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こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/15 (Sun)
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2006/08/11 (Fri)
昨日は開襟シャツの男が死んだ
今日はスプーンをくわえた女の死体を見ながら
明日もきっと生きているものは逝くのだろう
死は簡単に転がっていて
気づかないふりをして過ごす毎日は
とても息苦しい
こんなことができるのはあなたしかいないんですよ
皆が振り向いたその視線の先にいるのが
自分でなくて良かった
自分が自分であるというアリバイなど
誰にも証明することなどできないのなから
真実は本当にいつもひとつなんだろうか
そんなもの最初からないのかもしれない
忘れられた夕暮れ
のような事実の断片にむかって
ボールをおもいっきり
蹴りこんでやりたくなる
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2006/07/30 (Sun)
雲しうみへ
おそいひるのひ
おちていくかけ
ひと
めしあげないで



干しのさなかに
えりのひかりに
しすた
えんじん
むし、き



命めくこと
ろめんにかせのね
さみゅえる
こちらへ
まつすぐに



葉きるは
ひるべにねるこ
あかしのなとなり
きみ、いつか
あえてよかった
2006/07/25 (Tue)
わたしの手に
あなたの手が住み
眠り、少し起きて動くと
くすぐったいものが
わたしの中に届く

汗をかいて
わたしもうっすらと汗をかいている
守らなければならないのは
こんなに小さなもの
そして守られているのだ
こんなにも小さなものに

寝返りをうち
わたしの手を離れ遠くへと行く
あなたの手がある
わたしたちの願いなど
いつもありふれている


2006/07/18 (Tue)
温かい光の中を
二列に並んだ子供たちが
手をつないで歩いていた
先頭の先生は
ときどき振り向いて
おしゃべりしている子や
ちゃんと歩かない子を注意する
注意された子供は
一番うしろを歩く係の子の
袋につめられた
だんだんと袋はかさばり
やがて抱えきれなくなって
ひきずられた
最後は係の子だけになったが
その子も虫を見ていたことを注意されて
袋につめられた
袋は先生が引きずって歩いた
目的地に着くと
芝生の上にビニルシートを引いて
サンドウィッチを食べた
春の少し柔らかい風が吹いて
周りを涼しくした
その夜
先生は子供の人数分
作文を書いた
袋から子供たちの
笑い声が聞こえてくる
まだ遠足のさ中だった


2006/07/16 (Sun)
たてものの一番高いところから
真っ逆さまに飛び降りる
陽の光が足裏にあたって
全身が温かく包まれていく

下の方を見ると
あなたはすでに飛び降りている
足裏にちゃんと土踏まずがあったのが
少しうらやましかった

何を求めていたのだろう
なるべくいっぱい両の手を伸ばして

その指先が地面に届く瞬間
あっ、という小さな悲鳴で
目が覚めた
あなたの夢の中で
2006/07/12 (Wed)
ラクダの描き方ばかり
練習しているので
わたしの動物園はいつも
上手なラクダで
いっぱいになってしまう
平日の昼前
園内を一周する小さな乗り物に
お父さんがぽつり
乗っているのが見える
好きな形の帽子を被って
誰を拒むことなく
誰にも拒まれることなく
どこまでも行くつもりなのだ
わたしは知ってる
わたしのへその緒が切られたときも
お父さんは
同じようにしていたことを
そのときからわたしの
循環が始まったことも

2006/07/09 (Sun)
うがいた
うはうがいをしていた
はははががきになるので
うがきにならない
とにははととががいるのに
はははがばかりがきになって
ときにはははははきものときものを
まちがってしまう
うははねのねががのはねのねににて
こまるのだけれど
またはははははがきになるのだけれど
うがきににるのはきにならない
おとうとはうととのおととのちがいがわからないので
ががががんぼのがんぼうがきになるあいだ
うはうがいをして
はははがになりがははがきになりははきになりきがきになり
しずかなつきのよるうがたったいちわ
きになっている






鵜がいた
鵜はうがいをしていた
母は蛾が気になるので
鵜が気にならない
戸には鳩と蛾がいるのに
母は蛾ばかりが気になって
時には母は履物と着物を
間違ってしまう
鵜は羽の音が蛾の羽の音に似て
困るのだけれど
又は母は歯が気になるのだけれど
鵜が木に似るのは気にならない
弟は鵜と戸の音との違いがわからないので
蛾がガガンボの願望が気になる間
鵜はうがいをして
母は蛾になり蛾は葉書になり歯は木になり木が気になり
静かな月の夜鵜がたった一羽
木に生っている
2006/07/07 (Fri)
校長室には牛がいました
校長先生の牛でした
健康に育ちました
たくさん話かけました
ある日牛が大きなあくびをすると
校長先生はその中にとび込みました
牛だけが後に残されました
旅とはいつでも
大切なものを置いていくものですから
カーテンに開いた穴から
五月下旬の陽が差していました
子供たちの出鱈目な声が響いていました
照れると二の腕をかく癖がありました
楽しいことにはよく笑いました
2006/07/04 (Tue)
身体の中に高速道路
を抱く女
車の往来があり
多ければ渋滞になった
特にそれは料金所付近で
もちろんETCも使えた
あちらこちら防音壁は壊れ
溢れて久しかった
両の乳房に顔をうずめるぼくに
意気地無し
と言って道路管理者の工事車両の
運転手とねんごろな関係になり
音ずれする虫の羽の
ように会釈をした後は
知らない僕の叔母さんになり
子供をふたりもうけた
時々苦しければ深呼吸を
せめて二、三回でもいいから
何よりも喪服姿が美しかった
2006/06/28 (Wed)
服を買って着替える
着替えている途中にそば屋があったので
天ぷらそばを注文する
持ってきたのは昔の恋人だった
昔のように優しくしてくれた
着替えをしながら自分はそばだけを食べ
天ぷらはあげた
終わらない着替えのまま
交差点で信号待ちをしていると
知らない人に市民会館への行き方と
これからの生き方について聞かれた
前者はなるべく丁寧に答えた
後者は着替えで手一杯だった
入浴中の音が聞こえる家の前を通り過ぎ
きれいな色のプラスチックが並ぶ百円ショップに出る
県道を更に進み
コップを倒し水に濡れる
何かを踏みつけて
足音が想像できなくなる
もういい加減止めたい
でもそれは着替えではないと思う
というより寧ろ思いたいのだと自分に言いきかせたくなる
実家からダンボール箱いっぱいの衣服が届く
おまえは着替えが下手だから
と散々言われてきたのに
おまえは着替えが下手だから
と手紙にも書かれている
ここからも同じくらい美しい空が見えます
嘘の返事を書く
そうこうしているうちに
ただ日ばかりが暮れていく
他に暮れるものなどないのに
着替えだけが何の約束もされることなく
どこまでも続く

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* ILLUSTRATION BY nyao *