プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
ブログ内検索
カテゴリー
月間アーカイブ
最新コメント
[09/10 GOKU]
[11/09 つねさん]
[09/20 sechanco]
[06/07 たもつ]
[06/07 宮尾節子]
最新トラックバック
カウンター
2011/11/22 (Tue)
詩
潮風が吹くだけの頁がある
そこまで読むと
少年はいつも眠くなってしまう
少しずつ部屋に隙間ができる
西日とともに
明日、と呼ばれる不安が
部屋を満たし始める
ハエが小さな声で鳴く
テーブルの隅で
夏に別れを告げている
潮風が吹くだけの頁がある
そこまで読むと
少年はいつも眠くなってしまう
少しずつ部屋に隙間ができる
西日とともに
明日、と呼ばれる不安が
部屋を満たし始める
ハエが小さな声で鳴く
テーブルの隅で
夏に別れを告げている
PR
2011/11/21 (Mon)
詩
壊れたヤドカリが階段を上る
その先には二階があるだけなのに
暑いと感じる人は、暑い、と言う
今日という退屈な一日
下駄屋のおじいさんが亡くなった
母を斎場まで車で送った
一時間後に迎えに行った
昨日は普段着で買い物をしていたけれど
今は喪服で話をしている
読みかけの本には栞の代わりに
小型のウミウシを挟んでおいた
頁は水分で湿っているだろう
壊れたヤドカリが階段を上る
その先には二階があるだけなのに
暑いと感じる人は、暑い、と言う
今日という退屈な一日
下駄屋のおじいさんが亡くなった
母を斎場まで車で送った
一時間後に迎えに行った
昨日は普段着で買い物をしていたけれど
今は喪服で話をしている
読みかけの本には栞の代わりに
小型のウミウシを挟んでおいた
頁は水分で湿っているだろう
2011/11/20 (Sun)
詩
どこかで小型犬が吠えている
真夏なのに帽子を被った女性の人が
オレンジ色の自動車を運転している
ガソリンは昨日より一リットルあたり二円安い
空は曇っている、天気予報士がしゃべったとおりに
さっきまで、きみと手を繋いで歩いていたはずなのに
いつの間にか壊れたメトロノームを引きずっている
メトロノームは壊れていく
外側のプラスチックはあちらこちら欠けて
いろいろな音をたてて壊れていく
同じくらいの背丈の人とすれ違う
その背中ではセミの幼虫が羽化している
観察日記をつけながら少年がその後を歩いて行く
もしかしたら、きみ、なんて人は
最初からいなかったんじゃないか、と思い始めてる
でも、実際にこうして手を繋いでいるし
いくつかの口癖も鮮明に思い出せるのだ
どこかで小型犬が吠えている
真夏なのに帽子を被った女性の人が
オレンジ色の自動車を運転している
ガソリンは昨日より一リットルあたり二円安い
空は曇っている、天気予報士がしゃべったとおりに
さっきまで、きみと手を繋いで歩いていたはずなのに
いつの間にか壊れたメトロノームを引きずっている
メトロノームは壊れていく
外側のプラスチックはあちらこちら欠けて
いろいろな音をたてて壊れていく
同じくらいの背丈の人とすれ違う
その背中ではセミの幼虫が羽化している
観察日記をつけながら少年がその後を歩いて行く
もしかしたら、きみ、なんて人は
最初からいなかったんじゃないか、と思い始めてる
でも、実際にこうして手を繋いでいるし
いくつかの口癖も鮮明に思い出せるのだ
2011/11/19 (Sat)
詩
キャッチャーがサインを出す
マウンドでは扇風機が首を振っている
サインを変える
それでも扇風機は首を振る
そうしているうちに
野手も打者も応援団も実況席も
夏の暑さに溶けていく
サインは一向に決まらない
たとえ一人と一台だけ残されても
戦いは続く
キャッチャーがサインを出す
マウンドでは扇風機が首を振っている
サインを変える
それでも扇風機は首を振る
そうしているうちに
野手も打者も応援団も実況席も
夏の暑さに溶けていく
サインは一向に決まらない
たとえ一人と一台だけ残されても
戦いは続く
2011/11/17 (Thu)
詩
午後八時五十分発の
てんとう虫に乗る
潰さないように気を付けていると
言葉に疲れた兄が一人やってきて
優しい飲み水を差し入れしてくれた
ありがとうございました
そうお礼言う前に
てんとう虫は発車してしまった
月が明るくて
星の少ない夜だけど
今度てんとう虫が停車したら
洒落たカーテンを買って
窓に飾ろうと思う
こうして少しずつ剥がれていくんだね
剥がれて小さくなって
見えなくなっていくんだね
午後八時五十分発の
てんとう虫に乗る
潰さないように気を付けていると
言葉に疲れた兄が一人やってきて
優しい飲み水を差し入れしてくれた
ありがとうございました
そうお礼言う前に
てんとう虫は発車してしまった
月が明るくて
星の少ない夜だけど
今度てんとう虫が停車したら
洒落たカーテンを買って
窓に飾ろうと思う
こうして少しずつ剥がれていくんだね
剥がれて小さくなって
見えなくなっていくんだね
2011/11/16 (Wed)
詩
海へと下りていく小道に
一匹のセミがいた
地面にしがみつくように
じっと静かにしていた
指で摘んでも動かない
すでに命は失われていた
次から間違えないよう
ひっくり返しておいた
海へと下りていく小道に
一匹のセミがいた
地面にしがみつくように
じっと静かにしていた
指で摘んでも動かない
すでに命は失われていた
次から間違えないよう
ひっくり返しておいた
2011/11/14 (Mon)
詩
母が滑り台で遊んでいる
すぐに、つまらない、と言い出して
妹のあきよさんと裏山の藪に入っていった
インターホンが鳴る
野口さんが玄関に立っている
タッパの中身は手作りの牛乳羮だろう
野口さんのお葬式、行けなくてごめんね
野口さんは黙って手を振って笑う
いつもの仕種で笑う
最後は笑うしかないもんね
そう思うと
もう野口さんに会えないことがわかる
部屋では看護疲れの母が畳に寝ている
東京に行くからスーツに着替えさせてくれ
ベッドの父がいつもより少し元気な声で言う
東京は昨日行ったでしょう、と言うと
そうか、昨日行ったか、と笑う
裏山から帰って来た母が目を覚ます
大きな荷物を抱えて
妻も買い物から帰ってくる
何があっても最後は笑う
絶対に笑う
母が滑り台で遊んでいる
すぐに、つまらない、と言い出して
妹のあきよさんと裏山の藪に入っていった
インターホンが鳴る
野口さんが玄関に立っている
タッパの中身は手作りの牛乳羮だろう
野口さんのお葬式、行けなくてごめんね
野口さんは黙って手を振って笑う
いつもの仕種で笑う
最後は笑うしかないもんね
そう思うと
もう野口さんに会えないことがわかる
部屋では看護疲れの母が畳に寝ている
東京に行くからスーツに着替えさせてくれ
ベッドの父がいつもより少し元気な声で言う
東京は昨日行ったでしょう、と言うと
そうか、昨日行ったか、と笑う
裏山から帰って来た母が目を覚ます
大きな荷物を抱えて
妻も買い物から帰ってくる
何があっても最後は笑う
絶対に笑う
2011/11/13 (Sun)
詩
誰もいない夜明けの街を
少年が黙って自転車をこぐ
真面目に呼吸を続けながら
サルは今も進化と退化の中を
死にそうになりながら
生きているころだろう
エロい身体をした僕は、夕べ
たくさんの貧乏くじを作った
自分のささやかな不幸を
引き当てて楽しむために
窓を開ける
どこまでも美しく
市町村が広がっている
誰もいない夜明けの街を
少年が黙って自転車をこぐ
真面目に呼吸を続けながら
サルは今も進化と退化の中を
死にそうになりながら
生きているころだろう
エロい身体をした僕は、夕べ
たくさんの貧乏くじを作った
自分のささやかな不幸を
引き当てて楽しむために
窓を開ける
どこまでも美しく
市町村が広がっている