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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2024/04/25 (Thu)
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2012/05/24 (Thu)

学齢期をむかえた父が
レジに並ぶ
帳面と鉛筆を買ったのに
店を出ないで俯いている
帰る場所がわからないらしい
どこから来たの、と聞くと
わからない、とだけ答える
やがて見かねた母が迎えに来る
父の乗った車椅子を押して
寝室に帰っていく
ままごとみたいに
すべて忘れていくんだね
すべて忘れて
きれいになっていくんだね
 

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2012/05/23 (Wed)
 
虫たちの羽音やおしゃべりが 
ゆっくりと化石になりました
枝分かれした菌糸の先端に偏西風が吹いて 
地球は卵のまま午後をむかえています
今日はあまり口を開けないでくださいね
体の中に外が入ってしまいます

 
 
 
2012/05/22 (Tue)

空豆の裏に願い事を書いた
きれいな毛並みを
もう少し撫でていたかったけれど
狭くなってきたので
帰るしかなかった
途中、遠回りして
クラゲ工場を見学した
 
 
 
2012/05/21 (Mon)
 
すべてプラスチックだった
体育館の屋根のように
静かに笑って
アイロンの練習をしていた
誰かが小さな咳をした
みんなで心配などをした
  
 
 
2012/05/17 (Thu)
 
ベッドからどこにも行けない
そんな入道雲だった
繁茂する植物から
こぼれる光を集めて
キャラメル色の砂利道で
肩幅の狭いピアノの調律師が
子供と週末の相談をしている
何が幸せで、何が不幸せか
決めることもできずに
 
 


2012/05/15 (Tue)
 
澄んだ犬の鼻先で
春一番の風車が回る
僕らは海鳥のために
塩水を敷き詰めていく
たとえそれが
はき違えた優しさであっても
番組の中継が
ランドセル畑に切り替わる
収穫の最盛期だった
  
 
 
2012/05/14 (Mon)
 
バルセロナで象を拾う
春が来ると
いつも何かを諦める
諦めたくない何かのために
火薬庫の前で
遅いランチをとった
水道を行く黒船を見て
覚えたてのように笑う
 
  
 
 
2012/05/13 (Sun)
 
筆箱の上に夜が広がる 
父のてのひらは冷たいまま 
砂丘を触り続ける  
ゼリー状の月がのぼる
妊婦が口元を押さえて笑う
 

2012/05/11 (Fri)
 
 
自転車のか細いペダルが
今日は博物館の
涼しい庭にまで届く
始まったばかりの夕暮れの中
まぶたの絵を描き終えて
少年は柔らかな繊維になる
  


 
  
 
2012/05/10 (Thu)
 
 
ビーフシチューのネジが外れた
あっけなくばらばらになった
あんなに美味しかったのに
いろいろなパーツに分かれて
味もわからなくなってしまった
大切なものはいつか壊れる、なんて
それっぽいことを言ってみるけれど
壊してきたのは
いつも自分自身だった
レシピ本を開いて
肉やニンジン等の
正確な位置を確かめながら
夜明けまでシチューを組みたてていた
  
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *