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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2024/05/02 (Thu)
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2011/12/25 (Sun)
 
 
空の化石を
定規で測る
本棚に
古い指紋
人がいた
人はいた
肩幅の広さに
干されたままの
下着類
飲み物のない
簡単な食事を
フォークで
唇に運ぶ
言葉への失望と
引き換えた
足音
そして
足跡
 
 
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2011/12/23 (Fri)
 
 
熱帯植物園の温室に
雪が降り積もる
さっきまで君と話をしていた
多分、話をしていた
メリーゴーランドの馬たちが
干し草を食む
クジラが次のバス停を目指して
暗い海を航行する
さっき、とはいつのことだろう
話したいことは
たくさんあったはずなのに
右手にも左手にも
空白のページしか見つからない
 
 
 
2011/12/22 (Thu)
 
レジの長い列に並ぶ
列は進んでいるのに
なかなか順番は回ってこない
季節はいつしかすっかり秋となり
半袖のTシャツでは
肌寒く感じるようになった
小腹も空いた
トイレにも行きたい
買い物籠の中のものは
水気を失ったり
腐り始めたりしている
周りの人を見ると
みんな少しずつ年を取ってるいるのがわかる
外にはすっきりと澄んだ
秋の空が見える
すべてを捨ててどこかに行きたいな
などと思うけれど
すべて、と呼ぶにはお粗末なものしかない
また少し列が進む
その様子を見て
客席の人が手を叩いて笑う
 


 
2011/12/20 (Tue)


縄跳びの途中で
砂を買いに行った母が
未明、父の心の中で
発見された



ベッドを買うのに
十円足りない
だから今夜も
寝られない



夏なのに
シチューの話をすると
蟻が集まってくる



洗濯物と同じ色の
キャンディをつくる
他のものと
間違えないように



バナナの隣に
小さな家を建てた
数年後
バナナは腐っていた



ラジオをつける
ニュースの音が聞こえる
そのままにして
家を出る
今頃は天気予報だろう



スイカに名前をつける
名前を呼ぶ
返事はない
石に話しかけている気がしてくる



突然の電話に
三百六十度
声が裏返る
とても苦しいのに
相手は気づいてくれない



道路が大きくカーブしている
建物の窓から
人が外を見ている
その先にも
道路が続いているかのように


2011/12/18 (Sun)
 
 
わたしの雨は
昨日すべて
降ってしまいました
あんなにたくさん
両腕に抱えていたのに
傘が眠っています
夜明けの寂しい
コンクリートのように



2011/12/15 (Thu)

 
窓を開けて
春の風が入ってきて
ピアノの鍵盤ひとつ
押して消えてく

そんな嘘のような
ことがあったなら
それはきっと君の
優しさのせい

窓を開けて
流れ星が入ってきて
一番暗い場所に
明かりを灯す

そんな嘘のような
ことがあったなら
それはきっと君の
祈りのせい

約束したわけじゃないけど
会いたいと思わないと

約束したわけじゃないけど
生きていく、きれいごと並べて
 


2011/12/14 (Wed)
 
 
あの日、きみと
秘密の場所に埋めた
玩具のクハ103は
地下鉄になって
今ごろどの辺りを
走っているのだろう
お腹の弱いきみと
意気地なしのぼく
二人を乗せたままで
  
 
 
2011/12/11 (Sun)
 
 
夕食の支度をする
そう言って彼女は
地下鉄に乗り込み
買い物に出かける

何となく僕は
ビールが飲みたくて
反対のホームから
地下鉄に乗る

笑っている人
泣いている人
窓を開けて
何か捨ててる

今ごろ地上では
星が瞬きだすころ
地下鉄の人はみんな
星が見られない
目を閉じてしまうから
  
  
 
2011/12/09 (Fri)
 
 
僕の自転車が
僕から離れて
砂漠を横断する
暑くないように
ハンドルに括りつけておいた
涼しい模様の日傘を
ボロボロにして
それでも自転車は
たった一台で
砂漠を横断し続ける
砂漠が僕のついた
昔の嘘だとも知らずに
  
  
 
2011/12/05 (Mon)
 
 
選手もいない
観客もいない
ただマウンドの上に
白く滑らかな豆腐だけがあって
時折吹く風に
ふるふるとしている
気がつくといつも
そんな球場を眺めている
 
 
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *