プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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それは、わたし
眠たい壁の一種
舌の裏で
縄跳びをする子供たち
名前の回数だけ跳んで
空想のまま
その間、冷蔵庫に向かって
嘘をつき続ける
アフリカ行きの
切符を手に入れるために
秒針を引きずって歩く時計
それは、わたし
横断歩道の近いところで
生きる順番を間違えてしまった
風船は空白となり
隙間という隙間を埋める
メリットは口笛で触れること
消防署の方から来ました
そう告げて
戸口に立つ郵便ポスト
飛び込むのは、わたし
アフリカの朝焼けまで
貧しい息継ぎを繰り返す
それは、きっと、わたし
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植物群が眠っている
僕の知らない言葉の中で
息を吐き出すように
近所の商店街は
ゆっくりと潰れていった
帰りたい、と父が言う
他にどこに帰るの、と母が言う
帰りたい、と僕もふと思う
帰ろうか、父さん
いつか、帰ろうか
帰ろうか


何も無いところに
雨が降り始めている
父はもう誰とも
目を合わさなくなった
僕は今日、やっと
台所の隅でテレビになれた
独り言のように
延々と番組を流し続けた
すべての放送が終わると
父と僕の亡骸は
鉛筆や消しゴムなどと一緒に
筆箱に捨てられた


今日、世界は晴れている
引用句を継ぎ足してつくられた飛行場から
貨物便が離陸した
生き物の涙や汚れたシーツ等を積載して
至るところに扉をノックする人がいて
人にノックされる扉があって
何ひとつとして戦争はない
扉は人を殺さない
日向で犬が人の真似をしているけれど
具体的なことは校正で削除されている
もしくは最初から書かれていない


四角を書いて塗りつぶす
四角を書いて塗りつぶす
ただその繰り返し
何がそんなに楽しいのだ
覗き込んで人が言う
あなたのしていることは全て楽しいのですか
そう聞き返すと
人は黙って立ち去った
私は楽しくてしているだけなのに


手をあげる
流しのシーソーが停まる
どちらまで行かれますか?
上まで
反対側に運転手が座る
到着する
料金を支払って降りる
いくつかの用事を済ませる
再びシーソーを拾う
下まで
行き先を告げる
到着する
忘れ物をしたことに気付く
あきらめて帰る


蝶々結びをして
眠たい人は眠って
それで構わない
犬の耳を噛っても
壊れたペットボトルでは
水、そのものを
飲むことはできないのだから
交番がボンヤリと光る、今夜
月と間違えて
郵便受けが集まってくる
殺虫剤を持って
追い払っている、あれは
きっと僕の猫背だろう