プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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公園のイチョウも
すっかり葉を落とした
人は生きるために忘れる
と、いうけれど
僕のこれからが忘れる一方ならば
それを悲しいと感じないことが
むしろ悲しい
濁った白のベンチ
老人が一人、知らない地方の言葉で
うたを歌っている
少し暖かい日の溜まる場所に
僕はまだ忘れていないものを並べる
何でこんなものを
と思うものまで
いくつか大事にとってあって
自分でも可笑しかったかもしれない
すっかり葉を落とした
人は生きるために忘れる
と、いうけれど
僕のこれからが忘れる一方ならば
それを悲しいと感じないことが
むしろ悲しい
濁った白のベンチ
老人が一人、知らない地方の言葉で
うたを歌っている
少し暖かい日の溜まる場所に
僕はまだ忘れていないものを並べる
何でこんなものを
と思うものまで
いくつか大事にとってあって
自分でも可笑しかったかもしれない
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胃が四つに分裂しています
健康診断の結果、そう言われた
どういうことなのか理解できずにいる私に
つまりは反芻するということです
医者はたたみかけるように言う
反芻とはウシがするあの反芻ですか?
というより、あなたはウシになるのです
ますます頭がこんがらがる
後天性牛化症候群という病気です
日本では年に一人だけ発病します
くだけた感じで言うと
おめでとうございます!
あなたは日本全国一億二千六百万人の中からたった一人選ばれました!
ってところでしょうか
人間に食べられてきたウシの呪いという説もありますが
詳しい原因は不明です
日本政府及び日本医師会は混乱を恐れ
この病気についての公表は一切していません
心配はいりません
日本政府はあなたをウシとしてきちんと世話するし
家族の方々の生活も一生保障されます
事態が飲み込めてきた
そういえば食べたなあ、ウシ
ステーキ、焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ハンバーグにビーフシチュー
銀座のフランス料理屋で食べたあの料理は何ていったっけ
それにしても何で私なんだろう
人より多くウシを食べたというわけでもないのに
感謝の念が足りなかったのかもしれない
ウシに対しても人に対しても
やす子(妻)
ひとみ(娘)
お父さんはウシになるよ
いろいろな想いが浮かんでは消える
それで…
まだまだ聞きたいことはたくさんあったけど
すでに
モー
としか鳴かなかった
健康診断の結果、そう言われた
どういうことなのか理解できずにいる私に
つまりは反芻するということです
医者はたたみかけるように言う
反芻とはウシがするあの反芻ですか?
というより、あなたはウシになるのです
ますます頭がこんがらがる
後天性牛化症候群という病気です
日本では年に一人だけ発病します
くだけた感じで言うと
おめでとうございます!
あなたは日本全国一億二千六百万人の中からたった一人選ばれました!
ってところでしょうか
人間に食べられてきたウシの呪いという説もありますが
詳しい原因は不明です
日本政府及び日本医師会は混乱を恐れ
この病気についての公表は一切していません
心配はいりません
日本政府はあなたをウシとしてきちんと世話するし
家族の方々の生活も一生保障されます
事態が飲み込めてきた
そういえば食べたなあ、ウシ
ステーキ、焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ハンバーグにビーフシチュー
銀座のフランス料理屋で食べたあの料理は何ていったっけ
それにしても何で私なんだろう
人より多くウシを食べたというわけでもないのに
感謝の念が足りなかったのかもしれない
ウシに対しても人に対しても
やす子(妻)
ひとみ(娘)
お父さんはウシになるよ
いろいろな想いが浮かんでは消える
それで…
まだまだ聞きたいことはたくさんあったけど
すでに
モー
としか鳴かなかった


小指が一本ぽっつりと
宙に浮いていた
今思うと不思議な光景だけど
父か母に怒られた後だったのだろう
僕は何の疑問も持たずに
自分の小指をからませ
良い子になります
指きりげんまん
うそついたら針千本
約束をした
以来、僕は良い子だった
良い子のまま良い大人になって
結婚をして子供が生まれ
良い父親にもなった
それなのに
良い夫になり損なってしまったとは
大事にするよ
あの日、そう指きりをしたというのにね
電話をしたり
署名をしたり
ハンコを押したり
これからいろいろな手続きが待っている
良い大人の僕は
多分それらを模範的にこなしていく
ふと見ると
宙に小指が一本
ぽっつり浮いている
もう誰とも約束しません
指きりげんまん
うそついたら針千本
それを最後にした
宙に浮いていた
今思うと不思議な光景だけど
父か母に怒られた後だったのだろう
僕は何の疑問も持たずに
自分の小指をからませ
良い子になります
指きりげんまん
うそついたら針千本
約束をした
以来、僕は良い子だった
良い子のまま良い大人になって
結婚をして子供が生まれ
良い父親にもなった
それなのに
良い夫になり損なってしまったとは
大事にするよ
あの日、そう指きりをしたというのにね
電話をしたり
署名をしたり
ハンコを押したり
これからいろいろな手続きが待っている
良い大人の僕は
多分それらを模範的にこなしていく
ふと見ると
宙に小指が一本
ぽっつり浮いている
もう誰とも約束しません
指きりげんまん
うそついたら針千本
それを最後にした


困ってるんだね
たしかに世の中困ったことだらけさ
ロケットの打ち上げには相変わらず失敗するしね
ましてやこんがらがったそんな靴ひもじゃ
外にも出かけられやしないよ
でもね、想像してごらん
困ったことのない世界を
風が吹いているね
少し考えてごらん
やっぱり困ったことなんて無い方がいいね
見て
ほら、日が暮れていくよ
あの街灯の下
しっぽが犬を振っているよ
たしかに世の中困ったことだらけさ
ロケットの打ち上げには相変わらず失敗するしね
ましてやこんがらがったそんな靴ひもじゃ
外にも出かけられやしないよ
でもね、想像してごらん
困ったことのない世界を
風が吹いているね
少し考えてごらん
やっぱり困ったことなんて無い方がいいね
見て
ほら、日が暮れていくよ
あの街灯の下
しっぽが犬を振っているよ


内地に赴いた息子から手紙がくると
男は目の見えなくなった妻に
いつも読んで聞かせる
内地ではいくつかの戦いがあって
息子はもうこの世にはいなかったけれども
友人が時々
本当に息子がそうするかのように
本当に時々
その老夫婦のために代筆をしている
この物語に悪人は登場しない代わりに
さみしい人も登場しない
ただ手紙を運ぶ配達員だけが
時々
本当に時々
ふと、さみしいとつぶやいて
冷たい両手に息をはくくらいで
男は目の見えなくなった妻に
いつも読んで聞かせる
内地ではいくつかの戦いがあって
息子はもうこの世にはいなかったけれども
友人が時々
本当に息子がそうするかのように
本当に時々
その老夫婦のために代筆をしている
この物語に悪人は登場しない代わりに
さみしい人も登場しない
ただ手紙を運ぶ配達員だけが
時々
本当に時々
ふと、さみしいとつぶやいて
冷たい両手に息をはくくらいで


いわかん
くつしたを片方だけ
はいているような
あるいは
片方だけ
はいていないような
足音がきこえる
足音に帰るところはあるのだろうか
そもそもそれは
足音だろうか
音だろうか
きこえないものに
近づいて
いく
ゆうやけ
のみこんだ言葉
どこかで
洗濯物をとりこむ
きみの
ほそい
ほそい
(ほそい)
背中
ある日それは意味を失い始め
ある日失ってしまった
くつしたを片方だけ
はいているような
あるいは
片方だけ
はいていないような
足音がきこえる
足音に帰るところはあるのだろうか
そもそもそれは
足音だろうか
音だろうか
きこえないものに
近づいて
いく
ゆうやけ
のみこんだ言葉
どこかで
洗濯物をとりこむ
きみの
ほそい
ほそい
(ほそい)
背中
ある日それは意味を失い始め
ある日失ってしまった


そろそろはさみが欲しいね
という話になって
僕らは部屋にあるものを
はさみで切れるものと
切れないものに分類した
結構切れないものだらけ
ということにやっと安心して
二人で近所のホームセンターに行き
三番目くらいに高いのを買うことにした
はさみの注意点を店員に聞くと
エサもいりませんし毛も抜けません
ただ、金属製なので錆びることがあります
親切に教えてくれたので
錆び止めスプレーも一本買った
帰り道
十一月の風は昨日より冷たい気がした
忘れていたものも思い出せるかもしれない
何だかとても久しぶりに
きみの手を握った
という話になって
僕らは部屋にあるものを
はさみで切れるものと
切れないものに分類した
結構切れないものだらけ
ということにやっと安心して
二人で近所のホームセンターに行き
三番目くらいに高いのを買うことにした
はさみの注意点を店員に聞くと
エサもいりませんし毛も抜けません
ただ、金属製なので錆びることがあります
親切に教えてくれたので
錆び止めスプレーも一本買った
帰り道
十一月の風は昨日より冷たい気がした
忘れていたものも思い出せるかもしれない
何だかとても久しぶりに
きみの手を握った


あなたと出会ったのは
11月でしたね
10月の翌月だっらからよく覚えています
10月がどうした
というわけではないですけれども
たくさん
たくさん
話をしましたね
それなのに何故だろう
思い出すのはいつも
話せなかったことばかりです
今年もまた11月がやってきました
この世のすべては何かの冗談じゃないか
というくらいに
空がどこまでも続いています
あなたの命懸けの冗談を
いつの日か
笑えるように、と
11月でしたね
10月の翌月だっらからよく覚えています
10月がどうした
というわけではないですけれども
たくさん
たくさん
話をしましたね
それなのに何故だろう
思い出すのはいつも
話せなかったことばかりです
今年もまた11月がやってきました
この世のすべては何かの冗談じゃないか
というくらいに
空がどこまでも続いています
あなたの命懸けの冗談を
いつの日か
笑えるように、と


就職活動に使う履歴書の本籍地欄に
「ゼビラン星」
などと書いてはいけません
たとえ事実であったとしても
見落とされがちですが
意外と重要なポイントです
その代わりというわけではないが
僕は忘れかけていた故郷の民謡を口ずさんでみた
「ゼビラン星」
などと書いてはいけません
たとえ事実であったとしても
見落とされがちですが
意外と重要なポイントです
その代わりというわけではないが
僕は忘れかけていた故郷の民謡を口ずさんでみた


「パパ、なんで?」
酔い覚ましの水を飲んでるとき
泣きながら
寝言で娘はそう言った
「パパ、なんで?」
なんでだろう
パパ、
なんでいつも帰りが遅いの?
なんでいっしょに遊んでくれないの?
なんで抱っこしてくれないの?
なんで話を聞いてくれないの?
なんで約束破るの?
パパ、なんで?
君の中にはたくさんの「なんで」があって
そのひとつにさえ
僕は満足に答えることができないのだな
そして水をもう一杯
翌朝、二日酔いの僕は
むかつく胃に豆腐の味噌汁を流し込みながら
今度の週末に娘を動物園に誘おうかと思っている
動物園に行ったて
「なんで」の答えひとつ落ちてるわけじゃないけど
ただ、象はいるはずなんだ
酔い覚ましの水を飲んでるとき
泣きながら
寝言で娘はそう言った
「パパ、なんで?」
なんでだろう
パパ、
なんでいつも帰りが遅いの?
なんでいっしょに遊んでくれないの?
なんで抱っこしてくれないの?
なんで話を聞いてくれないの?
なんで約束破るの?
パパ、なんで?
君の中にはたくさんの「なんで」があって
そのひとつにさえ
僕は満足に答えることができないのだな
そして水をもう一杯
翌朝、二日酔いの僕は
むかつく胃に豆腐の味噌汁を流し込みながら
今度の週末に娘を動物園に誘おうかと思っている
動物園に行ったて
「なんで」の答えひとつ落ちてるわけじゃないけど
ただ、象はいるはずなんだ