プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2004/10/17 (Sun)
短い詩
ハンガーが足りないと言って
君は洗濯物を干すことをあきらめた
日の当たる通販のカタログでは
硬い羽を持つ一匹の虫が
じっとしている
もう飛べないのだろう
僕はフライトレコーダーの角をかじり
口の中でゆっくりと溶かす
ほんの少しでも苦ければ
まだ救われた
君は洗濯物を干すことをあきらめた
日の当たる通販のカタログでは
硬い羽を持つ一匹の虫が
じっとしている
もう飛べないのだろう
僕はフライトレコーダーの角をかじり
口の中でゆっくりと溶かす
ほんの少しでも苦ければ
まだ救われた
2004/10/17 (Sun)
短い詩
たった一つの君は
風のように吹いているが
たとえば
コートのフードを躍らせたり
トマトの表面にとどまる水滴に光を与えるとき
微かな掌の温もりに似た質感を残していくのだ
そう 僕らはかつて原始の海で愛を語らいもした
今はただ
君に相応しい鉛筆を削ろうと思う
風のように吹いているが
たとえば
コートのフードを躍らせたり
トマトの表面にとどまる水滴に光を与えるとき
微かな掌の温もりに似た質感を残していくのだ
そう 僕らはかつて原始の海で愛を語らいもした
今はただ
君に相応しい鉛筆を削ろうと思う
2004/10/08 (Fri)
短い詩
リュックサックに
色とりどりの
靴下や、申請書の類や、遺骨など
ありったけのものを詰め込み
それでもまだ何か忘れている気がして
何度も流しの下を覗いてみたり
縦笛を吹いてみたりもするが
明日もきっと
無いものの方が多いのだろう
今日は朝から曇っていて
曇った空しか見ることができない
色とりどりの
靴下や、申請書の類や、遺骨など
ありったけのものを詰め込み
それでもまだ何か忘れている気がして
何度も流しの下を覗いてみたり
縦笛を吹いてみたりもするが
明日もきっと
無いものの方が多いのだろう
今日は朝から曇っていて
曇った空しか見ることができない
2004/09/13 (Mon)
短い詩
手提げ袋いっぱいにイクラを入れて
食べ歩くあなたが
前頭葉のプールに浮かんで
今は秋の空になってる
風船は青い
わたしはいっぱいにあなたの似顔絵を描いて
あとファースト・ネームや
全部ひっくるめて安心してください
と、昨晩電話があった
食べ歩くあなたが
前頭葉のプールに浮かんで
今は秋の空になってる
風船は青い
わたしはいっぱいにあなたの似顔絵を描いて
あとファースト・ネームや
全部ひっくるめて安心してください
と、昨晩電話があった
2004/09/02 (Thu)
短い詩
アパートの二階で
ワニに噛み付かれた瞬間
窓から見えた
新しい快速列車の青さや
大人びたきみの
二の腕のこと
何故花屋に生まれたかったのか
橋の欄干にもたれながら
何度も懐かしんで
愛しくした
ワニに噛み付かれた瞬間
窓から見えた
新しい快速列車の青さや
大人びたきみの
二の腕のこと
何故花屋に生まれたかったのか
橋の欄干にもたれながら
何度も懐かしんで
愛しくした
2004/08/24 (Tue)
短い詩
階段を降りると
昨日よりふかふかしていて
昔のおじいさんの背中を踏んづけているような
申し訳ない気持ちでいっぱいになる
急いで二階からエレベーターに乗り
皆に白い目でにらまれるけど
言い訳をしてはいけない
という昔のおじいさんの言い付けを思い出し
目だけをつむる
昨日よりふかふかしていて
昔のおじいさんの背中を踏んづけているような
申し訳ない気持ちでいっぱいになる
急いで二階からエレベーターに乗り
皆に白い目でにらまれるけど
言い訳をしてはいけない
という昔のおじいさんの言い付けを思い出し
目だけをつむる
2004/08/02 (Mon)
短い詩
いくら扇いだところで
忘れることなどできないというのに
いつまでもうちわで扇いでいる
自分の周りだけ
他のところより夏めいていて
ほんのりとしょっぱい
何本平行線を引いても
必ずどこかで交わってしまった
あの数学の授業に似ている
忘れてしまったことは
もう覚えていない
忘れることなどできないというのに
いつまでもうちわで扇いでいる
自分の周りだけ
他のところより夏めいていて
ほんのりとしょっぱい
何本平行線を引いても
必ずどこかで交わってしまった
あの数学の授業に似ている
忘れてしまったことは
もう覚えていない
2004/07/13 (Tue)
短い詩
軒下で鳴ってる
縁側ではいつも同じ場所で躓いてしまう
窓は池
今日も小さな沈黙を保ち続ける
外の通りを
笑わない男の人が歩いていく
僕らの小学校
黒板の右、日付の下では
誰かがまだ日直をしている
縁側ではいつも同じ場所で躓いてしまう
窓は池
今日も小さな沈黙を保ち続ける
外の通りを
笑わない男の人が歩いていく
僕らの小学校
黒板の右、日付の下では
誰かがまだ日直をしている
2004/07/01 (Thu)
短い詩
二人で地面に小石を並べる
ひとつ、またひとつ
やがて円の形となり
収束していく始まりと終わり
夏の日
暑いね、という言葉だけが僕らだった
何故だろう
あんなにも
世界がありふれていたのは
ひとつ、またひとつ
やがて円の形となり
収束していく始まりと終わり
夏の日
暑いね、という言葉だけが僕らだった
何故だろう
あんなにも
世界がありふれていたのは