プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
57
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2012/03/09 (Fri)
詩
頭からキノコが生えている
抜いて良いものかどうか
水や肥料をやるべきかどうか
などと迷っているうちに
毎日少しずつ
キノコは大きくなっていく
キノコ生えてるよ
と心配していた妻も娘も
今ではすっかり慣れて
時々、退屈なことのように
触ったりする
キノコが大きくなる一方で
自分は少しずつ小さくなっていく
このままどこに行ってしまうのか
でもそれはそれで
許された、ということなのかもしれない
いつの日か朝の光のなか
家族を見守るように食卓に着いている
そんなキノコの姿を思い浮かべて
胞子をまいたりしてみる
頭からキノコが生えている
抜いて良いものかどうか
水や肥料をやるべきかどうか
などと迷っているうちに
毎日少しずつ
キノコは大きくなっていく
キノコ生えてるよ
と心配していた妻も娘も
今ではすっかり慣れて
時々、退屈なことのように
触ったりする
キノコが大きくなる一方で
自分は少しずつ小さくなっていく
このままどこに行ってしまうのか
でもそれはそれで
許された、ということなのかもしれない
いつの日か朝の光のなか
家族を見守るように食卓に着いている
そんなキノコの姿を思い浮かべて
胞子をまいたりしてみる
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2012/03/08 (Thu)
詩
犬小屋を作る
犬がいないので
代わりに自分が中に入る
隣の家から拙いピアノが聞こえる
丸くなりうずくまっていると
昔からずっとこうしていた気がしてくる
前を通る人が
中を覗き込んで口から何か音を出す
あれが言葉というものなのだろう
ピアノはさっき間違えたところを
滑らかに弾いて先に進む
自分の体温で
自分の内側が少しずつ温かくなる
一番近くに自分がいる
そのことに安心して
眠くなってくる
犬小屋を作る
犬がいないので
代わりに自分が中に入る
隣の家から拙いピアノが聞こえる
丸くなりうずくまっていると
昔からずっとこうしていた気がしてくる
前を通る人が
中を覗き込んで口から何か音を出す
あれが言葉というものなのだろう
ピアノはさっき間違えたところを
滑らかに弾いて先に進む
自分の体温で
自分の内側が少しずつ温かくなる
一番近くに自分がいる
そのことに安心して
眠くなってくる
2012/03/07 (Wed)
詩
図書館の海に
沈んでいく
『決定版 小林カツ代の毎日おかず』
(今日から使えるシリーズ)
外では間の狭い男が
雨のように泣いている
耳の穴から
半透明の小エビが出てきて
コスモスの近くを飛ぶ
十七歳の飛行機を眺めている
図書館の海に
沈んでいく
『決定版 小林カツ代の毎日おかず』
(今日から使えるシリーズ)
外では間の狭い男が
雨のように泣いている
耳の穴から
半透明の小エビが出てきて
コスモスの近くを飛ぶ
十七歳の飛行機を眺めている
2012/03/06 (Tue)
詩
黄ばんだ紙
表と裏
その間に
地方都市
雑居ビルの一室から
産声
産まれることの
懐かしい痛み
短い言葉は
短い影をつくり
壁は語られる
曖昧な
理屈によって
ふと吹いた風に
紙が舞う
足などに踏まれ
粉々になる
女の人が
上の空で
逃げ水を見ている
黄ばんだ紙
表と裏
その間に
地方都市
雑居ビルの一室から
産声
産まれることの
懐かしい痛み
短い言葉は
短い影をつくり
壁は語られる
曖昧な
理屈によって
ふと吹いた風に
紙が舞う
足などに踏まれ
粉々になる
女の人が
上の空で
逃げ水を見ている
2012/03/05 (Mon)
詩
冷蔵庫の扉が
閉まらなくなった
代わりに
炊飯器の蓋をつけた
閉まるようになった
炊飯器の蓋には
冷蔵庫の扉をつけた
毎日、ご飯の時が
重くて大変だけれど
つらいことばかりじゃないよ
と、君は笑う
冷蔵庫の扉が
閉まらなくなった
代わりに
炊飯器の蓋をつけた
閉まるようになった
炊飯器の蓋には
冷蔵庫の扉をつけた
毎日、ご飯の時が
重くて大変だけれど
つらいことばかりじゃないよ
と、君は笑う
2012/03/04 (Sun)
詩
死にたいな、
群青
産まれてから今まで
食べたバナナの数を計算すると
予想より多くて
思っていたより少ないから
どんな気持ちになってよいのか戸惑う
親父はすっかりまだらボケ
時々俺を誰かと間違えるようにまでなった
背中の斜面
太陽の灯火
可愛がってくれた野口さんは
転んだ拍子に死んじまった
たーちゃんはいい子だね、
たーちゃんはいい子だね、
でもね、野口さん
たーちゃんはいい大人にはなれなかったよ
それでも生の端っこにしがみついて
俺を殺さないでくれ、と
何かに懇願するんだろう
空も風も
何であんな所にありやがる
死にたいな、
群青
死にたいな、
群青
死にたいな、
群青
産まれてから今まで
食べたバナナの数を計算すると
予想より多くて
思っていたより少ないから
どんな気持ちになってよいのか戸惑う
親父はすっかりまだらボケ
時々俺を誰かと間違えるようにまでなった
背中の斜面
太陽の灯火
可愛がってくれた野口さんは
転んだ拍子に死んじまった
たーちゃんはいい子だね、
たーちゃんはいい子だね、
でもね、野口さん
たーちゃんはいい大人にはなれなかったよ
それでも生の端っこにしがみついて
俺を殺さないでくれ、と
何かに懇願するんだろう
空も風も
何であんな所にありやがる
死にたいな、
群青
死にたいな、
群青
2012/02/29 (Wed)
詩
傍らに咲く向日葵の肩に
歯車、のようなものが落ちて
僕らは片言で話す
君はカタコトと音をたてて
一面の夜みたいに
目を閉じている
カタコト
カタコト
いつかそんな音がする列車に
二人で乗ったね
目は開けていたけれど
真っ暗な中を走る
たしか、最終列車だったね
そして思い出という言葉を
使えるほどの勇気も
僕らはまだ持ち合わせていないね
歯車のようなものが飛んでいく
あれは歯車ではなくて
羽のある何か小さな生き物
何も忘れることなく
何も奪うことなく
きれいに見えなくなる
傍らに咲く向日葵の肩に
歯車、のようなものが落ちて
僕らは片言で話す
君はカタコトと音をたてて
一面の夜みたいに
目を閉じている
カタコト
カタコト
いつかそんな音がする列車に
二人で乗ったね
目は開けていたけれど
真っ暗な中を走る
たしか、最終列車だったね
そして思い出という言葉を
使えるほどの勇気も
僕らはまだ持ち合わせていないね
歯車のようなものが飛んでいく
あれは歯車ではなくて
羽のある何か小さな生き物
何も忘れることなく
何も奪うことなく
きれいに見えなくなる
2012/02/28 (Tue)
詩
夜、すべての列車が
運行を終えたころ
駅にしんしんと
ネジが降り始める
駅舎の出入口や
線路に積もったネジを
当直の駅員がネジかきをする
やがてネジは止み
夜明けにはすべて溶けて
人々は何もなかったかのように
駅に集まるだろう
そして今日もどこかで
ネジは締められ
緩められ
ゆっくりと酸化し
愛する人のために盗まれる
一本のネジもあることだろう
夜、すべての列車が
運行を終えたころ
駅にしんしんと
ネジが降り始める
駅舎の出入口や
線路に積もったネジを
当直の駅員がネジかきをする
やがてネジは止み
夜明けにはすべて溶けて
人々は何もなかったかのように
駅に集まるだろう
そして今日もどこかで
ネジは締められ
緩められ
ゆっくりと酸化し
愛する人のために盗まれる
一本のネジもあることだろう