プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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カウンター


「うみ」
と書けば
白い波が寄せて返し
「そら」
と書けば
どこもでも青く
「もり」
と書けば
木々が香り
「とり」
と書けば
それは翼をもって飛びまわり
「まち」
と書けば
ああ、いろんな人が歩いているね
「いえ」
と書けば
小さなあかりが灯り
家族の笑い声がし
「かなしい」
と書けば
涙が止まらず
「あい」
と書けば
君がいつも側にいる
そんな魔法の「 」があったなら
僕はもう
詩なんて書かなくてすむのに
※
「 」は言葉を入れるところです
お風呂と間違えて裸で入ろうとしないでください
ゴミを捨てようとしないでください
カレーを作ろうとしないでください、鍋ではありませんよ
穴は決して空けないでくださいね
言葉が全部流れ出してしまいますから
※
ある日、泥棒がこっそりお金持ちの金庫から
「 」を盗み出しました
どんな財宝が入っているのか
わくわくしながら覗いたのですが
中に入っていたのは
「○▲*◎◇」
腰を抜かして動けないところを
警察に捕まっちゃったそうです
ちゃんちゃら可笑しいや
※
「よる」
が来て
空には大きな
「つき」
と煌く
「ほし」
あなたはどんな夢が見たいですか
「 」に入れてみましょう
僕は
「かいぞくせんにすみつくねずみになりたい」
と書けば
白い波が寄せて返し
「そら」
と書けば
どこもでも青く
「もり」
と書けば
木々が香り
「とり」
と書けば
それは翼をもって飛びまわり
「まち」
と書けば
ああ、いろんな人が歩いているね
「いえ」
と書けば
小さなあかりが灯り
家族の笑い声がし
「かなしい」
と書けば
涙が止まらず
「あい」
と書けば
君がいつも側にいる
そんな魔法の「 」があったなら
僕はもう
詩なんて書かなくてすむのに
※
「 」は言葉を入れるところです
お風呂と間違えて裸で入ろうとしないでください
ゴミを捨てようとしないでください
カレーを作ろうとしないでください、鍋ではありませんよ
穴は決して空けないでくださいね
言葉が全部流れ出してしまいますから
※
ある日、泥棒がこっそりお金持ちの金庫から
「 」を盗み出しました
どんな財宝が入っているのか
わくわくしながら覗いたのですが
中に入っていたのは
「○▲*◎◇」
腰を抜かして動けないところを
警察に捕まっちゃったそうです
ちゃんちゃら可笑しいや
※
「よる」
が来て
空には大きな
「つき」
と煌く
「ほし」
あなたはどんな夢が見たいですか
「 」に入れてみましょう
僕は
「かいぞくせんにすみつくねずみになりたい」


ビールを初めて飲んだのは
12の夏のことでした
親父と行ったナイターで
初めてビールを飲んだのです
さてさて、9回裏ツーアウト走者2、3塁
当たっている3番打者を敬遠だ
迎えるは最近不審気味の4番打者
僕が食べてたせんべいを
ひょいと取り上げバリバリと
代わりにビールをこの僕に
飲めと渡してくれたのです
さあ、プライドを傷つけられたバッターは
キッと投手を睨み付けます
押さえの切り札はマウンド上で仁王立ち
どうしていいのかわからずに
しばらく黙っていたけれど
親父が飲めと言ったので
ちょぴっと舐めてみたのです
おっと、ボール
9回裏ツーアウト満塁
ツーストライク スリーボール
いよいよゲームも大詰めです
初めて舐めたその味は
とっても苦いものでした
苦い苦いという僕に
親父は笑って言いました
「それが大人の味だ」
ピッチャー投げました
おおっと、これは
そして湧き上がる歓声とため息
あれから何年たっただろう
大人の苦さも少しはわかり
今日も生きてはいくけれど
ビールを飲むと思い出す
12の夏のあの夜を
今年の夏は休みをとって
もう一度行こうかナイターに
親父と二人で
ビールを飲みながら
12の夏のことでした
親父と行ったナイターで
初めてビールを飲んだのです
さてさて、9回裏ツーアウト走者2、3塁
当たっている3番打者を敬遠だ
迎えるは最近不審気味の4番打者
僕が食べてたせんべいを
ひょいと取り上げバリバリと
代わりにビールをこの僕に
飲めと渡してくれたのです
さあ、プライドを傷つけられたバッターは
キッと投手を睨み付けます
押さえの切り札はマウンド上で仁王立ち
どうしていいのかわからずに
しばらく黙っていたけれど
親父が飲めと言ったので
ちょぴっと舐めてみたのです
おっと、ボール
9回裏ツーアウト満塁
ツーストライク スリーボール
いよいよゲームも大詰めです
初めて舐めたその味は
とっても苦いものでした
苦い苦いという僕に
親父は笑って言いました
「それが大人の味だ」
ピッチャー投げました
おおっと、これは
そして湧き上がる歓声とため息
あれから何年たっただろう
大人の苦さも少しはわかり
今日も生きてはいくけれど
ビールを飲むと思い出す
12の夏のあの夜を
今年の夏は休みをとって
もう一度行こうかナイターに
親父と二人で
ビールを飲みながら


カウンターに腰掛けて
窓から差す夕日を
白いカップの中で転がしながら
紅茶を入れるのが得意な君は
僕の知らない紅茶の名前をつらつらと並べて
さあ、どれにする、なんて
そうだねダージリンがいいね
僕はいつもの一つ覚え
そうだわセイロンにしましょう
二人の他愛もない会話
白いカップのなかの夕日は
徐々に夜の色をまとい
ねえ、紅茶ができるまで少し寝かせてよ
そしてカウンターにうつぶせて
白いカップの中で
いつも後悔を転がす
君もおいしい紅茶も
失ってしまったんだ、と
窓から差す夕日を
白いカップの中で転がしながら
紅茶を入れるのが得意な君は
僕の知らない紅茶の名前をつらつらと並べて
さあ、どれにする、なんて
そうだねダージリンがいいね
僕はいつもの一つ覚え
そうだわセイロンにしましょう
二人の他愛もない会話
白いカップのなかの夕日は
徐々に夜の色をまとい
ねえ、紅茶ができるまで少し寝かせてよ
そしてカウンターにうつぶせて
白いカップの中で
いつも後悔を転がす
君もおいしい紅茶も
失ってしまったんだ、と


僕はえぐる
えぐる
ああ、えぐるとも
えぐるなら
えぐるならせめて
純銀の匙でえぐってくれ
そんな棒の切れ端ではなく
ささくれだった棒ではなく
ああ、そうかそうか
えぐるのか
やっぱりえぐるのか
そんなもので
そうだろう、そうだろう
そうなんだから、そうだろう
だから僕までささくれだってしまうんだ
それはそれとしてえぐったものを
荒野に置いてみようじゃないか
名も知らぬ雑草しか生えていないこの荒野に
とにもかくにも置いてみようじゃないか
荒野には音も無く風が吹いている
無音が闇として存在している
天気はない
空がない
その中心に置く
置くのは中心だ
この広大な荒野では
中心すらわからない
僕は約15メートル後ずさりすると
両手の指で四角をつくり
覗きこむ
覗きこんで呟くんだよ
音が無いのに呟くんだよ
嘆息交じりに
短足な僕は
「美しいピクチャーじゃないか
えぐる
ああ、えぐるとも
えぐるなら
えぐるならせめて
純銀の匙でえぐってくれ
そんな棒の切れ端ではなく
ささくれだった棒ではなく
ああ、そうかそうか
えぐるのか
やっぱりえぐるのか
そんなもので
そうだろう、そうだろう
そうなんだから、そうだろう
だから僕までささくれだってしまうんだ
それはそれとしてえぐったものを
荒野に置いてみようじゃないか
名も知らぬ雑草しか生えていないこの荒野に
とにもかくにも置いてみようじゃないか
荒野には音も無く風が吹いている
無音が闇として存在している
天気はない
空がない
その中心に置く
置くのは中心だ
この広大な荒野では
中心すらわからない
僕は約15メートル後ずさりすると
両手の指で四角をつくり
覗きこむ
覗きこんで呟くんだよ
音が無いのに呟くんだよ
嘆息交じりに
短足な僕は
「美しいピクチャーじゃないか


浮かれていた街も今では寝静まり
人々は家に帰り鍵をかけ
浮かれ損ねた奥底に
ひとり夜明け
黒ぶちの眼鏡をかけた青年は
白い息を吐きながら新聞を配り
朝早くから大変ですね
なんて言葉も白々しいから
ただきみが昨日
楽しい夜を過ごせたのなら
それをせめてもの救いにする
どこから飛んできたのか
拾い上げたクラッカーは中身がなくて
コートの右ポケットに
人々は家に帰り鍵をかけ
浮かれ損ねた奥底に
ひとり夜明け
黒ぶちの眼鏡をかけた青年は
白い息を吐きながら新聞を配り
朝早くから大変ですね
なんて言葉も白々しいから
ただきみが昨日
楽しい夜を過ごせたのなら
それをせめてもの救いにする
どこから飛んできたのか
拾い上げたクラッカーは中身がなくて
コートの右ポケットに


サイコロを振って
1がでるまでキスをする
もちろん僕はイカサマをしたから
僕たちは何百回も
キスをした
そうしているうちに
日も暮れ
こんな遊びに夢中になった僕たちは
1を出すタイミングを
見計らっている
1がでるまでキスをする
もちろん僕はイカサマをしたから
僕たちは何百回も
キスをした
そうしているうちに
日も暮れ
こんな遊びに夢中になった僕たちは
1を出すタイミングを
見計らっている


薄幸そうな女が歩いていく
カツカツカツカツ通りを歩いていく
お気に入りの赤いコートを着て
カツカツカツカツとブーツの音を響かせて
薄幸そうな女が歩いていく
背筋をピンと伸ばし
長い髪を手で掻き分け
早足で通りを
カツカツカツカツ歩いていく
そんなに急いだところで薄幸なのに
薄幸だというのに
僕は喫茶店のいつもの窓際
モーニングのコーヒーを飲むのに必要な
5ミリグラムのミルクを正確に計量しようと
目の高さまでスプーンを持ってくる
薄幸そうな女は薄幸だから
きっと駅前の段差で蹴躓く
僕がむず痒いのは
6ミリグラムのミルクのせい
カツカツカツカツ通りを歩いていく
お気に入りの赤いコートを着て
カツカツカツカツとブーツの音を響かせて
薄幸そうな女が歩いていく
背筋をピンと伸ばし
長い髪を手で掻き分け
早足で通りを
カツカツカツカツ歩いていく
そんなに急いだところで薄幸なのに
薄幸だというのに
僕は喫茶店のいつもの窓際
モーニングのコーヒーを飲むのに必要な
5ミリグラムのミルクを正確に計量しようと
目の高さまでスプーンを持ってくる
薄幸そうな女は薄幸だから
きっと駅前の段差で蹴躓く
僕がむず痒いのは
6ミリグラムのミルクのせい