プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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時を刻むより他に
自分にはすべきことがあるんじゃないか
時計は思った
けれど何をしようにも
手も足も出るわけがない
ただ柱にぶらさがって
そこはそれ時計の悲しい性なのだろう
正確に一日三秒遅れる
時計はなんとか身をよじり
(分子レベルの奇跡!)
ねじを一本落とすことに成功した
さてそれから何をしようとしていたのか
時計はいつものように
時間のことしか考えられなくなっていた
自分にはすべきことがあるんじゃないか
時計は思った
けれど何をしようにも
手も足も出るわけがない
ただ柱にぶらさがって
そこはそれ時計の悲しい性なのだろう
正確に一日三秒遅れる
時計はなんとか身をよじり
(分子レベルの奇跡!)
ねじを一本落とすことに成功した
さてそれから何をしようとしていたのか
時計はいつものように
時間のことしか考えられなくなっていた
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坂道の途中にある小さな花屋で
何度か花束を買った
買わない日の方が多いのに
そのことはあまり覚えてない
上り終えるあたりから見えてくるピアノがあって
軟式野球部員のカヂさんがよく曲を弾いていた
雨の日は境目のない傘をさして
二人で歌ったこともあった
もしかしたらカヂさんは
硬式野球部員だったかもしれない
何度か花束を買った
買わない日の方が多いのに
そのことはあまり覚えてない
上り終えるあたりから見えてくるピアノがあって
軟式野球部員のカヂさんがよく曲を弾いていた
雨の日は境目のない傘をさして
二人で歌ったこともあった
もしかしたらカヂさんは
硬式野球部員だったかもしれない


あなたが
中古
静かに軋む二輪車の
匂い
角を曲がる
何かを思い出し
もう一度角を曲がる
イニシャルを失ったまま
あの縄跳びもまた
どこかへ行くの
駆け込み乗車は
錆びて
およし
危険ですから
歯形のついた
ペダルの軌跡を
追いかけて
汚れたブラウスは
縄跳びの向こう
滑らかに
行かないの
あなたは知らない
履歴書のうそを
古びれた余白を
それでも
角を曲がって
あなたは行くの
やはり
中古に
中古
静かに軋む二輪車の
匂い
角を曲がる
何かを思い出し
もう一度角を曲がる
イニシャルを失ったまま
あの縄跳びもまた
どこかへ行くの
駆け込み乗車は
錆びて
およし
危険ですから
歯形のついた
ペダルの軌跡を
追いかけて
汚れたブラウスは
縄跳びの向こう
滑らかに
行かないの
あなたは知らない
履歴書のうそを
古びれた余白を
それでも
角を曲がって
あなたは行くの
やはり
中古に


友達と仲直りをした娘は
昼食を食べ終え
さっさと青空の下に飛び出していった
子供同士っていいね
うん
娘たちは今ごろ
どのあたりを走っているのだろう
昨夜の小さなほころびも繕えない
大人同士二人を
こんな部屋に残して
昼食を食べ終え
さっさと青空の下に飛び出していった
子供同士っていいね
うん
娘たちは今ごろ
どのあたりを走っているのだろう
昨夜の小さなほころびも繕えない
大人同士二人を
こんな部屋に残して


さよならの「さ」は
さよならの「さ」
さよならの「よ」は
さよならの「よ」
さよならの「な」は
さよならの「な」
さよならの「ら」は
らっぱの「ら」
突撃らっぱを聞いたまま
祖父は遠い南の島から
帰って来ない
さよならの「さ」
さよならの「よ」は
さよならの「よ」
さよならの「な」は
さよならの「な」
さよならの「ら」は
らっぱの「ら」
突撃らっぱを聞いたまま
祖父は遠い南の島から
帰って来ない


クラゲ番長が肩(のようなもの)を
いからせ炎天下の街を歩いている
強いぞ!クラゲ番長!
逆らう奴には毒針を刺すぞ
殴られても骨折しないぞ
食べても味がしないぞ
おら!おら!おら!おら!
でも身体の95パーセント以上が水分だから
やがて蒸発して
それっきりです
いからせ炎天下の街を歩いている
強いぞ!クラゲ番長!
逆らう奴には毒針を刺すぞ
殴られても骨折しないぞ
食べても味がしないぞ
おら!おら!おら!おら!
でも身体の95パーセント以上が水分だから
やがて蒸発して
それっきりです


言う男 の 言う が
ぷかぷかと空に浮かんで
言う の 雲になり
言う の 雨を降らせる
言う男 は 言う の雨にうたれながら
言わない
言う男 の 言わない は
地面にこぼれて
言わない の芽を出す
どうして 言う の
どうして 言わない の
そのことについて 言う男 は
言ったり 言わなかったり で
そのとおりなのだけれど
言ったり も
言わなかったり も
小さな破片のようなものになるばかり
やがて 言わない の芽が
言わない の花を咲かせると
言う男 はそれを花束にして
聞く女 にプレゼントする
言う男 の 言う は雨になり
聞く女 の 聞く は傘になり
そのすべてを受け止める
目を閉じると
沈黙は二人のためにある
ぷかぷかと空に浮かんで
言う の 雲になり
言う の 雨を降らせる
言う男 は 言う の雨にうたれながら
言わない
言う男 の 言わない は
地面にこぼれて
言わない の芽を出す
どうして 言う の
どうして 言わない の
そのことについて 言う男 は
言ったり 言わなかったり で
そのとおりなのだけれど
言ったり も
言わなかったり も
小さな破片のようなものになるばかり
やがて 言わない の芽が
言わない の花を咲かせると
言う男 はそれを花束にして
聞く女 にプレゼントする
言う男 の 言う は雨になり
聞く女 の 聞く は傘になり
そのすべてを受け止める
目を閉じると
沈黙は二人のためにある


錦糸町では世界が
落下を始めていた
世界は徐々に
錦糸町に収束し
凝縮し
一点の穴から
落下している
俺は子供の頃
家のものに連れられ
錦糸町駅で降りた
公園ではルンペンが
うずくまっていた
店のようなところでは
傘が売られていた
なぜ錦糸町にいなければならなかったのか
なぜ何も買ってもらえなかったのか
ただ俺はうつむいたまま
錦糸町は禁止
そんな駄洒落を
ずっと考えていた
錦糸町では世界が
落下を始めていた
錦糸町から世界は始まり
錦糸町で終わる
けれど世界のすべてが落下しても
錦糸町は決して落下しない
白く塗りつぶされた地図に
ぶらり
ぶらさがってる
錦糸町は遠くにありて思うもの
けれど錦糸町は俺から遠くなく
近くもなかった
落下を始めていた
世界は徐々に
錦糸町に収束し
凝縮し
一点の穴から
落下している
俺は子供の頃
家のものに連れられ
錦糸町駅で降りた
公園ではルンペンが
うずくまっていた
店のようなところでは
傘が売られていた
なぜ錦糸町にいなければならなかったのか
なぜ何も買ってもらえなかったのか
ただ俺はうつむいたまま
錦糸町は禁止
そんな駄洒落を
ずっと考えていた
錦糸町では世界が
落下を始めていた
錦糸町から世界は始まり
錦糸町で終わる
けれど世界のすべてが落下しても
錦糸町は決して落下しない
白く塗りつぶされた地図に
ぶらり
ぶらさがってる
錦糸町は遠くにありて思うもの
けれど錦糸町は俺から遠くなく
近くもなかった


空は鋼鉄製の空
優しい飛行機だけが
僕らの所有する
すべてだった
乗客は皆
海のかたちをしていて
ポケットは
いつもだらしない
客室乗務員が
小学生のように
一人
また一人と
忘れられていく
きれいだったね
透きとおってないものが
どこまでも
透きとおっていったね
優しい飛行機だけが
僕らの所有する
すべてだった
乗客は皆
海のかたちをしていて
ポケットは
いつもだらしない
客室乗務員が
小学生のように
一人
また一人と
忘れられていく
きれいだったね
透きとおってないものが
どこまでも
透きとおっていったね


男は長い間カバンの中に住んでいたが
ある日旅をすることにした
もちろんカバンを忘れることなく
昼間は旅を続け
夜になるとカバンの中で寝た
朝起きると同じ場所にいることもあったし
誰かの手によって
他の場所に運ばれていることもあった
カバンの中と外の世界はやはり違っていて
やはり同じだった
男はやがて死んでカバンを一つ残した
そして最後まで
何故自分がカバンの中に住んでいたのか
知ることはなかった
ある日旅をすることにした
もちろんカバンを忘れることなく
昼間は旅を続け
夜になるとカバンの中で寝た
朝起きると同じ場所にいることもあったし
誰かの手によって
他の場所に運ばれていることもあった
カバンの中と外の世界はやはり違っていて
やはり同じだった
男はやがて死んでカバンを一つ残した
そして最後まで
何故自分がカバンの中に住んでいたのか
知ることはなかった