プロフィール
HN:
たもつ
年齢:
58
性別:
男性
誕生日:
1967/06/05
自己紹介:
こっそりと詩を書く男の人
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グラスの中には
小さな海がある
それはとても
寒い色をしていて
寒い色をしていて
酒を注ぐ度に
海面は波だつ
海には
いつもの風が吹いている
海に吹く風は
潮のにおいを運んでくる
耳を澄ませば
海の音がする
冬の波音が
ざぶらん、ざぶらんと
僕は小さな海の
深さも広さも
測ることが出来ずに
酒を飲み干す
今、カモメが鳴いた
寒い声で
鳴いた
小さな海がある
それはとても
寒い色をしていて
寒い色をしていて
酒を注ぐ度に
海面は波だつ
海には
いつもの風が吹いている
海に吹く風は
潮のにおいを運んでくる
耳を澄ませば
海の音がする
冬の波音が
ざぶらん、ざぶらんと
僕は小さな海の
深さも広さも
測ることが出来ずに
酒を飲み干す
今、カモメが鳴いた
寒い声で
鳴いた


ココロ コロコロ 転がって
コオロギ コロコロ 鳴きました
ココロ 凍って ロココ調
コールタールのナタデ・ココ
ココは 露天の 六本木
コヨイ ロックが 心地良い
ロマンス・グレーの 老紳士
今度は こっちで コケコッコー
ココロ コロコロ 転がった
路面電車の 口の中
コオロギ コロコロ 鳴きました
ココロ 凍って ロココ調
コールタールのナタデ・ココ
ココは 露天の 六本木
コヨイ ロックが 心地良い
ロマンス・グレーの 老紳士
今度は こっちで コケコッコー
ココロ コロコロ 転がった
路面電車の 口の中


少年は
旅に出た
真っ白なノートを
一冊持って
そのノートに
この世のすべての言葉を
すべての意味を
書くために
街には
言葉が溢れていた
朝には朝の
昼には昼の
夜には夜の
言葉があった
老人には老人の
子供には子供の
男には男の
女には女の
言葉があって
その一つ一つを
少年はノートに
書き留めた
森に行けば
鳥の囀りや
動物たちの鳴き声
木々のざわめきを
少年はノートに
書き綴った
少年は
異国に渡った
異国に渡る船の中では
乱暴な船乗りの言葉を
静かな海の歌声を
荒れ狂う海の怒りを
魚の呼吸を
書き続けた
異国の地は
知らない言葉だらけだった
少年はそれらの意味を
身振り手振りで尋ね
ノートに
書き連ねた
少年は何度も
同じ地を歩いた
言葉は変る
時には緩やかに
時には
加速度を増して
一度書いたものを
何度も書き直した
その間故郷では
父親が土になった
それを知ることもなく
少年は
いつの日か
青年になっていた
そしてある日青年は
恋に落ちた
青年はノートを
ひっくり返して
自分が記した
美しくて
綺麗な言葉を
手紙にしたためた
女は
手紙を読むと
青年の目の前で
丸めて捨てた
青年は何度も何度も
手紙を書いたが
その度に
手紙は捨てられた
どうして
どうして
こんなに綺麗で美しい
言葉なのに
女は言った
あなたの手紙はまるで標本のようね
青年は
その意味を考えた
旅に出て初めて
青年はその日
ノートに言葉を
書かなかった
青年は
考え続けた
街で
森で
船の上で
異国の地で
砂漠で
戦場で
そして青年は
決心し
すべてのノートを
焼き捨てた
今、青年の胸の中には
一つの言葉がある
今まで書き綴った
どんな言葉よりも
尊い言葉が
胸の中にある
青年は走った
女のもとへ
一番最初にその言葉を
女に聞かせたくて
たった一つの言葉を抱いて
青年は
走った
走った
これで言葉を書き続けた青年のお話はおしまいです
彼の恋の行方はどうなったのでしょうか
彼が最後に見つけた言葉とは何だったのでしょうか
これから先は
皆さんの物語として
すべてのものは変質します
それが時間です
言葉も変ります
時には緩やかに
時には加速度を増して
時々私は思うのです
変らないものもこの世には
あるのではないかと
例えば
いつの世でも
女は
井戸端会議が好きであるということ
男は
スポーツ新聞が好きであるということ
そしていつの世でも
男と女は
求め合う存在であるということ
旅に出た
真っ白なノートを
一冊持って
そのノートに
この世のすべての言葉を
すべての意味を
書くために
街には
言葉が溢れていた
朝には朝の
昼には昼の
夜には夜の
言葉があった
老人には老人の
子供には子供の
男には男の
女には女の
言葉があって
その一つ一つを
少年はノートに
書き留めた
森に行けば
鳥の囀りや
動物たちの鳴き声
木々のざわめきを
少年はノートに
書き綴った
少年は
異国に渡った
異国に渡る船の中では
乱暴な船乗りの言葉を
静かな海の歌声を
荒れ狂う海の怒りを
魚の呼吸を
書き続けた
異国の地は
知らない言葉だらけだった
少年はそれらの意味を
身振り手振りで尋ね
ノートに
書き連ねた
少年は何度も
同じ地を歩いた
言葉は変る
時には緩やかに
時には
加速度を増して
一度書いたものを
何度も書き直した
その間故郷では
父親が土になった
それを知ることもなく
少年は
いつの日か
青年になっていた
そしてある日青年は
恋に落ちた
青年はノートを
ひっくり返して
自分が記した
美しくて
綺麗な言葉を
手紙にしたためた
女は
手紙を読むと
青年の目の前で
丸めて捨てた
青年は何度も何度も
手紙を書いたが
その度に
手紙は捨てられた
どうして
どうして
こんなに綺麗で美しい
言葉なのに
女は言った
あなたの手紙はまるで標本のようね
青年は
その意味を考えた
旅に出て初めて
青年はその日
ノートに言葉を
書かなかった
青年は
考え続けた
街で
森で
船の上で
異国の地で
砂漠で
戦場で
そして青年は
決心し
すべてのノートを
焼き捨てた
今、青年の胸の中には
一つの言葉がある
今まで書き綴った
どんな言葉よりも
尊い言葉が
胸の中にある
青年は走った
女のもとへ
一番最初にその言葉を
女に聞かせたくて
たった一つの言葉を抱いて
青年は
走った
走った
これで言葉を書き続けた青年のお話はおしまいです
彼の恋の行方はどうなったのでしょうか
彼が最後に見つけた言葉とは何だったのでしょうか
これから先は
皆さんの物語として
すべてのものは変質します
それが時間です
言葉も変ります
時には緩やかに
時には加速度を増して
時々私は思うのです
変らないものもこの世には
あるのではないかと
例えば
いつの世でも
女は
井戸端会議が好きであるということ
男は
スポーツ新聞が好きであるということ
そしていつの世でも
男と女は
求め合う存在であるということ


辞書は本当は辞書になんか
なりたくなかったんだよ
本当は絵本になりたかったのさ
だから、辞書は本棚で寝ている間
書かれているすべての文字を
手荷物預かり所に預けて
夢の中で
真っ白な頁に
いろんな絵を描いているんだ
人間が辞書を捲ると
慌てて辞書は目を覚まし
手荷物預かり所から文字を取ってくる
そしていつものように澄まして
この言葉の意味はこうである、
なんて講釈を始める
でも慌てたものだから
時々文字がひっくり返っていたり
書いてある場所が違ってたりする
よおく探して見ると
発見できるかもしれないよ
もっとも、インド洋と同じくらい広いプールに
砂鉄を巻いて
その中から一粒の石英を見つけるくらい
難しいことなんだけどね
なりたくなかったんだよ
本当は絵本になりたかったのさ
だから、辞書は本棚で寝ている間
書かれているすべての文字を
手荷物預かり所に預けて
夢の中で
真っ白な頁に
いろんな絵を描いているんだ
人間が辞書を捲ると
慌てて辞書は目を覚まし
手荷物預かり所から文字を取ってくる
そしていつものように澄まして
この言葉の意味はこうである、
なんて講釈を始める
でも慌てたものだから
時々文字がひっくり返っていたり
書いてある場所が違ってたりする
よおく探して見ると
発見できるかもしれないよ
もっとも、インド洋と同じくらい広いプールに
砂鉄を巻いて
その中から一粒の石英を見つけるくらい
難しいことなんだけどね


午前3時33分33秒になったら
こっそりと本棚から
辞書を取り出してごらん
99頁と100頁の間に
もう1頁できていて
そこにはとても大切なことが
書いてあるから
でもその大切なことが何であるのか
実は誰も知らないんだ
だって誰も見たことがないんだもの
その理由は3つ
ひとつめは
午前3時33分33秒を正確に守るということが
非常に困難であるということ
1秒でも早かったり遅かったりしては駄目だ
いや、0.000000001秒でもね
ふたつめは
辞書に気づかれてはいけないといこと
辞書はちょっとした振動でも目をさますから
こっそりと接近し
こっそりと取りだし
こっそりと頁を捲らなくてはいけない
みっつめは
このお話が
昨年の君の誕生日に語ろうと思って
披露し損ねてしまった
僕の作り話であるということ
でもどうだろう
今夜こっそりと試してみないか
午前3時33分33秒に
本を読むことが大好きで
辞書を捲るのが大好きな君
それは10年前に
君が産まれた時間
こっそりと本棚から
辞書を取り出してごらん
99頁と100頁の間に
もう1頁できていて
そこにはとても大切なことが
書いてあるから
でもその大切なことが何であるのか
実は誰も知らないんだ
だって誰も見たことがないんだもの
その理由は3つ
ひとつめは
午前3時33分33秒を正確に守るということが
非常に困難であるということ
1秒でも早かったり遅かったりしては駄目だ
いや、0.000000001秒でもね
ふたつめは
辞書に気づかれてはいけないといこと
辞書はちょっとした振動でも目をさますから
こっそりと接近し
こっそりと取りだし
こっそりと頁を捲らなくてはいけない
みっつめは
このお話が
昨年の君の誕生日に語ろうと思って
披露し損ねてしまった
僕の作り話であるということ
でもどうだろう
今夜こっそりと試してみないか
午前3時33分33秒に
本を読むことが大好きで
辞書を捲るのが大好きな君
それは10年前に
君が産まれた時間


駅前の喫茶店「ガンダーラ」で働くミチコさんは
「ガンダーラ」が何であるのか知りません
マスターに聞いても
無口である彼は下を向いて微笑するばかりなのです
ある日インターネットで検索してみると
一番最初に見つかったのが「ホテル・ガンダーラ」
「ガンダーラ」とはホテルのことであると
彼女は理解したのでした
それから半年後ミチコさんは
喫茶店をやめ
故郷に帰り
見合いをし
そのまま結婚
二人の娘が出来ました
時々喫茶店「ガンダーラ」のことを思い出し
まだあのマスターは元気でいるのかしら
なんて思い出すこともありますが
特に電話をするわけでもなく
手紙を書くわけでもなく
子育てや家事に追われ
気がつけば娘は二人とも成人し
嫁いで行きました
そして長女は出産をむかえ
ミチコさんは初孫の顔を見るに至りました
その夜、病院から帰ってきて偶然つけたテレビで
「ガンダーラ」とは
パキスタンからアフガニスタンにかけての地域を指す
古い地名だと知ったのです
さて、件の喫茶店「ガンダーラ」ですが
ミチコさんが故郷に帰って数年後に
再開発で取り壊され
後には大きなショッピングセンターが建設されました
無口だったマスターは誰にも行先をつげず
彼の行方を知っているものは
もう街にはいません
これが私の知っている
喫茶店「ガンダーラ」の顛末のすべてです
最後に一言付け加えさせていただければ
ガンダーラは
みんなの心の中にあります
「ガンダーラ」が何であるのか知りません
マスターに聞いても
無口である彼は下を向いて微笑するばかりなのです
ある日インターネットで検索してみると
一番最初に見つかったのが「ホテル・ガンダーラ」
「ガンダーラ」とはホテルのことであると
彼女は理解したのでした
それから半年後ミチコさんは
喫茶店をやめ
故郷に帰り
見合いをし
そのまま結婚
二人の娘が出来ました
時々喫茶店「ガンダーラ」のことを思い出し
まだあのマスターは元気でいるのかしら
なんて思い出すこともありますが
特に電話をするわけでもなく
手紙を書くわけでもなく
子育てや家事に追われ
気がつけば娘は二人とも成人し
嫁いで行きました
そして長女は出産をむかえ
ミチコさんは初孫の顔を見るに至りました
その夜、病院から帰ってきて偶然つけたテレビで
「ガンダーラ」とは
パキスタンからアフガニスタンにかけての地域を指す
古い地名だと知ったのです
さて、件の喫茶店「ガンダーラ」ですが
ミチコさんが故郷に帰って数年後に
再開発で取り壊され
後には大きなショッピングセンターが建設されました
無口だったマスターは誰にも行先をつげず
彼の行方を知っているものは
もう街にはいません
これが私の知っている
喫茶店「ガンダーラ」の顛末のすべてです
最後に一言付け加えさせていただければ
ガンダーラは
みんなの心の中にあります