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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2024/05/03 (Fri)
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2004/06/23 (Wed)
右手を挙げると
鏡に映る自分が左手を挙げた
右手を挙げさせるために
僕は左手を挙げる
外の方から小さな鳥のような鳴き声が聞こえる
空はまだ晴れているだろう
午後は爆弾を買いに都会へと行く
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2004/06/17 (Thu)
(1)

駅から海へ
雨が落ち
いつもふたり
草のことを話して



(2)

質屋の縁(へり)を
魚らが訪問するよ
季節はとっくに
冬めいてね



(3)

義父がうなだれ
肩越しに秋の空を見る
子供は骨と



(4)

町の議会も終わり
帽子は空へ!
やがて
虹と呼ばれる



(5)
ゾウとキリン
どちらが虹か
忘れてたよ
夏の宿題を

2004/06/12 (Sat)
午前、町の本会議場では
一般質問に立った初老の議員が
延々と演説をしている
議員も当局側も
数名が舟を漕ぎ始めた
誰が忘れていったのだろうか
傍聴人席には一冊の事典
その立派な装丁に頁を捲ることもできず
初夏の風は
またどこかへと去っていく
2004/06/05 (Sat)
生存率数パーセントの旅に出るため
真夜中のステーションから
僕はシャトルに乗る
たとえ小指ひとつになったとしても
帰るべき場所を
忘れはしない




※MAWさん脚本「1999の空」に
2004/06/02 (Wed)
夜が街を歩いている
きらきら きらきら
瞬く星や月を身にまとって
夜が昼間の街を歩いている
きらきら きらきら
なんとゴージャスな
きっと昼食もゴージャスに違いない
誰もが夜に注目していたけれど
人殺し!
突然の叫び声が街中に響いて
皆、電柱のように目を瞑ってしまった

2004/05/29 (Sat)
郵便屋が大きな声で歌いながら
手紙を一通
白いペンキのはげかかった郵便受けに
置いていった
さっきのは春の歌だったなあ
と思いながら
熱い夏の太陽の下
僕は草をむしり続けた
2004/05/23 (Sun)
いつも君を想っている
いつも君を感じている
君は僕が生まれたとき
どこかに落としてきてしまった
大切なもう片一方
たとえどんなに遠く離れていても
いつもそばにいる
そのことを
忘れないでほしい
2004/05/23 (Sun)
部屋は湿度を保ったまま1℃室温を下げた
コラーゲンをたっぷりと含んだ豚骨が
とろりとろり
太陽の見えない窓に向かって行進を始めている
バター・ビーンのパンチが虚しく空を切ったTVショー
水滴、したたって
レインコートのフードから不定形に
その間にも国境近くの町では
愛する人の帰りを待っている人がいた
2004/04/14 (Wed)
背伸びをすると

ほんの少し景色が変わった気がした

誰もいない朝の教室

僕は巨大なジンベイザメになって

ゆっくりと泳ぎ回る
2004/04/08 (Thu)
沈む夕日を見ていると

今日もまた口が淋しい

姉さん

そうつぶやく僕には

兄さんしかいなかった
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* ILLUSTRATION BY nyao *