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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2011/10/25 (Tue)


それは、わたし
眠たい壁の一種
舌の裏で
縄跳びをする子供たち
名前の回数だけ跳んで
空想のまま
その間、冷蔵庫に向かって
嘘をつき続ける
アフリカ行きの
切符を手に入れるために
秒針を引きずって歩く時計
それは、わたし
横断歩道の近いところで
生きる順番を間違えてしまった
風船は空白となり
隙間という隙間を埋める
メリットは口笛で触れること
消防署の方から来ました
そう告げて
戸口に立つ郵便ポスト
飛び込むのは、わたし
アフリカの朝焼けまで
貧しい息継ぎを繰り返す
それは、きっと、わたし
 


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2011/10/23 (Sun)
 
 
植物群が眠っている
僕の知らない言葉の中で

息を吐き出すように
近所の商店街は
ゆっくりと潰れていった

帰りたい、と父が言う
他にどこに帰るの、と母が言う
帰りたい、と僕もふと思う

帰ろうか、父さん
いつか、帰ろうか
帰ろうか
 
 
 
2011/10/22 (Sat)
 
 
何も無いところに
雨が降り始めている
父はもう誰とも
目を合わさなくなった

僕は今日、やっと
台所の隅でテレビになれた
独り言のように
延々と番組を流し続けた

すべての放送が終わると
父と僕の亡骸は
鉛筆や消しゴムなどと一緒に
筆箱に捨てられた
  
  
 
2011/10/21 (Fri)
 
 
今日、世界は晴れている
引用句を継ぎ足してつくられた飛行場から
貨物便が離陸した
生き物の涙や汚れたシーツ等を積載して

至るところに扉をノックする人がいて
人にノックされる扉があって
何ひとつとして戦争はない
扉は人を殺さない

日向で犬が人の真似をしているけれど
具体的なことは校正で削除されている
もしくは最初から書かれていない
  

 
 
 
 
2011/10/19 (Wed)


青く、白く沈む、夜
そしてそれに属するものたち
 
今日は鶴を折った
 
どうして妻に、そんな
嘘をついてしまったのだろう
  
 


2011/10/17 (Mon)
 
 
影を連れて出かける
ふとした拍子に
私と繋がっている唯一の
糸のようなものが切れて
影はどこかに飛んで行ってしまった
影の無い私は
午後三時くらいの腕時計を見る
  
 
2011/10/16 (Sun)


四角を書いて塗りつぶす
四角を書いて塗りつぶす
ただその繰り返し
何がそんなに楽しいのだ
覗き込んで人が言う
あなたのしていることは全て楽しいのですか
そう聞き返すと
人は黙って立ち去った
私は楽しくてしているだけなのに
 
 
2011/10/15 (Sat)
 
 
背中が砂漠のように痒い
掻いた手を見ると
爪の間に砂が詰まっている
山高帽の男が笑いながら
建物の扉を閉める
短い一生の
一日がとても長い
  
 
2011/10/14 (Fri)
 
手をあげる
流しのシーソーが停まる
どちらまで行かれますか?
上まで
反対側に運転手が座る
到着する
料金を支払って降りる
いくつかの用事を済ませる
再びシーソーを拾う
下まで
行き先を告げる
到着する
忘れ物をしたことに気付く
あきらめて帰る
 




2011/10/10 (Mon)


蝶々結びをして
眠たい人は眠って
それで構わない

犬の耳を噛っても
壊れたペットボトルでは
水、そのものを
飲むことはできないのだから

交番がボンヤリと光る、今夜
月と間違えて
郵便受けが集まってくる

殺虫剤を持って
追い払っている、あれは
きっと僕の猫背だろう


 
 
 
    
 
 
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *