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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2024/04/26 (Fri)
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2005/05/26 (Thu)
酔っぱらった僕は
フライパンの真似をして
空に羽ばたいた
一番高いところで
激しく嘔吐したけど
よく見ると
それは言葉だったので
ますます気持ち悪くなった


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2005/05/26 (Thu)
金魚もいないのに
君は金魚鉢を買ってきて
それから金魚の餌と
水道水の塩素を中和する
透き通った小さな薬品も
買ってきて
それでも結局金魚鉢の中を
金魚が泳ぐことはなかったのは
多分僕が金魚鉢を壊したから

2005/05/22 (Sun)
食後に飲むはずだったビタミンが
テーブルの上で醗酵している
その熱で君の言葉は燃え尽きてしまった
僕らはたくさんの窓や部屋を投げあって
ぶつけあって、お互い
何となく傷ついてる
夏に生きていた虫たちは
最近姿を見せなくなった
九月が十月のように過ぎていく
2005/05/05 (Thu)
冷蔵庫が空と意味の境目を走る
洗濯機は今日も何かを言いそびれている
昔、電子レンジで猫を乾かそうとした人の話を
聞いたことがある
まさか自分がその当事者になろうとは
炊飯器が黙祷の準備を始めた
涙は小さ過ぎてわからなかったが
テレビの中では沢山の人が悲しんでいる

2005/04/12 (Tue)
バナナの十本に一本は
キリンでした
知りませんでした
その長い首を
その角を
その身体の中にある様々な器官を
たくさん食べました
たくさん噛みました
だから郊外の動物公園に行くと
キリンは僕を見て
いつも悲しそうな目をする
2005/04/08 (Fri)
さよなら、ブラジャー
白くて
可愛い布切れでした
もう誰に着けられることもなく
誰に脱がされるわけでもない
ブラジャー
風に吹かれて
善光寺参り
2005/04/08 (Fri)
いい天気ですね
と声をかけると
その人は空を指差して
ああ、いい天気だね
と答えました
その人差し指は第二関節から
先がありませんでした
2005/03/27 (Sun)
戒厳令の布かれた残暑
透きとおっていく言葉の
飛沫のように

あなたは白く皮膚の薄い手で
一すじの光を木箱に閉じ込めた

二人の椅子に
二人の卓上に
二人のナイフに

あの日、私たちは
ささやかな呪いをかけた

2005/03/26 (Sat)
徴兵された兵士のように
寒い目をしてあなたは通路を行く
改札を抜け再び階段を降り
あなたの目が地下鉄に乗る
と、私の目だけが置き去りにされる
壁にはたくさんの色あせたポスター
そのすべてに
あなたと私のまぶたが描かれている

2005/03/25 (Fri)
パリへ
たくさんのフランスパン
食べて
一足の靴にまつわる
幸せな嘘が書き連ねられた
紙ナプキンをたたみ
富沢さんは
国際空港から発つ

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* ILLUSTRATION BY nyao *