忍者ブログ
こっそりと詩を書く男の人
  プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
  ブログ内検索
  月間アーカイブ

  最新記事
(04/10)
(03/29)
(03/27)
(03/22)
(03/20)
  最新コメント
[09/10 GOKU]
[11/09 つねさん]
[09/20 sechanco]
[06/07 たもつ]
[06/07 宮尾節子]
  最新トラックバック
  投票所
     
クリックで投票
 ↓ ↓ ↓
人気blogランキング
    
  バーコード
  カウンター
[73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81] [82] [83]
2025/06/16 (Mon)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2005/09/27 (Tue)
爆弾は
言いたいことを言うと
爆発
することもなく
カラスミのスパゲッティを
平らげる
それって美味しいの?
爆発的に美味しいッス
それから
小春日和の日差しに
少し傾いた
丸い影をつくったまま
すっかりおとなしい
僕らの身体の外で
何かのお祭りのように
たくさんの爆弾が
爆発していった
発言を許されること無く

PR
2005/09/26 (Mon)
タクシー未満の部屋を
間借りすると
運転手がいません
タクシー未満の部屋なので
運転手未満の僕がいます
それから線路のように
どこまでも間延びした
顔の恋人
そのために僕は
一本の枕木で良かった
のかもしれない
というもしかしたらの話を
たくさんしようと思いました
どこにも出発しない
この部屋で


2005/09/21 (Wed)
飛べないから
ビブラートがかかった
針金の先
ステンレスの廊下
突き当りを見失った
憤死している僕の恋人
片付けられることのない夕食
まだ支度されてないリビングで
共同の指先が
光源を探して屈伸
続けたまま
ケーキ・オ・フリュイ
足音だと思ってはいけない
それは、律
沢山の名前が書き込まれた天気予報図に
書き込んだのは沢山の子供
鼓動だと思ってはいけない
心臓のうそを
それは、律
突き当たり
ターン
2005/09/21 (Wed)
投げやりなタコ焼きが
ソースの匂いを振り撒きながら
僕を食べに玄関まで来ている

食べられたくない僕は
お守りを握りしめるけれど
よく見るとそれはカブトムシの幼虫
行き所を無くしたまま白く丸まっている

そんなことはお構いなしに
投げやりなタコ焼きは部屋にあがり込み
勝手に冷蔵庫を開け麦茶を飲むと
朝刊のクロスワード・パズルを解き始める

強く握りすぎて
幼虫は成虫になってしまった
メスなので少しがっかりもしたが
いつの日か卵を産めるように窓から放す

すべての桝目を埋め終え
投げやりなタコ焼きは僕をゆっくりと食べる
溶けていく音が波のようで良かった
胃にもきっと優しいはずだ

お父さん、お母さん
先立つ不幸をお許しください
人並みに言ってみる
本当は二人が生きてる間に言いたかった


2005/09/21 (Wed)
悲しいと言って君が
釣り糸に噛み付くから
僕はまた一つ疑似餌をつける
ショップに並べられた僕らの履歴書は
いつも濡れていて
釣り上げてしまったものを未来と呼んでも
誰も咎めはしない
二人して川面に待機している電車に乗ったのは
君の悲しみが本物になりそうだから
釣り竿だけが許された切符
窓を全開にして
二度と会えない人の名を何度も叫ぼう
僕らの成長は痛くて
まだ始まったばかりだ
2005/09/15 (Thu)
列車に向かって吠えて
吠え尽くそうとする
仔犬の目
は怒りに満ち
まだ私を許していない

信用金庫の前で立ち話をする二人
昨日もそこにいた気がする
確かに私はいなかったのに

陽光を浴びた魚群のように
大学病院行きのバスがゆっくりと
ロータリーを折り返す
昔あのバスに乗ったまま
帰って来なかった人
苗字が駅名
2005/09/15 (Thu)
モノを置かないでください
と張り紙のあるところに
モノを置いた

そんな些細なことがきっかけで
そんな些細なことの積み重ねだったのだろう

「いつもの」
そう修飾された朝は
あっけなく崩壊する

大切な人の顔を思い出しているのに
自分の名を呼んでしまう
腹立たしさに何かを叩き壊してやりたくなったが
手に取るとどれもこれも勿体無く感じる
2005/09/14 (Wed)
バスの回数券を一枚ずつ切り離す
私たちの遊びは既に失効している
終わりがないプレイルームで
延々と始まりだけが続き
つまるところ距離が無いという意味の部屋で
初めて見た虹を汚らしいと思った私たちは
それは奇麗なものなのだと教えてもらった
そして奇麗だと信じた私たちの
指先は今この瞬間にも何かと途切れている
今まで沢山の死に方を学び上手に物真似もできるのに
死体ごっこ、
そんな遊びをしてはいけないと大人たちは言う
テレビの中で炎上する街の美しさに歓喜の声を高らかに上げ
我こそは世紀の大悪党ブッシュである、という決め台詞に
大人たちはスイッチを切り
それは正義の味方の名だ、と
たった一つの真実を大切なことであるかのように告げる
その間にもバスは次々と操車場から出庫するので
回数券をすべて切り離してしまった私たちは
お互いの体毛をむしり取りお互いを相殺する
それでも禁じられてない遊びに夢中になりながら
どこかに繋がろうと無邪気に冷たい指先を伸ばす
2005/09/12 (Mon)
「水」という字を見ると不安な気持ちになるので
女は薄目を開けて電話帳をめくる
おかげで大好きな「花」という字もぼんやりとかすんでしまう
今日はついてない
最後までめくり終えると印をつけ
積み上げられた山の一番上に置き新しい電話帳を手にする
延々と続けられるその作業
速度が常に一定に保たれた指先とページとのけじめは
既につかなくなりつつある
欠落した昨日と明日のちょうど真ん中くらいで
次々とめくられていくのは女自身である
女は何か卑猥な言葉を呟いてみたくなった

2005/09/12 (Mon)
秋の色と形に
よく似た人と走る

最初にゴールした僕が振り返ると
その人は笑っている
もう一度振り返ると
もう誰もいない

一等の賞品に
不細工に割れたコップをもらった

午後三時
季節の記述についてはそれだけの
早春である

忍者ブログ [PR]

* ILLUSTRATION BY nyao *