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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2025/06/15 (Sun)
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2005/11/25 (Fri)
角の先から尻尾の先まで
数えている間
よだれでベトベトの浴槽に
肩までつかっていると
今日の牛の冷たさが伝わってくる
それはほんの少し痛くて
やはり懐かしい
牛はただこちらを
じっと見つめるばかりだけど
見つめているのは
僕の方なのかもしれない
ドアの向こうから産声が聞こえて
また新しい
牛が始まっている
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2005/11/24 (Thu)
丘の上に立って色の無い偏差値について語ろうとすると
バナナの風が熱帯雨林の方角から吹いて
学習ノートの文字は穏やかに飛ばされてしまった

間違えることなく世界にはたくさんのリビングがあって
たくさんの人々が正確に呼吸の真似事をしている
その隣にある誰もいないリビングでは
僕らの不在を告げる回覧板がドアノブに揺れている

リモコンのチャンネルは誤って押された
つけっ放しのテレビでは水浸しのワイドショーが始まった
自転車は補助輪をなくして二回目の角を曲がりなおも曲がろうとした
先生、と呼ばれて振り向いた
その人は先生ではなかった
それでも僕らが先生と呼び続けたので
いつまでもその人は行間で振り向き続けなければならなかった

採点簿には美しい悪口が綴られ
誰もいないリビングの裏庭からは子犬の落下する音が聞こえる
その速度はついに僕らの成長する速度を追い越し
犬小屋は意味の無い記号の渦の中に何度も生まれようとする
やがて司会者の事件は偏差値で終わり
リビングの人々は次々に別れの号令を叫んだ

2005/11/22 (Tue)
野を渡る風が表皮をなぞると
確かに私たちからは
生きているものの匂いがする

ひれ状に並ぶ背中の突起物にさえも
既に意味は付与されているのだ

と、唐突に閃光が走り
どこか、という特定されない場所で
また誰かの空が陥落していった

木漏れ日のある初夏
まどろむ私たちの目は
瞑られるためにあった
2005/11/18 (Fri)
メロスが走っていた頃
大半のメロスは
走ってなかった
セリヌンティウスが王に囚われていた頃
大半のセリヌンティウスは
自由に街を往来していた
少年の青白く細い指は
ページをめくり続ける
昨晩、スタンドの光に誘われて来た
小さな羽のある虫をその指はつぶしたが
今ではきれいに洗われていた
2005/11/15 (Tue)
メロンパンが破裂して
扉が開いた
向こう側には
名前の知らない海峡がひとつあって
多分自分もあっち側なんだと思う
それなのに僕は波音を聞きながら
こっち側でひたすらメロンパンの
破片を拾い集めている
分別のつく年頃になりました
備考欄にはその旨を書いておいたが
これから誰が何を考慮してくれるというのか
見つからない破片は
いつまでも見つからないまま
本日のデイゲームはお開きとなる
2005/11/12 (Sat)
見事に文字化けしていました
文字化けしてどうなったかというと
まだなってません
議場で私たちは深く愛し合い
お互いの身体のいたる所を弄り合い
底辺かける高さわる2
三角形の面積はどこにいても
正直に計算されていきます
先生、と呼ばれている人たちの
野次と怒号が飛び交うなか
恥ずかしくない、といえば
それは多少の嘘を含みますが
私たちは行為を繰り返し
小さな悲鳴のような声までもが
速記者によって記録され
故郷の小川に流されていきます
横たわる私たちの視界の隅では
文字化けしたものがついに
なっているように感じられるのに
焦点を合わせようとすると
瞼は深く閉じられてしまう
かくして
法案は可決されました
2005/11/09 (Wed)
俺の死体が落ちていた
パンツの中だった
パンツは汚れていた
パンツは洗われてなかった
おまえによって

おまえは植木のひとつひとつに
水をやり
それぞれに優しく声をかける
その姿は昔と変わってなかった
昔と変わることなく
俺のパンツは洗われてなかった
おまえによって

俺がおまえに愛を告げたのは
中野の暗く狭い路地だった
ポケットには千円札が一枚
それで二人はラーメンを食い
ビールを一本飲み
足りない分はおまえが出した
それから間違えることが無いよう
おまえは俺の身体の部位に
ルビを振った
それからだ、俺のパンツが
洗われなくなったのは
おまえによって

洗濯物を干すおまえの背中は
薄く、洗濯物のように綺麗だ
何故おまえは俺のパンツは洗わないのだ
その中に死体があるのだと
おまえは知っていたのか
気づいていたのか
目からパンツまでの
眩むばかりの高さの途中
俺は何度も気絶しそうになったんだぞ

そしてどうしたことか
俺の死体はさっきから
金玉と仲が良いのだ

2005/11/08 (Tue)
手荷物、は戦いだった
毎夜欠かすことなく
網棚はやって来て
月はまるごと列車でよかった
主翼があれば飛行機でよかった
ぼくは懐疑的な目
愛についてを語る

農家の野菜売りのおばさんが
パンツスーツ姿で
黒い外車を乗り回している
のを見たことがある
皆どこか一箇所くらい
寂しいのだと思った
広げた地図帳に
ぼくの住む街の名があってよかった

戦いだった
手を突っ込めば
暖かいものと冷たいものが混じりあう
要所のようなところ
またひとつパッケージ
身体から離れていく、で、
よかった


2005/09/28 (Wed)
もし僕がDJだったら
もっとカオルのことを愛せたのに

父の荷物を整理している時
見慣れた筆跡で
そう書かれた紙切れを見つけた

母は屈み込んで
机の下にある二箱目のダンボールを
引っ張り出している
おそらく同じ姿勢で
昔、父が押し込んだ

父さん、やはり僕は
マリコの息子で良かった

2005/09/27 (Tue)
口をふさいだ人と
耳をふさいだ人が
ただ見詰め合ってる

目をふさいでいるぼくに
きみが教えてくれた

冷え性のきみの手が
ぼくの身体のどこかに触れていて
少し温かい

何も見ない
ということはとても簡単だ
きみの諦めが
ぼくからとても遠い


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* ILLUSTRATION BY nyao *