プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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四つの脚をたて
温度の低い床に
椅子が停泊している
いつまでも出航しないのは
その方法を忘れてしまったから
ではなく
航行すべき海が
椅子の内に広がっているからだ
水が溢れ出さないように
今日も椅子は自らを
固く閉ざしている
それでも時々
波が白く砕けると
その背もたれを湿らせ
わたしの海へと
つながろうとする
温度の低い床に
椅子が停泊している
いつまでも出航しないのは
その方法を忘れてしまったから
ではなく
航行すべき海が
椅子の内に広がっているからだ
水が溢れ出さないように
今日も椅子は自らを
固く閉ざしている
それでも時々
波が白く砕けると
その背もたれを湿らせ
わたしの海へと
つながろうとする
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河口のある町に産まれて
背中が痒いことも
何度かあった
自分に似ているものがあれば
それだけで少し嬉しい
昔の知り合いに
夢の中で再開した
春、と呼ばれて
会話をすることなく
ふと目が覚めてしまった
お花畑のように
たくさんの花束を乗せたバスが
走っていたら
その人にも
見せてあげたかった
窓の外、古い橋が
前よりも古くなってる
背中が痒いことも
何度かあった
自分に似ているものがあれば
それだけで少し嬉しい
昔の知り合いに
夢の中で再開した
春、と呼ばれて
会話をすることなく
ふと目が覚めてしまった
お花畑のように
たくさんの花束を乗せたバスが
走っていたら
その人にも
見せてあげたかった
窓の外、古い橋が
前よりも古くなってる


横顔しかない女の人が
管理事務所の壁に
縦書きの落書きをしている
ビニル袋いっぱいに
梯子を詰め込んで
路地を走る子供
その影の跡を
母親が掃除しながら
やはり走る
隣の小さなアパルトマンでは
ボイラー技師が
昨日と今日との辻褄合わせに
余念がない
そんなバナナ、なんて
まだ言っているのだろうか
あなたは言葉で
管理事務所の壁に
縦書きの落書きをしている
ビニル袋いっぱいに
梯子を詰め込んで
路地を走る子供
その影の跡を
母親が掃除しながら
やはり走る
隣の小さなアパルトマンでは
ボイラー技師が
昨日と今日との辻褄合わせに
余念がない
そんなバナナ、なんて
まだ言っているのだろうか
あなたは言葉で


博士が遊びに来た
難しい話と
難しくない話を
わからない比率でしていった
翌日、
明日遊びに行きます
と届いた博士からの手紙には
二日前の消印が押されていた
お待ちしています
返事を書いたけれど
どこに出すこともなく
友だちの結婚式に行って
お祝いの言葉を述べた
*
博士と
手紙が
売っていた
安いほうの
博士を買った
買った博士を
ビンに入れて
海に流した
数日後
到着しました
と博士から
手紙があった
その手紙を
売りに行き
売ったお金で
この前買えなかった
手紙を買った
もって帰ろうとすると
それは手紙ではなく
三毛模様の猫だった
一こと鳴いて
行ってしまった
ひとり残されて
明日
衣替え
*
忍法!手紙の術!
それが博士の
お別れした人に手紙を書くときの
口癖です
人に聞かれると恥ずかしいので
なるべく小さなで言うのですが
耳の良い助手たちには筒抜けです
今日は近所の公園でお花見
一番たくさん花びらを拾った人が
今年の博士になれます
難しい話と
難しくない話を
わからない比率でしていった
翌日、
明日遊びに行きます
と届いた博士からの手紙には
二日前の消印が押されていた
お待ちしています
返事を書いたけれど
どこに出すこともなく
友だちの結婚式に行って
お祝いの言葉を述べた
*
博士と
手紙が
売っていた
安いほうの
博士を買った
買った博士を
ビンに入れて
海に流した
数日後
到着しました
と博士から
手紙があった
その手紙を
売りに行き
売ったお金で
この前買えなかった
手紙を買った
もって帰ろうとすると
それは手紙ではなく
三毛模様の猫だった
一こと鳴いて
行ってしまった
ひとり残されて
明日
衣替え
*
忍法!手紙の術!
それが博士の
お別れした人に手紙を書くときの
口癖です
人に聞かれると恥ずかしいので
なるべく小さなで言うのですが
耳の良い助手たちには筒抜けです
今日は近所の公園でお花見
一番たくさん花びらを拾った人が
今年の博士になれます


わたしの私語の中に
あなたはいた
白い百合の花が
畑のようにどこまでも続き
そのようにあなたは
私語の中で
匂っている
しーっ
誰かがわたしの唇に
指を立てる
少し湿った感触で
あなたは匂いとともに
消えてしまった
いつかした
間違い探しに似ていたけれど
目を瞑ると思い出すことは
何ひとつとして無かった
あなたはいた
白い百合の花が
畑のようにどこまでも続き
そのようにあなたは
私語の中で
匂っている
しーっ
誰かがわたしの唇に
指を立てる
少し湿った感触で
あなたは匂いとともに
消えてしまった
いつかした
間違い探しに似ていたけれど
目を瞑ると思い出すことは
何ひとつとして無かった


父、抑留始まる
ゴミ箱にクローゼットをしまう
近親憎悪の目に晒されながらも
脱皮を繰り返し
それでもよくケラケラと笑い
スクスクと育ち
糸をほどく
糸は糸だらけになり
パジャマの背丈よりも高くなる
そのうちに外は夕暮れ
というわけでもないのだが
どこからか複数のワニの歩く音が聞こえ
みなが単一のアーガイル柄で
まだ矢印にもなれない
父、抑留には慣れましたか
僕の手紙は悲しい人の背中になり
化粧水のように粘度をました母の
セーターの網目から先細っていく
コンセントを探してドライヤーのプラグ
陽の当たる玄関でつまずいた拍子に
たくさんの名前を次々に吐き出してしまう
整然と並べていけば美しい家系図になるのに
僕の名前だけが春に咲く花になりたがってる
気がつけばワニの子が一匹
はぐれて路頭に迷い
けれど路頭はどこにもないので
矢印になるための衣替えを準備している
父、抑留はまだ終わらないでしょうか
僕はただ
守るべきものを守りたいだけです
ゴミ箱にクローゼットをしまう
近親憎悪の目に晒されながらも
脱皮を繰り返し
それでもよくケラケラと笑い
スクスクと育ち
糸をほどく
糸は糸だらけになり
パジャマの背丈よりも高くなる
そのうちに外は夕暮れ
というわけでもないのだが
どこからか複数のワニの歩く音が聞こえ
みなが単一のアーガイル柄で
まだ矢印にもなれない
父、抑留には慣れましたか
僕の手紙は悲しい人の背中になり
化粧水のように粘度をました母の
セーターの網目から先細っていく
コンセントを探してドライヤーのプラグ
陽の当たる玄関でつまずいた拍子に
たくさんの名前を次々に吐き出してしまう
整然と並べていけば美しい家系図になるのに
僕の名前だけが春に咲く花になりたがってる
気がつけばワニの子が一匹
はぐれて路頭に迷い
けれど路頭はどこにもないので
矢印になるための衣替えを準備している
父、抑留はまだ終わらないでしょうか
僕はただ
守るべきものを守りたいだけです


村
村って
手伝うの
橋
っこの僕
を渡り
きって
切りすぎると
手が痛くて
って
今朝は
ネクタイが
うまく
結べない
の
人がいて
人のように
背格好
があっ
てって
手伝うの
湖面は
橋っ
この僕を
渡り
きっ
照り
返しの
強い
銀杏の
木漏れ日から
空っぽに
育つ
つもり
の僕は
村の長に
細長い
ひげの
集合
って
手伝うの
裸足の
娘
っこの
橋
渡る
しるし
のない
村
この村
村って
手伝うの
橋
っこの僕
を渡り
きって
切りすぎると
手が痛くて
って
今朝は
ネクタイが
うまく
結べない
の
人がいて
人のように
背格好
があっ
てって
手伝うの
湖面は
橋っ
この僕を
渡り
きっ
照り
返しの
強い
銀杏の
木漏れ日から
空っぽに
育つ
つもり
の僕は
村の長に
細長い
ひげの
集合
って
手伝うの
裸足の
娘
っこの
橋
渡る
しるし
のない
村
この村


飲むヨーグルトを飲んだ
飲まないヨーグルトは飲まなかった
食べるヨーグルトは食べた
食べないヨーグルトは
食べなかった
幸せなヨーグルトは
幸せに満ち溢れていた
虹のかかるヨーグルトには
美しい虹がかかっていた
名前のないヨーグルトは
それでもヨーグルトであることに
かわりはなかった
ヨーグルトを泳ぐ
たくさんのもの
たくさんのものを生むたくさんのもの
たくさんのものを奪う
たくさんのもの
たくさんのものに奪われた
たくさんのもの
形のあるヨーグルトには
形があった
形のないヨーグルトには
自分の形を少し
わけてあげたかった
朝、君の入れてくれた
飲むヨーグルトを飲んだ
小さな
二つの命で
飲まないヨーグルトは飲まなかった
食べるヨーグルトは食べた
食べないヨーグルトは
食べなかった
幸せなヨーグルトは
幸せに満ち溢れていた
虹のかかるヨーグルトには
美しい虹がかかっていた
名前のないヨーグルトは
それでもヨーグルトであることに
かわりはなかった
ヨーグルトを泳ぐ
たくさんのもの
たくさんのものを生むたくさんのもの
たくさんのものを奪う
たくさんのもの
たくさんのものに奪われた
たくさんのもの
形のあるヨーグルトには
形があった
形のないヨーグルトには
自分の形を少し
わけてあげたかった
朝、君の入れてくれた
飲むヨーグルトを飲んだ
小さな
二つの命で


男は速度を
なくした
それは
止まる
ことだった
男は欲した
口に言葉
手に文字
そして
生きた
自治区
と呼ばれる
区域の
辺境の村で
男が再び速度を
手に入れたとき
その心臓は
動いてなかった
棺を担ぐ者たちの
もつれそうな
脚の速度
珍しい雨
毎日の
祈り
なくした
それは
止まる
ことだった
男は欲した
口に言葉
手に文字
そして
生きた
自治区
と呼ばれる
区域の
辺境の村で
男が再び速度を
手に入れたとき
その心臓は
動いてなかった
棺を担ぐ者たちの
もつれそうな
脚の速度
珍しい雨
毎日の
祈り