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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/15 (Sun)
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2006/06/22 (Thu)
皿の上に電灯があった
鶏肉がなかった、と
きみは言った
どうやって食べるのか聞くと
説明書をくれた
そのとおりに取り付けてみる
電灯はきゅこきゅこ音をたてた
飛べやしないのに
鳥の鳴き声のようだった
電気はきちんとついた
何も間違ってなどないし
もちろん食べてはいけない
とも書いてない
明日、鶏肉買いに行こうね
君は小さく頷き
二、三日生理が遅れている
と言った

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2006/05/31 (Wed)
屋根が卵を産んでいる
やがて孵化した屋根は
その下に家をつくる
中では人が
また息を始める

山木の斉藤さんと
いとこにあたる人が訪ねてきたので
午後からわたしたちは
外に出て遊んだ

楽しい時はいつまでも続き
本当に楽しかったのだと思う
遠くに見える屋根の下
代わりにこれを書いている人の齢も
忘れてしまうくらいに

2006/05/27 (Sat)
夜明けの街を
一台のインクジェットプリンターが
走り抜けていく

どこからか受信した文字のようなものを
ありったけの紙に印刷しながら
おそらくそれは全力で
疾走していく

雨上がりなので転ばないだろうか
そのことばかりが気になって
電話をすると

まだ眠っていた
死んだトミナガさんの
家族を起こしてしまった
泣きたいときは好きなだけ泣いていいのだ、と
言ってくれた
2006/05/25 (Thu)
ゼロックスを担いだ人が
命を狙いに来たので
タンポポで応戦しました
給紙トレーでの攻撃は
すさまじいものがありましたが
こちらの花弁も負けてはいません
雨でアスファルトが濡れている
そう考えた方がやられると思い
雨でアスファルトが濡れている
と考えないことだけを考えました
細胞壁で勝負は決しました
かつて生きたことがあるものの
強烈な名残でした
開いた口の奥で揺れるのどちんこが
大きくて綺麗でした
窓を開けるとすっかり晴れていて
音らしい音もありません
町内会長さんが歩いていました
先週まで副会長をしていた人でした
あげたスイカを美味しそうに食べた人でした
その向こうの空地に
新しく咲いたタンポポが見えます


2006/05/23 (Tue)
 *

朝起きて色を塗る
テーブルの上にある
野菜ジュースの中を
遠くまで行くことは
とても難しい

 *

虹を壊し
虹に壊されながら
走る子どもたちの足音が
回覧板でまわされる
狭い地面では金平糖に
夏のアリが集まり始める

 *

傘の話を
と言って傘の話をする人
口から次々と傘が出てくる
言葉で
とお願いする
忘れてしまったのです
また傘が出てくる

 *

朝起きると無題だった
父と母はすでに
エレベーターに乗っている
板橋区からお来しの
という案内が流れ
返事はまた繰り返される
屋上が壊れて久しい

 *

本に支障をきたしたので
それはもう本ではない
ページは断崖の形となり
かつて本であったものは
自らの中に身投げをする
けれど羽の形ばかりが
空に飛んでいってしまう

 *

体育館の薄皮をむく
そのための目がある
うち上げられた無数のヒグラシの亡骸に
薄く陽光があたっている
かなな
かようにして
耳は海へと続く

 *

眼鏡の匂いを思い出す日がある
まだ眼鏡などかけたことないのに
朝起きて触れるものに触る
それから呼吸の真似をしてみる
うまくなったね
大人にほめられた日が
かつてあった

 *
2006/05/19 (Fri)
きみの睡眠の中を走る
列車の軋む音を聞くと
世界が本当に
平面であることがわかる
ぼくらは座席に並んで腰をかけ
お手製の弁当を食べる
屋根の瓦が一枚落ちかかっているのだ、と
きみはさっきから
そのことばかり心配している
列車は平面の淵を行く
時折がたり、と揺れ
その度にぼくらは淵の向こうの
何も無い方へと
振り落とされそうになる
まだ夜の明けない頃
きみが寝返りをうってる
2006/05/18 (Thu)
五年かかって庭の木にやっと
たわわにおっぱいが実った
刺身、焼き、しんじょ、シチュー
いろいろあるなかで
やはり茹でて食うのが一番うまい
マヨネーズは味が濁っていけない
つけるのなら酢醤油だが
どうせなら何もつけないのが良い
父は言った
その夜、僕一人だけ起きて庭に出ると
地面に落ちていたおっぱいは形が崩れ
それでもおっぱいであり続けるために
風にふるふると揺れていた
僕は泣く泣く木を切り倒した
その木を使って大切な人に
首をくくって欲しくなかった

2006/05/17 (Wed)
発車ベルが鳴ると
髪の毛が風に笑ったね
誤算だったね
脚の長い女の子の
脚が長くてきれいだったね
「栞」を「おしり」と読んで
男の子がはしゃいでいたね
それはきっと僕だったね
港のガントリークレーンがキリンのようだったね
二機並んでいたね
先月動物公園で見たキリンは
花の側をゆっくり歩いていたね
メキシコに行きたい、と言っていたね
けれど行かなかったね
パスポートは優しく失効していたね
僕たちの言葉の中で
誤算だったね
センドウでは刺身が二十%オフだったね
天然物だったね
食べて何の問題もなかったけれど
テレビでは刑事役の男が射殺されていたね
地面に落ちて動いているアリを数えた
水不足の夏が昔あったね
本当は他のものも不足していたんだろうね
発車ベルが鳴り終わって
ドアが閉まると
髪の毛はもう風に笑わなかったね
誤算だったね
と言って何をごまかしてたんだろうね
右利きの君が左手で手を振ったね
発達した高気圧で
明日もきっと晴れるんだろうね
何の救いようもないくらいに


2006/05/16 (Tue)
先端のあやふやな人が
細長い話をしていたので
窓をもち歩く人が
そっと窓をしめる
何かが入り込むように
何かが出て行こうとするから

わたしは遅い夏の陸橋
レタスが逝った日のことを話した
その下を走り抜けるトラックの
荷台がきれいだったと話した

いのち
と言って先端のあやふやな人が
一番近い空をあやふやな先端で撫でると
閉ざされた窓の中で
わたしはまだ幼虫のように
子供であり続けた

2006/05/16 (Tue)
疲れた、と

至近距離から
鼻毛ロケット
発射
安い惣菜
しこたまのお土産

寝る間も惜しんで
発射
紙に文字を書くような音で
バス到着
疲れた、と

乗り込み
呼吸する速度で
鼻毛ロケット
びよよん
新緑を、と

表情はうららか
でも発射するのは
いつも同じ
運転手と
深く握手
几帳面な響きで
降り続ける雨
皆様、右に見えますのが

疲れた、と
発射
思い出によく似て
それは追い越し
その速度で
鼻毛ロケット
粉々になる
あなたをいつか愛した
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* ILLUSTRATION BY nyao *