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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2007/09/30 (Sun)
晴れた日の
親戚のように
父と二人で並び
日あたりの良い窓際
懐かしいことや
懐かしくないことを
とりとめもなく話し
毎日小さく丸くなる父は
明日はもっと
そうなんだろう
窓の外には
狭い菜の花畑があって
昨日なら手押し車で
荷物を運ぶ人も見えた
命の欠片のような脚を
ゆっくりとさすっていく
親戚にしか
できないこともあるのだ
ゆうべ妊娠する夢を見た
そう告げると
父は何か
聞き間違えをしたのかもしれない
ありがとう
とだけ言った
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2007/09/28 (Fri)
暑さがまだ
襟元にも残ってる
汗との少し
間違いがあって
葉をかきながら
歩くあなたの足元
側溝の蓋が
少女の口のように
開いて
ふとある日から
そのままの感じがする
ひき肉を買って帰る
その背中に
およそ八分前に放たれた
太陽の光は差し
キッチンに立てば
痛みよりも容易に
あなたはいつも
ハンバーグを作るのだった
 
2007/09/25 (Tue)
冷蔵庫を背負う
重くて温かい
海のようなものが
背中から体の中へと
伝わってくる
夏休みを終えて
少したくましくなった
児童たちの声が
外の方から聞こえる
かつてもこうして
海に似た誰かを
背負っていた気がする
その人の名を呼びながら
台所の片隅で
 
2007/09/25 (Tue)
厳格な王様がいた
優しいお姫様がいた
富める者がいて
貧困と差別があった
内外で争いがあり
子どもたちは時々
壁にもたれかかって
よく笑った
忘れる人がいたけれど
同じように
忘れられる人がいた
薄暗い店内
卓上のマッチ箱には
美しかった国
と印字されていた
2007/09/21 (Fri)
木陰で体温の
呼吸する
と、内と外とが入れ替わり
境目に懐かしい
わたしのかたまりがある
施設の人と集配車の運転手が
簡単な口論をしている
近くのベンチで関係のない
小柄な男性が
誰かと待ち合わせをしている
すでに数年待ち続け
もう誰も
その男性を待ったりはしない
融けかかり
たなびき
季節はずれの陽炎のように
それでも背中が見えれば
人とわかる
2007/09/19 (Wed)
犬が休んでる
まるで僕のように

背筋が足りない
何かを継ぎたして
少しずつ毎日の
起立がある

どうしてだろう
お父さんになってしまうのは
瞬間は確かにあるのに
どんなに積み上げても
新生児一人の
歴史にも満たない

洗いたての水分を含む白衣の
重たくてまぶしい空は
漁場で蟹を手にする
男たちのところまで続き
また何人かのお父さんにする

僕は今朝
まぶたを人に貸して
そばで休む
まるで犬のように
2007/09/15 (Sat)
冷やし中華が
静かに終わった奥の方
特別なこともなく
人をまたぎ
人にまたがれ
狭い柄模様のシャツが
時々きれいだと感じられた
入口の貼紙には
かつての文字のようなものが書かれ
それはとても
大切だったのかもしれない
投げ出した足先は
細く色を薄くしたまま
穏やかに外海へと続き
海はどこまでも
水で湿っている
昨日までわたしが放していた
稚魚の類は
淡水魚だったと
昨日初めて知った
ちょうちょが卵を産んでいたよ
と幼いころの人が
何か言いながら戻ってくる
その様子が遠くまで見渡され
また途切れ
そして終わっている

2007/09/13 (Thu)
寝台車の匂いが
掌にする
腕はまだ
距離を測っている
残されたものを集めると
骨の近く
きしきしして
初めて靴を買ってもらったときの
恥ずかしい喜びしか、もう
いらない
小さな建物のところで
化膿した皮膚を
ただ掻きむしった
寝台車が体を乗せて
発車の準備をしている
さよなら
言葉は空気を
震わせてはいけない
2007/09/09 (Sun)
老廃物と手をつなぐ
せつないから
死んでるようだ
見たものが
足元で花になり
ピアスでしたね
初めてのプレゼントは
初めてでしたね
はがれていったのも
見送ることは時々
見送られることに
とても似ている
僕らはなるべくたくさんの
空気を吸い込む
生きようとして
なるべくたくさんの
ため息をつかなければならない


2007/07/18 (Wed)
砂丘に洗濯機
ウィリーは素朴
上手に筋肉
そのまま届きそうになり
春子、帰宅
ジャングルジムから
人の匂い
道路は名前
生きることは
重力の淋しい過程である
という前提にたつと
春子、帰宅
ほっそりとしているね
汗ばむ棟梁
地下鉄に乗って
さらに地下鉄に乗って
ああ地下鉄に乗って
声は境界線を走り
ウィリー遅刻
春子、帰宅
砂丘まで洗濯物を取りに行く
白い白い春子のTシャツ
 
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* ILLUSTRATION BY nyao *