狭いピアノだったので
添い寝をすることもできた
やがて、か
間もなく、か
多分それくらいのことだろう
僕であることを間違えた僕を乗せて
草の列車が発車する
できるだけ一番寒くない格好をして
見送ってあげたかった
2006/02/04 (Sat)
駅前にはたくさんの
駅が並んでいて
降り出した雨に
みな一様に同じ音をたてている
線路は出鱈目にひかれ
それでも人は
誰かを待ち続けなければならない
世界で一番
悲しく笑うために
2006/02/04 (Sat)
世界で一番悲しい人が笑った
花のようだった
花の名前と同じ速度で
列車は走った
良い陽が入るね
そう話す乗客たちの袖口は
等しく汚れていた
窓の外にはいつも窓の外がある
ということにみな安心していたけれど
それを希望と呼ぶには
まだ誰の指先も生まれてなかった
2006/01/19 (Thu)
なくしたものと
もういない人とが
ありえないシーソーで
つりあってる
そんな救いのない話しか
思い出せない
と証言台で男は述べたが
語尾はすでに
空気と区別がつかなかった
街のいたるところに
夏は来ていた
木陰で語られる愛は
いつものように眩いばかりだ

2005/12/31 (Sat)
両手いっぱいに
林檎を抱えている人がいた
あんなに抱えて
きっと林檎が好きな人なのだろう
僕は右手にひとつの白球を持って
王国をつくりに帰るところだった
2005/11/10 (Thu)
やがて光が空から降りそそぎ
何かの形になると
それはわずかばかりの質感をもって
わたしたちの背中を押す
わたしたちは少し慌てたように
最初の一歩を踏み出す
でも決して
慌てていたわけではないのだ
わたしの隣にあなたがいて
あなたの隣にわたしがいる
ただそれだけの
今日の祝い
2005/11/01 (Tue)
女は唇から
思い出そうとする
感情的な林檎
その干からびた意味の飛沫を
けれど壁はどこまでも
地平線のように連なり
顔の凹凸は遡及して
闇といわれれば闇かもしれない
の中に失われていく
どれもこれも女にとっては
仕方の無いことだった
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* ILLUSTRATION BY nyao *