プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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桜の枝を折ったジョージは
一生砂漠の砂を数え続けるという
罰を受けた
ああ、それならいっそのこと死刑にしてください
そう懇願したが
いやいや、罰とはそういうものなのだ
裁判長のこの一言で閉廷となった
ジョージは毎日毎日砂漠の砂の数を数え
自らの死を望んでいたものの
やがて自分がしていることの尊さを知り
いつしか
この砂漠の砂の一粒になりたいと
思うようになった
そして、気付けば
ジョージは砂の一粒になって
風に吹かれていた
砂漠を構成する砂のすべては
このような魂でできており
だから、砂漠は
果てしなく尽きることがないのである
ここまで書いたロレンス博士は
ふん、馬鹿げた物語を書いたものだ、と
紙を丸めてラクダとともに旅を続けた
丸められた紙は風にとばされ
ジョージ少年のところに届いた
それを読んだ少年は
桜の枝を折ってしまったことを
父親に告白しようと決心した
そこには、正直になれば裁かれることはないという
少年なりの計算があったのかも知れない
そして今、これを書いている私は
未だに砂漠というものを
知らないでいる
我が心は砂漠のようである、
そんな比喩を思いついたのだが
それを検証する術を
知らないでいる
一生砂漠の砂を数え続けるという
罰を受けた
ああ、それならいっそのこと死刑にしてください
そう懇願したが
いやいや、罰とはそういうものなのだ
裁判長のこの一言で閉廷となった
ジョージは毎日毎日砂漠の砂の数を数え
自らの死を望んでいたものの
やがて自分がしていることの尊さを知り
いつしか
この砂漠の砂の一粒になりたいと
思うようになった
そして、気付けば
ジョージは砂の一粒になって
風に吹かれていた
砂漠を構成する砂のすべては
このような魂でできており
だから、砂漠は
果てしなく尽きることがないのである
ここまで書いたロレンス博士は
ふん、馬鹿げた物語を書いたものだ、と
紙を丸めてラクダとともに旅を続けた
丸められた紙は風にとばされ
ジョージ少年のところに届いた
それを読んだ少年は
桜の枝を折ってしまったことを
父親に告白しようと決心した
そこには、正直になれば裁かれることはないという
少年なりの計算があったのかも知れない
そして今、これを書いている私は
未だに砂漠というものを
知らないでいる
我が心は砂漠のようである、
そんな比喩を思いついたのだが
それを検証する術を
知らないでいる
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白いお湯から顔だけ出せば
空には半分のお月さん
秋の風は頬を撫で
湯面を舐めて
草たちとじゃれ
唄ってる
今宵は静かな むうんないと
優しく照らす むうんらいと
今この世界でただ一人
半分のお月さんだけが
僕を見ている
空には半分のお月さん
秋の風は頬を撫で
湯面を舐めて
草たちとじゃれ
唄ってる
今宵は静かな むうんないと
優しく照らす むうんらいと
今この世界でただ一人
半分のお月さんだけが
僕を見ている


薄幸そうな女が歩いていく
カツカツカツカツ通りを歩いていく
お気に入りの赤いコートを着て
カツカツカツカツとブーツの音を響かせて
薄幸そうな女が歩いていく
背筋をピンと伸ばし
長い髪を手で掻き分け
早足で通りを
カツカツカツカツ歩いていく
そんなに急いだところで薄幸なのに
薄幸だというのに
僕は喫茶店のいつもの窓際
モーニングのコーヒーを飲むのに必要な
5ミリグラムのミルクを正確に計量しようと
目の高さまでスプーンを持ってくる
カツカツカツカツ通りを歩いていく
お気に入りの赤いコートを着て
カツカツカツカツとブーツの音を響かせて
薄幸そうな女が歩いていく
背筋をピンと伸ばし
長い髪を手で掻き分け
早足で通りを
カツカツカツカツ歩いていく
そんなに急いだところで薄幸なのに
薄幸だというのに
僕は喫茶店のいつもの窓際
モーニングのコーヒーを飲むのに必要な
5ミリグラムのミルクを正確に計量しようと
目の高さまでスプーンを持ってくる


湖面に白く
波々はさざめき
小船たちはシルエットで
ゆっくりと櫂を動かすシルエットたち
山々は黄色くあるいは紅く
熟し始め
遊覧船は出航間際
乗客は桟橋を足早に
白く白く
波は湖面を揺らめく
ああ、あの白い波の一つになって
小船や落葉や遊覧船と戯れる
さざめき、揺らめき、戯れた
しばしのあいだ
波々はさざめき
小船たちはシルエットで
ゆっくりと櫂を動かすシルエットたち
山々は黄色くあるいは紅く
熟し始め
遊覧船は出航間際
乗客は桟橋を足早に
白く白く
波は湖面を揺らめく
ああ、あの白い波の一つになって
小船や落葉や遊覧船と戯れる
さざめき、揺らめき、戯れた
しばしのあいだ


テーブルの上に
たくさんの紙を散らかして
パパは何かしている
数字の書いてあるボタンを
カチカチと押して
パパは何かしている
僕はご本を読みながら
パパが何をしているのか気がかり
何してるんだろう
何してるんだろう
恐い顔して
四角の中に数字をたくさん書いて
時々ため息なんかつきながら
コーヒーなんか飲みながら
そうか、きっとパパは
詩を書いているんだ
そうじゃなきゃ
眉毛と眉毛の間にシワをつくって
頭をがしゃがしゃとかいて
あんなむずかしい顔するわけないもの
僕は詩が大好き
だって、とても美しくって
ちょっぴり悲しくて
人の心をきれいにするんでしょう
きっとパパは詩を書いているんだ
そして詩人なんだ
パパの横で
僕はご本を読みながら
どんな詩ができるのか
ドキドキして待っている
お姫様が魔王にさらわれたって
僕の頭はもうパパが書く詩のことでいっぱい
ママは
おうちで仕事なんかしなくたっていいじゃない
ってちょっと怒っている
やっぱりパパのお仕事は詩人なんだ
だから、会社にはたくさんの詩のご本があって
パパは毎日
人の心をきれいにしているんだ
たくさんの紙を散らかして
パパは何かしている
数字の書いてあるボタンを
カチカチと押して
パパは何かしている
僕はご本を読みながら
パパが何をしているのか気がかり
何してるんだろう
何してるんだろう
恐い顔して
四角の中に数字をたくさん書いて
時々ため息なんかつきながら
コーヒーなんか飲みながら
そうか、きっとパパは
詩を書いているんだ
そうじゃなきゃ
眉毛と眉毛の間にシワをつくって
頭をがしゃがしゃとかいて
あんなむずかしい顔するわけないもの
僕は詩が大好き
だって、とても美しくって
ちょっぴり悲しくて
人の心をきれいにするんでしょう
きっとパパは詩を書いているんだ
そして詩人なんだ
パパの横で
僕はご本を読みながら
どんな詩ができるのか
ドキドキして待っている
お姫様が魔王にさらわれたって
僕の頭はもうパパが書く詩のことでいっぱい
ママは
おうちで仕事なんかしなくたっていいじゃない
ってちょっと怒っている
やっぱりパパのお仕事は詩人なんだ
だから、会社にはたくさんの詩のご本があって
パパは毎日
人の心をきれいにしているんだ


銀行員は、銀行員は、きっと詩人
だってあんなに恐い顔で
必死に電卓叩いてる
八百屋さんは、八百屋さんは、きっと詩人
だってあんなに大きな声で
今日もお歌を歌ってる
魚屋のおじさんはきっと銀行強盗なんだ
床下にはきっと
ピストルが隠されてるんだ
あなたは、あなたは、きっとマジシャン
だって「好き」の一言で
こんなに私を夢中にさせる
魚屋のおじさんが銀行強盗をしようとして
懐からピストルを取り出したら
凍ったサンマが出てきたんだってさ
銀行員は帰宅中
八百屋さんはパチンコしに行く途中
3丁目の交差点ですれ違った2人の詩人
あなたは、あなたは、やっぱりマジシャン
こんな簡単なトリックに
ひっかかった私がバカなのよ
警察に捕まった魚屋のおじさんは
夜中に魚たちが助けに来て
海に帰って行ったとさ
魚屋のおじさんの正体は
いったい何だったのでしょう
だってあんなに恐い顔で
必死に電卓叩いてる
八百屋さんは、八百屋さんは、きっと詩人
だってあんなに大きな声で
今日もお歌を歌ってる
魚屋のおじさんはきっと銀行強盗なんだ
床下にはきっと
ピストルが隠されてるんだ
あなたは、あなたは、きっとマジシャン
だって「好き」の一言で
こんなに私を夢中にさせる
魚屋のおじさんが銀行強盗をしようとして
懐からピストルを取り出したら
凍ったサンマが出てきたんだってさ
銀行員は帰宅中
八百屋さんはパチンコしに行く途中
3丁目の交差点ですれ違った2人の詩人
あなたは、あなたは、やっぱりマジシャン
こんな簡単なトリックに
ひっかかった私がバカなのよ
警察に捕まった魚屋のおじさんは
夜中に魚たちが助けに来て
海に帰って行ったとさ
魚屋のおじさんの正体は
いったい何だったのでしょう


棚からぼた餅落っこちて
大きなたんこぶできました
しかもあんこは嫌いです
棚からケーキが落っこちて
クリームまみれになりました
だけどイチゴは大好きです
なのにイチゴが見つからない
見つからなくて探したら
頭の上のたんこぶに
ちょこりと鎮座してました
大きなたんこぶできました
しかもあんこは嫌いです
棚からケーキが落っこちて
クリームまみれになりました
だけどイチゴは大好きです
なのにイチゴが見つからない
見つからなくて探したら
頭の上のたんこぶに
ちょこりと鎮座してました


私はよくものをなくす
よくものをなくすから
メモ帳に今までなくしたものを
書こうとしたけれど
何をなくしたのか忘れてしまい
そのまま白紙のメモ帳を
なくしたものを保管する場所へ持って行くしかなくて
白い髭をはやした係りのおじさんに
こんなんじゃ探し物は見つかりませんよ
なんて言われた日にゃあ
ポケットに手を突っ込んで
ひゅうひゅうひゅうと
吹けない口笛を吹くマネなんか
するしかないか
よくものをなくすから
メモ帳に今までなくしたものを
書こうとしたけれど
何をなくしたのか忘れてしまい
そのまま白紙のメモ帳を
なくしたものを保管する場所へ持って行くしかなくて
白い髭をはやした係りのおじさんに
こんなんじゃ探し物は見つかりませんよ
なんて言われた日にゃあ
ポケットに手を突っ込んで
ひゅうひゅうひゅうと
吹けない口笛を吹くマネなんか
するしかないか