プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2012/03/06 (Tue)
詩
黄ばんだ紙
表と裏
その間に
地方都市
雑居ビルの一室から
産声
産まれることの
懐かしい痛み
短い言葉は
短い影をつくり
壁は語られる
曖昧な
理屈によって
ふと吹いた風に
紙が舞う
足などに踏まれ
粉々になる
女の人が
上の空で
逃げ水を見ている
黄ばんだ紙
表と裏
その間に
地方都市
雑居ビルの一室から
産声
産まれることの
懐かしい痛み
短い言葉は
短い影をつくり
壁は語られる
曖昧な
理屈によって
ふと吹いた風に
紙が舞う
足などに踏まれ
粉々になる
女の人が
上の空で
逃げ水を見ている
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2012/03/05 (Mon)
詩
冷蔵庫の扉が
閉まらなくなった
代わりに
炊飯器の蓋をつけた
閉まるようになった
炊飯器の蓋には
冷蔵庫の扉をつけた
毎日、ご飯の時が
重くて大変だけれど
つらいことばかりじゃないよ
と、君は笑う
冷蔵庫の扉が
閉まらなくなった
代わりに
炊飯器の蓋をつけた
閉まるようになった
炊飯器の蓋には
冷蔵庫の扉をつけた
毎日、ご飯の時が
重くて大変だけれど
つらいことばかりじゃないよ
と、君は笑う
2012/03/04 (Sun)
詩
死にたいな、
群青
産まれてから今まで
食べたバナナの数を計算すると
予想より多くて
思っていたより少ないから
どんな気持ちになってよいのか戸惑う
親父はすっかりまだらボケ
時々俺を誰かと間違えるようにまでなった
背中の斜面
太陽の灯火
可愛がってくれた野口さんは
転んだ拍子に死んじまった
たーちゃんはいい子だね、
たーちゃんはいい子だね、
でもね、野口さん
たーちゃんはいい大人にはなれなかったよ
それでも生の端っこにしがみついて
俺を殺さないでくれ、と
何かに懇願するんだろう
空も風も
何であんな所にありやがる
死にたいな、
群青
死にたいな、
群青
死にたいな、
群青
産まれてから今まで
食べたバナナの数を計算すると
予想より多くて
思っていたより少ないから
どんな気持ちになってよいのか戸惑う
親父はすっかりまだらボケ
時々俺を誰かと間違えるようにまでなった
背中の斜面
太陽の灯火
可愛がってくれた野口さんは
転んだ拍子に死んじまった
たーちゃんはいい子だね、
たーちゃんはいい子だね、
でもね、野口さん
たーちゃんはいい大人にはなれなかったよ
それでも生の端っこにしがみついて
俺を殺さないでくれ、と
何かに懇願するんだろう
空も風も
何であんな所にありやがる
死にたいな、
群青
死にたいな、
群青
2012/02/29 (Wed)
詩
傍らに咲く向日葵の肩に
歯車、のようなものが落ちて
僕らは片言で話す
君はカタコトと音をたてて
一面の夜みたいに
目を閉じている
カタコト
カタコト
いつかそんな音がする列車に
二人で乗ったね
目は開けていたけれど
真っ暗な中を走る
たしか、最終列車だったね
そして思い出という言葉を
使えるほどの勇気も
僕らはまだ持ち合わせていないね
歯車のようなものが飛んでいく
あれは歯車ではなくて
羽のある何か小さな生き物
何も忘れることなく
何も奪うことなく
きれいに見えなくなる
傍らに咲く向日葵の肩に
歯車、のようなものが落ちて
僕らは片言で話す
君はカタコトと音をたてて
一面の夜みたいに
目を閉じている
カタコト
カタコト
いつかそんな音がする列車に
二人で乗ったね
目は開けていたけれど
真っ暗な中を走る
たしか、最終列車だったね
そして思い出という言葉を
使えるほどの勇気も
僕らはまだ持ち合わせていないね
歯車のようなものが飛んでいく
あれは歯車ではなくて
羽のある何か小さな生き物
何も忘れることなく
何も奪うことなく
きれいに見えなくなる
2012/02/28 (Tue)
詩
夜、すべての列車が
運行を終えたころ
駅にしんしんと
ネジが降り始める
駅舎の出入口や
線路に積もったネジを
当直の駅員がネジかきをする
やがてネジは止み
夜明けにはすべて溶けて
人々は何もなかったかのように
駅に集まるだろう
そして今日もどこかで
ネジは締められ
緩められ
ゆっくりと酸化し
愛する人のために盗まれる
一本のネジもあることだろう
夜、すべての列車が
運行を終えたころ
駅にしんしんと
ネジが降り始める
駅舎の出入口や
線路に積もったネジを
当直の駅員がネジかきをする
やがてネジは止み
夜明けにはすべて溶けて
人々は何もなかったかのように
駅に集まるだろう
そして今日もどこかで
ネジは締められ
緩められ
ゆっくりと酸化し
愛する人のために盗まれる
一本のネジもあることだろう
2012/02/26 (Sun)
詩
湿った自転車を押して
海に向かいます
水つながりで
相性がとても良いのです
防風林の間を進むと
しばらく進むと
ポケットに小銭があります
ものが買えるくらいあります
壁に手をついているうちに
大人になっていた
大人ってみんなそんな感じがします
そして草や虫の
名前とか性質とかについても
話をしたりするようになります
海が見えてきました
さあ、楽しみましょう
湿った自転車を押して
海に向かいます
水つながりで
相性がとても良いのです
防風林の間を進むと
しばらく進むと
ポケットに小銭があります
ものが買えるくらいあります
壁に手をついているうちに
大人になっていた
大人ってみんなそんな感じがします
そして草や虫の
名前とか性質とかについても
話をしたりするようになります
海が見えてきました
さあ、楽しみましょう
2012/02/25 (Sat)
詩
窓ふきをしていたはずなのに
気がつくと父の背中を流している
こうしてもらうなんて何年ぶりだろう
父が嬉しそうに言う
十五年ぶりくらいじゃないかな
僕が答える
父の狭い背中から垢がポロポロと落ちる
お風呂、週一回じゃ駄目だよ
俺が風呂嫌いなの、知っているだろう
父の背中はどんどん薄くなっていく
透明になってしまうのではないか、
と心配になるくらいに
よし今度はおまえの番だ
そう言われて僕は後ろを向く
きれいに磨かれた窓ガラスには
僕の背中だけがうっすらと映り
外にあるのは寒い色をした空だろう
窓ふきをしていたはずなのに
気がつくと父の背中を流している
こうしてもらうなんて何年ぶりだろう
父が嬉しそうに言う
十五年ぶりくらいじゃないかな
僕が答える
父の狭い背中から垢がポロポロと落ちる
お風呂、週一回じゃ駄目だよ
俺が風呂嫌いなの、知っているだろう
父の背中はどんどん薄くなっていく
透明になってしまうのではないか、
と心配になるくらいに
よし今度はおまえの番だ
そう言われて僕は後ろを向く
きれいに磨かれた窓ガラスには
僕の背中だけがうっすらと映り
外にあるのは寒い色をした空だろう