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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
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58
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男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2005/04/29 (Fri)
僕らの旅は午後の教室から始まる
机の上ではまだら模様の教科書が青い空を目指し
ゆっくりと羽化している
君の強固な筆入れは中身がすべて行方知らずの風紋
象が踏んでも壊れないけど
涙の一粒で簡単に崩壊してしまう
歴史の教師が律令制度に意義を唱えている間
僕らは残しておいた給食のパンを食べ終え
さあ、外へ行こう

昇降口への地図が生臭いのは
日直になれなかった僕らの汗腺が付着しているからだ
学級委員が副委員とよろしくやりながら
左手にできた水イボを潰すことに余念が無い間
さあ外へ!外へ行こう!
歴史の教師はまだ開国されていない浦賀沖に向かって
遥か遠泳をしているぞ
手紙を回せ!
僕らが無駄に生きてるのではないという証に

校庭の隅で積んだクローバーがすべて
四葉だったので恐くなって焼却炉に投げ入れた
いったいあれはいつのことだったか
そのように思い出そうとすると
僕らの旅はいつもそこで終わる

そしてまた
教室は旅を始める
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2005/04/27 (Wed)
午後に服用するサプリメントの瓶を並べすぎて
リーゼントのことなど僕はすっかり忘れてしまった
内ポケットに隠し持つ洗面器に溜まり続ける水を
捨ててくれた祖母は満員電車の乗客に押しつぶされたまま
昔二人で食べた草もちの味をか細い言葉でただ書き連ねる

ああ、デブ
僕のバストは100cm強にまで隆起し
120cm弱にまで発達したウェストとともに
どこかに置き去りにされているヒップを探し求めている

それはリーゼントより深刻な問題ではありません、と
述べる同僚は既に三児の父親として硫酸ピッチを誤飲
くけー、くけー、リーゼントだったら良かったのに
注文したカルビセットが届かないメリケン粉の密売人は
自分の不幸が印刷された世界名作全集第89巻の挿絵と
勝てないジャンケンをしているうちに大人になったのだ

せせらぎはそよ風よりも優しい
リーゼントにとってそんなことはあたりまえじゃあないか
だというのに肘の重量に耐え切れず陥没したテーブルの脚に
すがりつき僕はリーゼントのことなどすっかり忘れている

床に落ちてる一本の髪の毛を齧ると
その律動はすべての地図記号をト音記号に摩り替える僕の一端
あまりに悲しみに明け暮れてしまって
各駅停車の停まらない駅で途中下車した僕は
大きく張り出した肩甲骨がつっかえて自動改札機を通過できない

その鼻先をかすめて遠ざかっていく僕のヒップ!
その後を俯き加減についていく僕のリーゼント!
2005/04/23 (Sat)
今日も俺は核家族のために働く
核家族を食わさなけらばならない
路頭に迷わせてはならない
俺はいとも簡単にスマイルを作り出し
その唇の端には
いつも核家族がぶら下がってる
連休は月並みにどこかに出かけ
連休はどこも混んでるね、と言って
月並みにどこにも出かけない
そして月並みということについて
俺と核家族は何も語らない
俺が仕事をしている間
核家族は握り、わたり、吐き、
触れたり、ふさがらなかったりしている
帰りのホームで電車を待っていると
右手も左手も既に核家族でいっぱいになってる
時々足元で小さな生き物の集団が死んでいるが
それは核家族ではないから
家長の俺は心配しなくても良い
2005/04/17 (Sun)
マコという名の女、短いスカートで
呼吸する、女
すっ、とん、
京都、清水の舞台から
飛び降りることもぜずに
さっきから側で
魚の浮き袋が肥大していく病気を
ただ静かに見ている

マコという名の女、「スペシャル」を
「スペソー」と発音する
けれど何がおまえのスペソーであるのか
俺は知らない
スペソーという方向を見ると
それは言葉を発しない

俺はありったけの猥雑な言葉をマコ
という名の女、に浴びせ
ありったけの淫らな格好をマコ
という名の女、にさせ
ているところを想像しこっそりと勃起し
ていないのは
俺が想像していないからだ
マコという名の女、おまえを想像することは
おまえを不可能にする

マコという名の女、特急列車
マコという名の女、週刊ゴングの表紙
マコマコマコマコマコと連呼すると
いったい何回目からコマになるというのか
後頭部に、パコッ、装着、マコ
その右に出るものはいないが
左にいつも置き忘れてしまう

マコ、おまえをマコという女というように
俺の名を呼んでくれ
俺を想像することは俺を不可能にする
俺は誰であるのか、マコ
「ヒラバヤシさん」
そうか
こんにちは、ヒラバヤシです


2005/04/15 (Fri)
俺、おまえ、鋼、はがっ
ね、おまえが、かかかかか
かかかたい、硬いはがっ
ね、俺が鋼
お願いです
どうかお願いします
回転寿司屋臨海丸
のカウンターに俺とおまえは、こしっ
かけ、はがっ
ね、鋼鉄のトロ
鋼鉄のホタテ、鋼鉄のイクラ
にギャリギャリギャリギャリ、かじっ
りつき、かかかかか
硬い、おまえが、俺が
長生きはするもんじゃないねえ
とつぶやく幼稚園児の
後頭部にかみつき、はがっ
ね、くそっ、この後頭部め
この鋼野郎め
どうか改めてお願いします
ストーブ、すっ
とび、俺たちのストーブは鋼
ではない、プラスチッ
ク製だからきれいに溶けて
回転寿司屋臨海丸炎上
だから、だからもう一度お願いします
俺、おまえ、小さく丸まる本当は
俺たちコンニャク
かかかかかかたくねえ、ブヨブヨの
プラスチックにもなれやしねえ
鋼なんかじゃねえ
鋼なんかじゃねえ
と口ずさんで生きていることは、どうか
内密に!

2005/04/14 (Thu)
ブリッジをする君が足元
そして腕のあたりから
徐々に橋になっていく
なぜ君はブリッジをしていたのか
なぜ本物の橋になる必要があるのか
僕らは何を間違えたのか
かつて優しい嘘で慰めの言葉を吐いた口も
すでに橋の一部となり
閉ざされてしまった
明日の今頃には
きっと完全な橋になっている

翌日僕は欄干にもたれかかり
何を思い出すべきか考えていた
「お母さん、この橋、泣いているみたいだよ」
と言って子供が母親の元へと走っていく
「この橋、泣いているみたいだよ」
僕にはわからなかった


2005/04/11 (Mon)
漂流していました
右側にある、と呼んでいたものは
すべて左側で発熱しています
僕らを幸せであると
誰も定義しないでください
ひとつひとつそろえていけば
平和な家庭が作れると思った日々を
幼さと笑わないでください
ポケットの中で
カタカタと音をたてている文字を
並びかえると
過不足無く僕らの名前になります


2005/04/11 (Mon)
メスシリンダーはすべて
叩き割って構いません
まちは季節によってその色を変えるのに
案内図の中には
風一つ吹かないのですから
傘は売れましたか
そのことが一番気がかりです
という嘘はいつも僕に優しさを与えてくれる
悲しみ
と大きな声で十回言ってみてください
一回くらいは
自分の母親を犯している気持ちになります
2005/04/10 (Sun)
昇り専用のキャバレーでした
あまり感情を表に出さない女性に導かれ
私はどこまでも昇り続けました
彼女のうなじには
一匹のハエがとまっていました
その羽の見事な曲線から
昔よく下った坂道までは
それほど遠くはなかったはずですが
気がつくと
いつも私は引きずられていました
2005/04/03 (Sun)
扉しかない部屋で
君は朝焼けを食べている
朝焼けを食べ終わっても
朝焼けはなくならない
俺が隣で朝焼けを描いているから
なくならない朝焼けを食べ続け
そして君はまた扉を排泄する
遠くでは娘が
泣きながらその扉を開け続けている
弱いものにしわ寄せが行く
そんな世界を嫌っていたじゃないか
なのにいつも俺たちじゃないか
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* ILLUSTRATION BY nyao *