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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2004/03/20 (Sat)
君の笑顔は椅子に似ていて
笑うと誰もが顔に座りたがる

散歩途中のお年寄りや
旅に疲れた旅人
アイスキャンディーを持っている人
ただ夕日を見ているだけの人

誰かが座ると嬉しそうにするものだから
君の笑顔はますます椅子そっくりになる
やがて行列ができて
僕は並んでいる人に整理券を配る

キッチンから夕食の支度をする君の鼻歌が聞こえる
きっと顔中を椅子いっぱいにしているのだろう
その間、僕は君の似顔絵を描くけれど
いつもそれは淋しくなってしまう
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2004/03/08 (Mon)
花に水をあげている君を見て
ああ、じょうろのまま一生を終わるのも悪くないな
と思ったのは、もう
うつらうつら
していたからなんだろう

君の手の温かさが
背中の取っ手から僕の中に伝わってくる

春一番のハチに驚いた君の声で
目が覚めた
ある日の
春眠

2004/03/05 (Fri)
ハロー、ハロー
周波数はあっているか、こちらはDJ
十三年ぶりに新種のサンショウウオが発見されたそうだよ、皆さん
サンショウウオが好きなDJとしては久しぶりに嬉しいニュースだ
寒い日が続くけど、皆さんは暖かくしているか
葉書を読むよ、こちらはDJ
周波数はあっているか
大好きな彼氏にふられました、どうしたら良いでしょうか
可愛そうな子猫ちゃんだよ、皆さん
一度しか言わないよ、一度しか言わない
次の恋をするべきである
さてDJからお知らせだ、皆々さん、とDJは言う
DJが言うんだから聴けったら聴けよ、皆さん
昨日、DJは大好きな彼女にふられたよ
もう恋なんてしない
こ・い・は・い・ち・ど・で・い・い
聴いているかよ、皆さん
ここでDJが書いた詩を読むことにする

背びれの一番痒いところに
ほくろができた
そう、それはアンタレス
瞬間すべてのさそり座は崩壊を始めた
ハロー、ハロー、こちらDJ
周波数はあっているか
DJは名前の無い客船に乗るよ
地球、地球、地球
恋は一度でいい

ひどい磁気嵐だが聴こえているか、皆さん
十三年ぶりに新種のサンショウウオが発見された
ここは寒い、ひどく寒い
皆さんのところはきちんと暖かいか
十三年ぶりに新種のサンショウウオ
寒いよ、寒い、皆さん
周波数はあっているか、こちらDJ


2004/02/15 (Sun)

じゅっしい
とても、じゅっしい
僕らは素敵な
脂身でできています

にくじる
にくじる
じゅわっと
じゅっしいに
あふれ出ます

育ちます
僕らは
じゅっしいに
育ちます
好き好き
カロリー
カロリー
僕らに素敵な
高カロリーを

僕に君
君に僕
僕らに脂肪
じゅっしいに
にくじる
心にはいつも
ふぉあぐるぁ

だから
何も怖くは
怖くはないのです
溶け出して
僕らは溶け出して
いつの日か
じゅっしいな
風にのります
2004/02/01 (Sun)

ねえ、どうしたの、

食べてよ

好きだったでしょう

魚雷ライスよ、魚雷ライス

魚雷ライス

ねえ、魚雷ライスよ

魚雷ライス

魚雷ライスよ

食べてよ、魚雷ライス

好きだったでしょう

魚雷ライスよ

魚雷を避けないで

魚雷ライスなんだから

魚雷ライスよ

魚雷もいっしょに

ねえ、魚雷もいっしょよ

好きだったでしょう

初めてのデートで

美味しかったわ、魚雷ライス

そう、あのこ洒落たお店

魚雷ライスよ

魚雷ライス

ねえ、魚雷ライス

隣の橋本さんにもお裾分けしようかしら

だって魚雷ライスですもの

魚雷ライスですものね

魚雷ライスよ

あなたも大好きな

魚雷ライスよ




僕は君の白くて細い指ばかり見ていた
2004/01/20 (Tue)
やったあ!やったあ!
風呂だ!風呂だ!
やったあ!風呂だ!
風呂だ!やったあ!
ふろふろふろふろふろふろふろふろふ
こすれ!こすれ!こすれ!
こおおおすうううれえええ
あかあかあかあかあ・か・だ・ぜ
だし!だし!だし!
俺のだし
だしの俺
みからでただし
でたらみな俺!おれ!おれ!おれ!
違う、それはギョーザだ!
違う、それはチャーシューだ!
違う、それはザーサイだ!
すまん、メンマよ!ナルトよ!納豆よ!
飲む飲む飲む飲む!飲む!
来い!おおなみ!
さわげ!こなみ!
お湯!


2004/01/15 (Thu)
ワイパーを身体につけたんだよ
ネジでさ、おへその穴に固定してね
勤続十五周年だもの
いろいろな人が去っていったもの
自分へのせめてものご褒美だもの

憧れていたんだ、ワイパーのある生活に
誰かが忘れていった骨みたいのが
カッチッカッチって
勤勉に規則正しく動くだろう
滑稽だよ、素敵だよ
でも勘違いしちゃいけない
憧れていたのはワイパーのある生活で
ワイパーそのものじゃないんだから

たしかにワイパーをつけたところで
雨を防ぐことはできやしない
眼鏡だって雨にさらされるから
景色はすぐに滲んでしまう
交差点
信号が赤から青になって
色とりどりに傘の波が動き出して
ぼやけた輪郭はつながって
自分だけ秒単位で遮断される

それでも時々、雲ひとつない夜空を見上げていると
ワイパーがプロペラみたいにブルンブルン回転し始めて
あの星とあの星の間を飛んでいけるんじゃないかって
スイッチをいれてみたりするんだよ


2004/01/14 (Wed)

とある八月、庭にアリクイが迷い込んだ
首輪をしていないところをみると
たぶん、野良アリクイだったのだろう

アリクイは庭で蟻を食べ続けた
長い口先から長い舌を蟻の巣めがけて伸ばし
舌に小石や砂がついても気にすること無く
アリクイはただ蟻を食べ続けた

やがて夏も終わり
蟻が庭からいなくなると
食べるものがなくなったアリクイは
片隅の陶器の置物の側に丸くうずくまり
その定位置から動くことはなかった
時々、長い口先でくしゃみのような
あくびのような
あるいはため息のような
音をたてるくらいで

冬のある朝
アリクイは庭から姿を消した
帰るべき所に帰ったのか
帰るべきではない所に帰ったのか
いつもうずくまっていた片隅の陶器の置物の側には
くぼみが出来ていたけれど
春になりまた次の夏がくると
あやふやになって
くぼみだか何だかわからなくなった


2004/01/08 (Thu)
こんな感じかな
左のてのひらにコースを描いてみる
この親指のつけねあたりがオー・ルージュね
君が人差し指でそれをなぞる

僕たちは今までに何度も
行ったことの無い場所をてのひらに描いた
時にそれは
巨大な砂丘だったり
人々の靴音が響くダウンタウンだったり
あるいは、でたらめな迷路だったり

そして僕たちを旅人と呼ぶには
いつも荷物が多すぎるのだ

2003/12/26 (Fri)
コーヒーをいれました
二杯
一杯はわたしのために
そしてもう一杯はあなたのために

並木のイチョウは黄色く色づき
風が吹くと何かの音をさせる季節
けれども窓は閉じられていて
見ることも聞くこともできませんでした

一口含み
ああ、幸せだ
というあなたの言葉の意味がわからなくて
視線をテーブルに落としました

テーブルクロスの絵柄はカエルでした
彼らはオタマジャクシの時期を知りません
描かれたときから
すでにカエルだったから

どうしてこんなものを買ったんだろう
って
そんなことばかり考えているわたしに
コーヒーのことは言ってほしくなかった


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* ILLUSTRATION BY nyao *