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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2012/02/27 (Mon)
 
 
電話が鳴る
慌てて冷蔵庫の扉を開ける
受話器が耳に冷たい

+

電話が鳴る
慌てて冷蔵庫の扉を開ける
外はすっかり夏だ

+

電話が鳴る
慌てて電話機と冷蔵庫を
買いに出かける
  
  
 
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2012/02/26 (Sun)
 
 
湿った自転車を押して
海に向かいます
水つながりで
相性がとても良いのです
防風林の間を進むと
しばらく進むと
ポケットに小銭があります
ものが買えるくらいあります
壁に手をついているうちに
大人になっていた
大人ってみんなそんな感じがします
そして草や虫の
名前とか性質とかについても
話をしたりするようになります
海が見えてきました
さあ、楽しみましょう
 
 
2012/02/25 (Sat)
 
 
窓ふきをしていたはずなのに 
気がつくと父の背中を流している 
こうしてもらうなんて何年ぶりだろう 
父が嬉しそうに言う 
十五年ぶりくらいじゃないかな
僕が答える
父の狭い背中から垢がポロポロと落ちる
お風呂、週一回じゃ駄目だよ
俺が風呂嫌いなの、知っているだろう
父の背中はどんどん薄くなっていく
透明になってしまうのではないか、
と心配になるくらいに
よし今度はおまえの番だ
そう言われて僕は後ろを向く
きれいに磨かれた窓ガラスには
僕の背中だけがうっすらと映り
外にあるのは寒い色をした空だろう
  
 
  
2012/02/24 (Fri)
 
 
遊園地に「回転しない木馬」があった
妻と娘が乗り
僕が写真を撮ることになった
バーにおつかまりください
というアナウンスの後にブザーが鳴り
回転しない木馬が
回転し始めなかった
妻と娘が同じ場所から
笑いながら手を振っている
僕もシャッターを切りながら
時々手を振って応える
長かったり、長くなかったり
そんな一生のうちのほんの数分間
みんなで笑って
みんなで手を振る
終了のブザーが鳴るまで
夢中に家族であり続ける
  
  
 
2012/02/01 (Wed)
 
 
紙を飛行機にして
窓から飛ばす
しばらくして
砂漠に不時着する
近くでは
砂場と間違えて迷い込んだ男の子が
砂遊びをしている
こんなに集めたよ
振り返って
砂でいっぱいになった
プラスチックのバケツを掲げる
その姿を見て
居間でアイロンをかけながら
母親が微笑んでいる
飛行機は元の一枚の紙に戻り
紙として再び
何処かに飛んでいく
窓を閉めて
室内を眺める
幸せとか不幸せとか関係なく
自分にとっては
あれが最後の一枚だった
 
 
 
2012/01/30 (Mon)
 
 
歩いていた犬が棒に当たったころ
風が吹いて桶屋は儲かっていた 
僕は爪に火をともしながら 
石の上で三年間 
糠に釘を打ち続けたのだった 

壁には耳があった 
障子には目があった
けれど死んだ人には口がなかった
類が友を呼んで
飛ぶ鳥はすべて落とされてしまった

秋ナスを食べさせてもらえなかった君が
石橋を叩いて渡っている 
その下の川を河童が流れていく 
長いものに巻かれたまま
どこまでも 
いつまでも

  
2012/01/29 (Sun)
 
 
朝の涼しい職員室で
担任の先生が亡くなっていた
若い女の先生だった
青白い横顔が見えた
海のように
とてもきれいだった
話は変わって
雲には感情がないと思う
感情があったら
空になど浮いてないと思う
翌日の天気も関係ないと思う
話は何も変わってない気がする
  
  
 
2012/01/27 (Fri)
 
 
群れからはぐれたのだろうか
一頭のキリンが
丸の内のオフィス街を歩いていた
時々街路樹の葉を食べながら
それでもなるべく目立たないように
歩道の端の方を歩いていた
郵便ポストを見つけると
長い首と手足を畳んで
投函口から中に入った
遅くてもクリスマスまでには
故郷の草原に届くことだろう
 
 
 
2012/01/25 (Wed)
 
 
水槽をおよぐ絵本に
住宅街のパンフレット
駐輪場は閉鎖された
ネクタイがまぶしい
夏の最後の午後に

アスファルトは坂道になり
知らない街へと続く
土のことなら、昨日
すべて語りつくしてしまった

真新しい公園のベンチ
お互い年を取ったね、と
年を取った人が
誰かに独り言ちている
 
 
2012/01/24 (Tue)
 
 
浮遊する
言葉の粒子
その隙間に建ち並ぶ
高層の建築物
形づくられた
時間のない怒りは
未整理のまま
風が吹くのを
待ち続けている
空き地に咲く草花を
斥候が手土産に摘む
やがて
撃ち抜かれるまで
  
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *