プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
ブログ内検索
カテゴリー
月間アーカイブ
最新コメント
[09/10 GOKU]
[11/09 つねさん]
[09/20 sechanco]
[06/07 たもつ]
[06/07 宮尾節子]
最新トラックバック
カウンター
2011/11/16 (Wed)
詩
海へと下りていく小道に
一匹のセミがいた
地面にしがみつくように
じっと静かにしていた
指で摘んでも動かない
すでに命は失われていた
次から間違えないよう
ひっくり返しておいた
PR
2011/11/14 (Mon)
詩
母が滑り台で遊んでいる
すぐに、つまらない、と言い出して
妹のあきよさんと裏山の藪に入っていった
インターホンが鳴る
野口さんが玄関に立っている
タッパの中身は手作りの牛乳羮だろう
野口さんのお葬式、行けなくてごめんね
野口さんは黙って手を振って笑う
いつもの仕種で笑う
最後は笑うしかないもんね
そう思うと
もう野口さんに会えないことがわかる
部屋では看護疲れの母が畳に寝ている
東京に行くからスーツに着替えさせてくれ
ベッドの父がいつもより少し元気な声で言う
東京は昨日行ったでしょう、と言うと
そうか、昨日行ったか、と笑う
裏山から帰って来た母が目を覚ます
大きな荷物を抱えて
妻も買い物から帰ってくる
何があっても最後は笑う
絶対に笑う
2011/11/13 (Sun)
詩
誰もいない夜明けの街を
少年が黙って自転車をこぐ
真面目に呼吸を続けながら
サルは今も進化と退化の中を
死にそうになりながら
生きているころだろう
エロい身体をした僕は、夕べ
たくさんの貧乏くじを作った
自分のささやかな不幸を
引き当てて楽しむために
窓を開ける
どこまでも美しく
市町村が広がっている
2011/11/12 (Sat)
詩
駅前に無料相談所があった
男の人に相談した
普通の感じがする人だった
無料だった
銀行強盗を終えたきみと待ち合わせて
涼しい喫茶店に入った
二人でチョコのパフェを頼んだ
周りの人たちが
ゆっくりと笑っている
よく冷えたメニューの文字を
いつまでも触り続けた
2011/11/11 (Fri)
詩
陸地では使われなくなった文字が
水槽に降り積もっている
僕はエスカレーターから
その様子を眺めている
前の人の袖が
風のようなものに揺れて
明日になれば
おそらく別の人の後ろにいる
父の心は少年になって
会津の野山を走り回っている頃だろう
足が遅い僕には捕まえられない
2011/11/09 (Wed)
詩
海の生き物と話す
ヘモグロビンの傘を差して
今日は関節の痛い日です
海底を転がるまあるい心電図と
ぜんまい仕掛けで動き出す言葉
僕は夏至行きのバスで吸った息を
今、吐き出してる
その気泡でイルカたちは遊びだす
高速道路の下に
小さな虹がかかったよ
皆で見に行こう
絵は僕が描くから
皆で見に行こう
2011/11/07 (Mon)
詩
道に紙が落ちていた
人の名前が書いてあった
知らない名前だった
畳んでポケットにしまった
家に帰って紙を広げた
十分経っても知らない名前だった
ひどく蒸して
退屈な夏だった
死ぬ、という言葉が
お守りのように大切だった
2011/10/31 (Mon)
詩
キリンの背中に乗っている間に
世界は終わった
大好きだった人たちも
名前すら知らない人たちも
見慣れた建物も、古代の遺跡も
季節の匂いも
すべて跡形も無く消えてしまった
出来るだけ長い時間をかけて
キリンと一緒に黙祷をした
僕らのいなくなった世界では
キリンと僕のお葬式が
しめやかに執り行われているだろう
2011/10/30 (Sun)
詩
誰かが僕の名前を呼ぶ
はあい、と返事をして
中に招き入れようとするけれど
この部屋にはドアも窓もない
外は秋が始まっている頃だろうか
何度か名前を呼んで
声は聞こえなくなり
また僕が一人残される
それでもせっかくの平日なので
銀行に出かける
[PR]