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こっそりと詩を書く男の人
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たもつ
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
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こっそりと詩を書く男の人
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2024/05/04 (Sat)
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2005/05/19 (Thu)
髪の毛にエレベーターが刺さっている女の人と
危うくぶつかりそうになって
うっかり乗りそうになりましたが
それよりも階段の方が健康に良いので
大丈夫でした
自動販売機の前では
一匹のライオンが途方にくれていて
代わりにコインを入れてあげると
ライオンはたいそう喜んで
美味しそうに私を食べました
食べられた私は太り続けていきます
お見込みのとおりへそを押すとチョロチョロ
コーヒーが出てくる仕掛けです
カフェインカットのあれですね
そんなわけですから
私の父もきっぱりと煙草をやめたまま
小さくなり丸くなり
やがて点になりました
八幡屋のうなぎはうまい
それが残された家族の定説になりつつありますが
デザートを頼まなくなってから
いくつかの戦を経験しました
それでは今日も一日
体内バランスよくヘルシーでありますように
さようなら
甘えん坊のあなたと私

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2005/05/01 (Sun)
錦糸町駅で停車した総武線快速に
一匹のナナホシテントウが迷い込んだ
光に向かって飛ぼうとするが
むなしく窓ガラスにぶつかるだけだ
外に出してあげようにも
列車は地下に入ってしまって
テントウムシが生きていける環境ではない
結局ピルケースに入れて東京駅でいっしょに乗り換え
上野公園に放すことにした
公園には木や草がたくさんあったが
彼の主食であるアブラムシはいるのだろうか
せめて伴侶を見つけ
その小さなDNAの一片でも残すことができたらいい
いずれにせよそんなことを考えている間
僕は善人でいることができた
その後、東京国立博物館の特別展で
エジプトやメソポタミアやギリシアの
たくさんの神々を見た
テントウムシ
人間が作り出した神々
この二つの事柄を関係付け何かを語ることは容易い
しかしそのことによって生み出された意味が
何の意味も無いことを僕は知っている
これはゴールデンウィークのとある日のエッセイだ
そしてこのように書き記さなければ
数日後には忘れてしまう記憶だ


2005/04/13 (Wed)
校長は絶好調!俺は田舎侍、
辻斬りするの、ザウルス
すべからく太もも弾け、
今日は良き日であるの、ザウルス
あっぱれ、俺は因数を分解する、
分解し続ける、ズシン
が、因数は俺を分解してくれないの、
ザウルス、ズシン
セプテンバー、街を自在に歩く全長
10メートル前後の、
ザウルス、爪、鋭く、牙、光り、俺は田舎侍、
峰打ちするの、
ザウルス、ズシン、
ストリートには沢山の色があふれかえっていて
区別ができないの、俺はいなせな田舎侍、
女教師とランデブ
闊歩し、闊歩するの、ザウルス、
俺の背後で火炎放射
しないの、できないの、ザウルス、
悲しいまでに爬虫類、ハッチュー?
コージ、コージ、私の可愛いコージ
あなたの可愛いコージは校長になって
ザウルスの背中に乗っているぞ
卒業生一同の文集を編集中だぞ
コージ、コージ、俺も呼ぶぞコージ!
すべてのものに愛を、すべてのものに恵みを
俺の口から漏れてくる言葉は記号の羅列に
過ぎないの、ズシン
あなたは田原屋の二回でMade in Chinaの服を
買い物袋に入りきれない
ほど買って、すべての服に「コージ」と
名前をいれている最中
窓からそれを覗き込むの、ザウルス
あなたがコージを可愛いと思うのと同じように
コージはあなたを可愛いとは思ってくれてない
そんなこと、あなたは知っているの、ガオッー
ネームペンの匂いにラリったまま泣きつかれて
あなたは眠る、その枕元で
小さく丸まってるの、ザウルス
俺はハラキリ、また大切な人を失ってしまった

2005/03/29 (Tue)
眼、鼻、耳、口、毛穴
すべての穴に私たちは窓を取り付け続けた
窓に明りが灯ると私たちはそれを街と呼んだ
街が体中に繁茂していく傍ら
明りの消えていく窓がある
その浮力により
私たちは悲しみを持つ
いつまでも人

とある時代、橋上から
私たちは川を覗き込んだ
かつてその川にいくつもの街が水没した、と
人々はまことしやかに噂し合った
覗き込んではいけない窓がある
私たちはそのことを知っていたが
決して言葉にすることはなかった

2005/03/22 (Tue)
トーク。暁から暁までしゃべり続ける、トーク。
トーク。君とトーク。
知っていることをトーク。
知らないことをトーク。
トーク。いつまでもトーク。

人の顔を覚えるのが苦手な僕は
君が誰かわからないまま
しゃべり続けている
トーク。顔の無い君と、トーク。
違う、顔が無いのは僕の方だ
そう、トーク。僕のトーク。いつまでもトーク。

窓の外、無数の爆撃機が飛来してきている
部屋は閃光に包まれ僕も君も静かに炎上する
殺すつもりなんてありませんでした
信じてください!僕は足をもって運んだだけなんです
子供を返せ、僕の子供を、僕のたくさんの子供たちを
返せ
違う
トーク。それはただのトーク。
心配はいらない、今日も世界は美しく
花嫁は皆に祝福されている

トーク。目に映るもの、映像のすべてがトーク。
手に触るもの、舌で味わうものがトーク。
トーク。それは僕のトーク。一人きりでトーク。
剥離していく肉体の隅々までトーク。
トーク。
僕の声だけが僕であり続ける
2005/03/15 (Tue)
計算機を裏返し
ドライバーでひとつひとつ
ネジをはずす
基盤が剥き出しになる
入りくんだところで
ラーメン屋は既に営業している
のれんをくぐる
いらっしゃい、とだけ言って
寡黙な店主は作業を続ける
カウンターは汚れているが
清潔さを保っている
醤油ラーメンを注文する
カウンター下の棚から
漫画雑誌を取り出す
ページをめくる
我が家の玄関がある
扉を開けて中に入る
居間で
バラバラになった計算機を前に
娘がべそをかいている
ネジをなくしたらしい
ポケットを探りネジを取り出す
ドライバーでひとつひとつ
ネジをはめる
もう大丈夫だよ
娘は安心して泣き止む
お母さんはどこ?という質問に
娘は黙って台所を指差す
台所に行く
海がただ静かに広がっている
僕はとても残酷なことを娘に聞いてしまった

2005/02/16 (Wed)
覚えてる
迷ったときの指先のちょっとした仕草とか
暑い室内でむっと漂ってきた身体の匂いとか

正午、君がサイレンの口真似をすると
僕らは作業を中断して
いつも小さな昼食をとった

今日は無線の受信機を持って
役場の職員がやってきた
一通り機械の説明をして
それから今年は甘いなあ、と
冷えたスイカを一切れ食べて帰っていった
これからは正午になると
綺麗な音楽が流れるそうだ

君の記憶のほんの僅かを
僕は自分自身の記憶として引き継ぎ
後はもう空っぽだよ、って
写真の君はそんなところだろうか
試しにサイレンの口真似をしてみると
他にすることがなくなってしまう
2005/01/28 (Fri)
今、入門書が熱い!
という情報を聞きつけ
俺は師走の街をかっ飛び
かっとーび
許されるならすべてを散財し
強弱も忘れずに
強も弱も
俺の大切な兄たちたちが教えてくれたよ
引き連れて
強も弱も沢山
ひきつれーって
ブックストアーへ
広大な空間!ブックストアーへ
まっしぐらなのは猫ばかりじゃないぜ
と腕まくり
することも忘れ
でも強も弱も忘れずに
入門書が熱い!
うわあ、うようよいるよ
熱いからうようよいるよ
悔しいときは唇を噛んで血小板を数えるよ
全部兄たちから教わったよ
書棚に並ぶ入門書を次から次へとめくり
めくるめく快感の嵐
メキシコかよ
メキシコ入門かよ
ビバ!メヒコ!
でも俺は知らねえよ
メキシコ語知らねえよ
兄たちも知らねえよ
それでも俺が生きていることを
俺が生きていることのすべてを
ぶつけ
ぶっつーけ
俺は語る
メキシコのメキ
俺は放つ
メキシコのシコ
何度めくっても一頁目しかない入門書をめくり
ごめんなさい、ごめんなさい
とひたすら謝り続ける
優しい目をした兄たちは
あとがきのあたりで
知らんぷり


2005/01/26 (Wed)
いつからだろうマフラーがすっかり
魚だ
巻くと冷たい鱗がささり
しかも時々鋭い歯でかみつく
工場からの帰り
俺の手は油と煤だらけだが
首のあたりからは
腐った泥の臭いしかしない
明かりの無い夜道で
名前の一部のようなものを落とした
はたしてそれは大切なものであったか
カタログ雑誌を眺めても
買えないものばかり並んでいて
いつも困る
2005/01/22 (Sat)
てのひらにドアを取り付けた
白くてとても素敵なドアなので
一度遊びに来てください
と、旧い知り合い数人に手紙を出した
一通が宛先不明で戻り
それより早く金を返せ、という返事が来た以外は
いつまでたっても誰も来ない
壊れた蝶番を直し
ペンキも二回塗り替えた
ドアの向こうが何であるのか
覚えてはいるけど忘れている時の方が
きっと多い
もうみんな生きてないのかもしれない

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* ILLUSTRATION BY nyao *