プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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カウンター


ネジを食べる
硬い
ネジ、硬いね
君も食べる
時々軟らかいのがある
不良品なので捨てる
そろそろご両親に挨拶に行きたいのだけど
言いそびれていた話を切り出す
君が嬉しそうに微笑む
お土産は何がいいかな
ええっと、ネジ
すべて食べずに残しておく
硬い
ネジ、硬いね
君も食べる
時々軟らかいのがある
不良品なので捨てる
そろそろご両親に挨拶に行きたいのだけど
言いそびれていた話を切り出す
君が嬉しそうに微笑む
お土産は何がいいかな
ええっと、ネジ
すべて食べずに残しておく
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フットサル
足元で猿
ボールを蹴りながら
猿回しの猿に
回されてますよ俺
舞わされてますよ俺
華麗なステップ
素敵なトラップ
フィット
チーネの味は
忘れました
あなたがいないから
いなくなったから
でもいますのよ猿
足元に猿
さて皆々さま
季節はすっかり猿めいてきました
グルーミングに夢中になりすぎて
忘れてはいけないものまで
忘れてしまった俺たち
つまりは俺と猿の契り
フットサル
ふっと
足元から去る猿
尻尾をつけた
それはあなたでした
足元で猿
ボールを蹴りながら
猿回しの猿に
回されてますよ俺
舞わされてますよ俺
華麗なステップ
素敵なトラップ
フィット
チーネの味は
忘れました
あなたがいないから
いなくなったから
でもいますのよ猿
足元に猿
さて皆々さま
季節はすっかり猿めいてきました
グルーミングに夢中になりすぎて
忘れてはいけないものまで
忘れてしまった俺たち
つまりは俺と猿の契り
フットサル
ふっと
足元から去る猿
尻尾をつけた
それはあなたでした


立っているだけで結構ですからと
レジ係を頼まれる
お客さんがカウンターにやってきたけれど
その言葉を忠実に守り立っているだけにする
約束事のように一人また一人と列に並び始める
お弁当コーナー
よく冷えた清涼飲料水コーナー
(本当に冷たいのか私は知らない)
エロ雑誌のコーナー
エロじゃない雑誌のコーナー
を経て列は店外へと伸びていく
並んでいるお客さんは始終無言でその様子は
私に何かを期待しているようでもあり
何も期待して無いようでもある
ただ皆一様に同じ目をしていて
かつて同じ目をした私も
どこかの列に並んでいた気がする
もはや最後尾は見えないところにある
列はどこまで伸びているのだろう
そう考えると夕刻まで間があるのに
果てしない光景の向こう側に広がっているのは
いつか見た夕暮れのようでもある
レジ係を頼まれる
お客さんがカウンターにやってきたけれど
その言葉を忠実に守り立っているだけにする
約束事のように一人また一人と列に並び始める
お弁当コーナー
よく冷えた清涼飲料水コーナー
(本当に冷たいのか私は知らない)
エロ雑誌のコーナー
エロじゃない雑誌のコーナー
を経て列は店外へと伸びていく
並んでいるお客さんは始終無言でその様子は
私に何かを期待しているようでもあり
何も期待して無いようでもある
ただ皆一様に同じ目をしていて
かつて同じ目をした私も
どこかの列に並んでいた気がする
もはや最後尾は見えないところにある
列はどこまで伸びているのだろう
そう考えると夕刻まで間があるのに
果てしない光景の向こう側に広がっているのは
いつか見た夕暮れのようでもある


机が坂を滑り落ちる
その形状を保ちながら
机が坂を滑り落ちていく
誰に目視されることもなく
他に滑り落ちるもののない坂を
机が机として滑り落ちていくのだ
ああ素晴らしき滑走!
けれどそれは何をも慰めはしない
いずれ大きな岩に叩きつけられ
大破するだけなのだから
はたしてその机は木製であった
と翌朝記事は伝えた
その形状を保ちながら
机が坂を滑り落ちていく
誰に目視されることもなく
他に滑り落ちるもののない坂を
机が机として滑り落ちていくのだ
ああ素晴らしき滑走!
けれどそれは何をも慰めはしない
いずれ大きな岩に叩きつけられ
大破するだけなのだから
はたしてその机は木製であった
と翌朝記事は伝えた


この大きな水たまりは俺がつくってしまったのか
海を前にして蛇口は茫然と立ち尽くした
もしかしたら俺の栓を大事に開け閉めしてくれた人たちの家もどこかに沈んでいるのかもしれない
そう考えると居ても立っても居られなくなって
目の前にある水をすべて吸い上げ
細く暗い管のもっと奥にある得たいの知れないところに戻したくなる
海は凪いで港を出港した貨物船が沖へと向かうのが見える
ああ、俺はあんなものまで出してしまったのだ
蛇口はもう死にたい気持ちでいっぱいになったけれど何をもって蛇口の死というのか考えもつかない
泣こうにも真水ばかりが出て海水の塩分濃度を下げるばかりなのだ
海を前にして蛇口は茫然と立ち尽くした
もしかしたら俺の栓を大事に開け閉めしてくれた人たちの家もどこかに沈んでいるのかもしれない
そう考えると居ても立っても居られなくなって
目の前にある水をすべて吸い上げ
細く暗い管のもっと奥にある得たいの知れないところに戻したくなる
海は凪いで港を出港した貨物船が沖へと向かうのが見える
ああ、俺はあんなものまで出してしまったのだ
蛇口はもう死にたい気持ちでいっぱいになったけれど何をもって蛇口の死というのか考えもつかない
泣こうにも真水ばかりが出て海水の塩分濃度を下げるばかりなのだ


あなたの温かみと重みが
わたしの存在に加えられる
その重みで
わたしは少し沈む
ほんの少し
沈む、あなたのわからない程度に
支える四本の脚
と呼ばれているそれは
わたしの言葉
もしくは誓いのようなもの
あなたがいて
わたしは椅子
夜明けのリビング
わたしは確かにあるのに
無垢の木の床と擦れ
小さな産声もあげない
わたしの存在に加えられる
その重みで
わたしは少し沈む
ほんの少し
沈む、あなたのわからない程度に
支える四本の脚
と呼ばれているそれは
わたしの言葉
もしくは誓いのようなもの
あなたがいて
わたしは椅子
夜明けのリビング
わたしは確かにあるのに
無垢の木の床と擦れ
小さな産声もあげない


僕らが歩き出す衝動は
希望なのかもしれない
その過程でいくつかの
意味のようなものを口に含むけれど
次々と廃棄しなければならない
進めば進むほど薄くなるものを感じながら
やがて一番硬いところにたどり着く
それは決して核でなく
たいていの場合はつまらない
その外側のただ広がっているところは
もっとつまらないが
僕らの生身はいつもそこにあるのだ
希望なのかもしれない
その過程でいくつかの
意味のようなものを口に含むけれど
次々と廃棄しなければならない
進めば進むほど薄くなるものを感じながら
やがて一番硬いところにたどり着く
それは決して核でなく
たいていの場合はつまらない
その外側のただ広がっているところは
もっとつまらないが
僕らの生身はいつもそこにあるのだ


洗い場には
石鹸の代わりに豆腐があった
かじると
石鹸の味がした
食卓には
冷奴の代わりに石鹸があった
かじると
やはり石鹸の味がした
豆腐はすべて食べてしまったの
と言いながら
絹ごしのような白い手で
妻はビールを注いでくれる
ベッドの上には
枕の代わりに
ぐちゃぐちゃになった豆腐があった
もうかじらなくてもわかる
本当はこんなにたくさん
食べ残してしまったのだ
石鹸の代わりに豆腐があった
かじると
石鹸の味がした
食卓には
冷奴の代わりに石鹸があった
かじると
やはり石鹸の味がした
豆腐はすべて食べてしまったの
と言いながら
絹ごしのような白い手で
妻はビールを注いでくれる
ベッドの上には
枕の代わりに
ぐちゃぐちゃになった豆腐があった
もうかじらなくてもわかる
本当はこんなにたくさん
食べ残してしまったのだ


生きていくのだ
ブルゾンに袖をとおして
ショップの店員が
ボタンを掛け違えたまま
しめやかに執り行われます
本日の埋葬
自分しか見当たらない台所で
悲しみの真似事をするのは止めにしよう
もう誰も傷つかないのだから
先述した店員の性別はどちらだったか
恐らく重要なことではない
私にとっては
生きていくのだ
ブルゾンに袖をとおして
ブルゾンに袖をとおして
ショップの店員が
ボタンを掛け違えたまま
しめやかに執り行われます
本日の埋葬
自分しか見当たらない台所で
悲しみの真似事をするのは止めにしよう
もう誰も傷つかないのだから
先述した店員の性別はどちらだったか
恐らく重要なことではない
私にとっては
生きていくのだ
ブルゾンに袖をとおして


背中の上を
トロッコがはしる
肩甲骨で二人乗って
お尻のあたりで三人降りて
それっきり
耳を澄ますと
庭でうるさい
海賊船が
ドンパチを始めて
お見込みのとおり
わたしにもかつて
二十三歳の時があった
トロッコがはしる
肩甲骨で二人乗って
お尻のあたりで三人降りて
それっきり
耳を澄ますと
庭でうるさい
海賊船が
ドンパチを始めて
お見込みのとおり
わたしにもかつて
二十三歳の時があった